chuo1976

心のたねを言の葉として

「しかられるにいさん」  金子みすず

2012-12-24 06:03:52 | 文学
「しかられるにいさん」  金子みすず



にいさんがしかられるので、
さっきからわたしはここで、
そでなしのあかい小ひもを、
むすんだり、といたりしている。
 

それだのに、うらの原では、
さっきからしろ取りしている、
ときどきはとびもないている。
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「あるとき」   金子みすず

2012-12-23 05:18:04 | 文学
「あるとき」   金子みすず



お家のみえる角へきて、
おもいだしたのあのことを。

 
わたしはもっと、ながいこと、
すねていなけりゃいけないの。

 
だって、かあさんはいったよ、
「ばんまでそうしておいで」って。
 

だのに、みんながよびにきて、
わすれてとんで出ちゃったの。
 

なんだかきまり悪いけど、
でもいいわ、
ほんとはきげんのいいほうが、
きっと、かあさんはすきだから。
 
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「こよみと時計」  金子みすず

2012-12-22 09:07:40 | 文学
「こよみと時計」  金子みすず




こよみがあるから
こよみをわすれて
こよみをながめちゃ、
四月だというよ。

 
こよみがなくても
こよみを知ってて
りこうなお花は
四月にさくよ。

 
時計があるから
時計をわすれて
時計をながめちゃ、
四時だというよ。

 
時計はなくても
時間を知ってて
りこうなとりは
四時にはなくよ。
 
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「草の名」  金子みすず

2012-12-21 04:11:15 | 文学
「草の名」  金子みすず




人の知ってる草の名は、
わたしはちっとも知らないの。
 
人の知らない草の名を、
わたしはいくつも知ってるの。
 
それはわたしがつけたのよ、
すきな草にはすきな名を。
 
人の知ってる草の名も、
どうせだれかがつけたのよ。
 
ほんとの名まえを知ってるのは、
空のお日さまばかりなの。
 
だからわたしはよんでるの、
わたしばかりでよんでるの。
 
 
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「次からつぎへ」  金子みすず

2012-12-20 04:20:09 | 文学
「次からつぎへ」  金子みすず




月夜にかげふみしていると、
「もうおやすみ」とよびにくる。
  (もっとあそぶといいのになあ。)
けれどかえってねていると、
いろんなゆめがみられるよ。
 
そしていいゆめをみていると、
「さあ学校」とおこされる。
  (学校がなければいいのになあ。)
けれど学校へでてみると、
おつれがあるから、おもしろい。
 
みなでしろ取りしていると、
お鐘が教場へおしこめる。
  (お鐘がなければいいのになあ。)
けれどお話きいてると、
それはやっぱりおもしろい。
 
ほかの子どももそうかしら、
わたしのように、そうかしら。
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「さびしいとき」  金子みすず

2012-12-19 04:40:15 | 文学
「さびしいとき」  金子みすず



わたしがさびしいときに、
よその人は知らないの。
 
わたしがさびしいときに、
お友だちはわらうの。
 
わたしがさびしいときに、
お母さんはやさしいの。
 
わたしがさびしいときに、
ほとけさまはさびしいの。
 
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「みんなをすきに」  金子みすず

2012-12-18 05:41:00 | 文学
「みんなをすきに」  金子みすず



わたしはすきになりたいな、
何でもかんでもみいんな。
 
ねぎも、トマトも、おさかなも、
のこらずすきになりたいな。
 
うちのおかずは、みいんな、
おかあさまがおつくりになったもの。
 
わたしはすきになりたいな、
だれでもかれでもみいんな。
 
お医者さんでも、からすでも、
のこらずすきになりたいな。
 
世界のものはみイ んな、
神さまがおつくりになったもの。
 
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「朝顔のつる」  金子みすず

2012-12-17 04:38:53 | 文学
「朝顔のつる」  金子みすず



垣がひくうて
朝顔は、
どこへすがろと
さがしてる。
 
西もひがしも
みんなみて、
さがしあぐねて
かんがえる。
 
それでも
お日さまこいしゅうて、
きょうも一寸
またのびる。
 
のびろ、朝顔、
まっすぐに、
納屋のひさしが
もう近い。
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「明るい方へ」  金子みすず

2012-12-16 04:51:34 | 文学
  「明るい方へ」  金子みすず



     明るい方へ
     明るい方へ。

     一つの葉でも
     陽の洩るとこへ。

     藪かげの草は。

     明るい方へ
     明るい方へ。

     翅は焦げよと
     灯のあるとこへ。

     夜飛ぶ蟲は。

     明るい方へ
     明るい方へ。

     一分もひろく
     日の射すとこへ。

     都會に住む子等は。
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「草原の夜」 金子みすず

2012-12-15 05:06:23 | 文学
   「草原の夜」 金子みすず



 ひるまは牛がそこにゐて、
 青草食べてゐたところ。

 夜ふけて、
 月のひかりがあるいてる。

 月のひかりのさはるとき、
 草はすつすとまた伸びる。
 あしたも御馳走してやろと。
 ひるま子供がそこにゐて、
 お花をつんでゐたところ。

 夜ふけて、
 天使がひとりあるいてる。

 天使の足のふむところ、
 かはりの花がまたひらく、
 あしたも子供に見せようと。
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf