ⅩⅩⅩⅩⅥ「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない」を観る聴く、 『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ 2016/11/27
未だ幼い少年、未だ若い母親、が、両親は不仲で、母との暮らし、少年はいつもパソコンを手にして、何かを見ている、聞いている、幼稚園の中でも、一人パソコンの世界に、友達も近寄って見入るのだが、何を見ているのか、大人達には判らない、母は裸で踊るダンサー、客の男たちの視線に答えて、腰を振り、足をくねらせ、エロチックな店、しかし,既に若くないので,店長からも,冷たい視線、強制的に残業を求められて、でも,子どもがあるから,己の遊びがあるから,受けないままに、身勝手女、父親は少年に新しいパソコンを買い与えて、これが少年の好みと、それで己のお役御免と、高校生とガールフレンド、少女は将棋の棋士を目指して、なかなかに強いのだが、ボーイフレンドから渡されるCD、トーナメントでは今日も勝って決勝に、近所の将棋場で老人と打ち、勝って小遣い稼ぎ、ボーイフレンドは公園でバスケットボールで戯れる、今度コンサートに一緒に,その為の予習として聞いておけと渡されたCDだったのだ、だが、コンサートの日が、決勝の日、果たして、娘の覚悟、彼の為だ、将棋よりも、彼とともに、家では,勉強もせずに将棋に精出す娘を叱る母と父、大学に行けと、行かないのならば卒業したら出て行けと、女の将棋打ちなど居ないと、父の暴力、そんなだから、兄さんは部屋に籠もりきりに成ったのだと、一人飛び出していく、将棋一筋のガールフレンドに、どこか物足りないボーイフレンド、将棋少女は見てしまう、友達とボーイフレンドのデイト、怒り、悲しみ、借りたCDを返す、少年は新しいガールフレンドにコンサートに行く前に聞いてと差し出すCD、が、なんと、ケースを開けると将棋のCDが、困惑の二人、斯くて将棋少女の決意、部屋の兄に一人語りかける、聞いたCDに感動したのか、兄に聞かせようと、ドアの下に、このコンサートのバンドの仲間たち、マネージャー、インディーズの彼ら、大きく売り込もうとレコード会社の幹部、その為には売れ線の営業も、その為のポスター、役所とタイアップ曲を作って、売り込もうと、バンドの者たちを説得しろと詰め寄る、項垂れて曖昧な返事のマネージャー、それでも、結局、バンドの者たちに何も語れず、彼らの曲は彼らの自由に、売れなくても良いのだと、斯くて、コンサートの日、このマネージャーのバンドと、少年と新しいガールフレンドが遣ってきたコンサートのバンドは同一なのだ、幼稚園の少年はパソコンを持ち込んで、皆にこのバンドの曲を歌わせる、死にたい、死にたい、と、なんとも不吉な歌、親たちの反発、母も共に呼ばれて、パソコンを持ち込むなと幼稚園の先生、納得出来ないながらも、受け止めるしか無い母、それでも、少年は母の言葉をきかずに、幼稚園に持ち込んで、友達とパソコンを見詰めるのだ、皆が聴き入っているのだ、凄い、凄いと、何事なのだろうか、ついには親たちの怒り、親たちの集会、少年と母、母は溜まらずにパソコンをゴミ箱に、翌日、部屋から出ない少年、母は仕事が在るからと一人外に、だが、仕事では無かった、ランチに仲間たちとともに合コン、着飾って、不仲の夫とも店で知り合った、こんな遊び人の母、仲間は誰でも好きなのを連れて行けと、囁く、が、それでもやはり息子が心配、走る走る、男たちは帰る母に、どうしたと、子どもが居るのだと、驚きの男たち、部屋に、少年が消えた、走る走る、幼稚園にも居ない、どこにもいない、パソコンショップに人集り、少年が操って、どこかと交信しているのだ、見ている大人たちも関心、母はこの集まりに目がとまり、前に前に進むと息子がパソコンを操っている、母に捨てられたから、店のパソコンでアクセスしていたのだ、母は仕方なくパソコンを買ってくる、こうしてまた少年の遊びが始まる、幼稚園にも持ち込み、先生らに張れないように、仲間も協力、母のいない部屋に招いて、三人でパソコンに釘付け、コンサートの始まり、バンドリーダーの少年が未だ現れないと、マネージャーはリハーサルに己で、相変わらずの幹部の冷たい視線、それでも、遂にバンドリーダーが現れて、ステージが始まる、パンクパンド、幼稚園の少年が聞いていたのは彼らの曲だった、バスケット少年とガールフレンドもコンサートに、幼稚園の先生も、パソコン少年の語っていたバンドをパソコンで知って、聴き入る、母はダンスの仕事に、楽屋で後輩の聞いている曲を、どこかで聴いたと、見せてと、パソコンの中、まさに息子が聞いていた曲、息子はこれに惹かれていたのだ、初めて知る、涙、将棋の決勝に訪れた少女、斯くて勝負、頭の中に響くバンドの曲、兄のためにドアの下に、漸くにドアの下から奥に消えるCD、兄も聞くのだろう、こうして皆がバンドの曲に引き込まれていく、棋士少女も、曲を頭に響かせながら、打つ、母も踊る、喝采、部屋で聞きながら踊り出す少年たち、パソコンに書き込まれる文字たち、さて、棋士少女の父も、久しぶりに将棋盤を取り出して、思い出してコマを並べる、どこか子供たちと昔を懐かしんで遊んで居るのか、でも、この父には、バンドの曲が響かない、母はお勝手で働くばかり、この両親にはバンドは響かない、でも、どこか、笑みで盤を見る父とは、全てが和解に、バンドとともに、籠もりっきりの兄も、しかし、この安易な和解とは、マネージャーも聞きながら、これで良かったと、幹部の誘いを受けなくて良かったと、幹部もまた、ステージを見ながら、これで良かったと、しかし、そんなご都合主義とは、映画を見ている私たちも、これで良いのだと、惹かれてしまう、この怪しさを、果たして、これこそが、映画とのタイアップなのだ、さて、曲は、バンドは、この収まりを越え出ているのか、まさに、ここからが勝負なのだが、見せられて、聴かされて、終わっていてはいけない、幼稚園の子供たち共々、舞い上がれ、この映画の先にまでも、始まっている歌とともに飛び出せ