chuo1976

心のたねを言の葉として

円谷幸吉の言葉

2025-01-12 05:39:08 | 文学

父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。干し柿 もちも美味しうございました。
敏雄兄姉上様 おすし美味しうございました。
勝美兄姉上様 ブドウ酒 リンゴ美味しうございました。
巌兄姉上様 しそめし 南ばんづけ美味しうございました。
喜久造兄姉上様 ブドウ液 養命酒美味しうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。
幸造兄姉上様 往復車に便乗さして戴き有難とうございました。モンゴいか美味しうございました。
正男兄姉上様お気を煩わして大変申し訳ありませんでした。
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、
良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、
光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん、
幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、
立派な人になってください。
父上様母上様 幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません。
何卒 お許し下さい。
気が休まる事なく御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません。
幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。

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ただ生きる             谷川俊太郎

2024-12-26 06:07:41 | 文学
ただ生きる
            谷川俊太郎
 

立てなくなってはじめて学ぶ
立つことの複雑さ
立つことの不思議
重力のむごさ優しさ

支えられてはじめて気づく
一歩の重み 一歩の喜び
支えてくれる手のぬくみ
独りではないと知る安らぎ

ただ立っていること
ふるさとの星の上に
ただ歩くこと 陽をあびて
ただ生きること 今日を

ひとつのいのちであること
人とともに 鳥やけものとともに
草木とともに 星々とともに
息深く 息長く

ただいのちであることの
そのありがたさに へりくだる
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初雪や一二三四五六人

2024-11-22 05:19:41 | 文学

初雪や一二三四五六人

                    一茶

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『ふくらはぎ』         谷川俊太郎

2024-11-20 17:36:45 | 文学

『ふくらはぎ』         谷川俊太郎


俺がおととい死んだので
友だちが黒い服を着こんで集まってきた
驚いたことにおいおい泣いているあいつは
生前俺が電話にも出なかった男
まっ白なベンツに乗ってやってきた


俺はおとつい死んだのに
世界は滅びる気配もない
坊主の袈裟はきらきらと冬の陽に輝いて
隣家の小五は俺のパソコンをいたずらしてる
おや線香ってこんなにいい匂いだったのか


俺はおとつい死んだから
もう今日に何の意味もない
おかげで意味じゃないものがよく分る
もっとしつこく触っておけばよかったなあ
あのひとのふくらはぎに

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「生きる」      谷川俊太郎

2024-11-20 06:17:58 | 文学

「生きる」      谷川俊太郎

 


  生きているということ

 いま生きているということ

 それはのどがかわくということ

 木もれ陽がまぶしいということ

 ふっと或るメロディを思い出すということ

 くしゃみすること

 あなたと手をつなぐこと


 生きているということ

 いま生きているということ

 それはミニスカート

 それはプラネタリウム

 それはヨハン・シュトラウス

 それはピカソ

 それはアルプス

 すべての美しいものに出会うということ

 そして

 かくされた悪を注意深くこばむこと


 生きているということ

 いま生きているということ

 泣けるということ

 笑えるということ

 怒れるということ

 自由ということ


 生きているということ

 いま生きているということ

 いま遠くで犬が吠えるということ

 いま地球が廻っているということ

 いまどこかで産声があがるということ

 いまどこかで兵士が傷つくということ

 いまぶらんこがゆれているということ

 いまいまが過ぎてゆくこと


 生きているということ

 いま生きているということ

 鳥ははばたくということ

 海はとどろくということ

 かたつむりははうということ

 人は愛するということ

 あなたの手のぬくみ

 いのちということ

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ハレルヤ <Hallelujah>

2024-10-27 05:20:37 | 文学

ハレルヤ <Hallelujah>
作詞&作曲:Leonard Cohen
日本語詞:奥野秀樹

 

 

昔のことだけど 名前も知らない 誰かがギターを弾きながら
そして歌い始めた 張り裂けそうな声で 私の胸を叩いた ハレルヤ
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ

 

運命のように流れる 河を渡るには 私の舟は小さすぎる
あなたは遥か遠く 見えなくなるばかり 振り向いておくれ ハレルヤ
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ

 

月明かり 頼りに あなたを追いかけて 歩いても 歩いても 歩いても
出逢ってしまったことが 間違いだと言うなら 時計を巻き戻して ハレルヤ
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ

 

見えますか 虹が 道なき 道の 果てに広がる 虹が
歌うために生きよう 生きるために歌おう たった一つのハレルヤ
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ

ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ

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ノーベル文学賞 ハン・ガン

2024-10-21 06:31:53 | 文学

無念さ、生きられなさ、人類の小さな声 ノーベル文学賞にハン・ガンさん 寄稿・斎藤真理子


 この世の最も残酷な場所から響いてくる、あまりに親しみに満ちた声。血の通った、そして血を流しつづけている人類の小さな声。
 ハン・ガンの小説にはそれが充満している。
 「歴史的トラウマに立ち向かい、人間の命のはかなさをあらわにした強烈な詩的散文」
 授賞理由のこの部分を読んだとき、とても韓国らしいと思った。「歴史」と「詩」は、韓国文学のキーワードだからだ。いや、韓国自体のと言ってもいいのかもしれない(さらに言うなら朝鮮半島全体がそうかもしれない)。
 日本による植民地支配、南北分断、朝鮮戦争、そして軍事独裁政権による人権弾圧。韓国の現代史は満身創痍である。その中で長い間、詩人の想像力は武器であり、希望だった。ハン・ガンももともとは詩人で、デビューしたのも小説より詩が先である。
 詩的散文とはどういうことだろうか。それは単に、語彙や表現が詩のようだということではない。生と死の境界、夢と現実の境界を突破する、繊細にして強靱な文体が評価されたのだ。
     *
 ハン・ガンを世界的に有名にした『菜食主義者』は、社会に蔓延する暴力の一切に耐えられなくなり、食べることを拒否する女性を幻想的に描いたものだ。その後、光州民主化運動(光州事件)を扱う『少年が来る』や、済州島4・3事件を扱う『別れを告げない』など、歴史の傷跡を描く大作が生まれた。ハン・ガンの作品の中で、個人の傷と歴史の傷は不可分で、相互が分かちがたく渾然となったさまがありありと描かれる。
 「私たちに過ちがあるとすれば、初めから欠陥だらけで生まれてきたことだけなのに。一寸先も見えないように設計されて生まれてきたことだけなのに」(「明るくなる前に」『回復する人間』所収)。これはハン・ガンの短編小説の中で、母との関係に悩む女性に対して発せられた言葉だ。一人ひとりの人間も、世界も、欠陥だらけで、一寸先も見えないことでは同じである。
 大事なのは、韓国においては長らく、追悼すら禁じられた時代があったことだ。光州民主化運動も済州島4・3事件も、追悼集会はおろか公に言及することもできず、映画や小説への作品化など、民主化前は絶対に不可能だった。無念の死、不条理な死は蓄積され、癒えない傷は癒えないまま、風化することすら許されなかった。
 作家は決して国籍や出生地に縛られない。しかし現代のさまざまな「生きられなさ」を追ってきた作家が、生まれた土地に蓄積された無念の死、封じられた声へ接近したのは必然だったろう。それを韓国一国でなく人類の経験として書ききったところに、今回の授賞意義があると思う。ハン・ガンの仕事の核は、これほど悲惨なことがあったと知らせることではない。最大の危機のときもこのようにして人の尊厳は存在しうるのだと示すことである。
     *
 各地で戦争が激化し、毎日遺体が運ばれてくるのに何を祝うのかとハン・ガンは言い、記者会見を固辞したそうだ。ガザのジェノサイドは、今すぐにでもやめられるはずのものである。光州事件も済州島4・3事件もそうだったはずだ(4・3事件が起きた1948年は、パレスチナでナクバが起きた年でもある)。無念さが、今日も現在進行形で反復されている。
 ハン・ガンの意思表明に同意する人は多いだろう。と同時に、アジア人女性初の受賞を喜ぶ私たちの気持ちを作家が受け止めてくれていることも、間違いない。だから、おめでとうを言った後、それぞれのやり方で、この世の最も残酷な場所へ心を寄せたいと思う。静かに本を読みながら。
     ◇
 さいとう・まりこ 翻訳家 1960年、新潟市生まれ。『すべての、白いものたちの』『別れを告げない』といったハン・ガンさんの作品をはじめ、韓国文学を多数翻訳。著書に『韓国文学の中心にあるもの』。

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「残酷」を娯楽とし、「他人の苦痛」を見世物にして、慰安にする

2024-09-01 04:16:04 | 文学

 暴君の治下の臣民は、おおむね暴君よりもさらに暴である。暴君の暴政は、しばしば暴君治下の臣民の欲望を満たすことはできない。

 暴君の臣民は、暴政が他人の頭上で暴れてくれるのを望むだけだ。自分はおもしろがって眺め、「残酷」を娯楽とし、「他人の苦痛」を見世物にして、慰安にするだけだ。

 自分は「運よく逃れた」のが自慢の種である。


(「魯迅評論集」竹内好訳 岩波文庫) 

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「寅さん」の啖呵売(たんかばい)

2024-08-27 17:45:30 | 文学

「寅さん」の啖呵売(たんかばい) 地口(じぐち)・香具師(やし)の口上‥あれこれ


〽角は一流デパート赤木屋、黒木屋、白木屋さんで紅白粉つけた おねえちゃんから下さい頂戴で頂きますと五千が六千、七千が八千、一万円はする品物だが今日はそれだけ下さいとは言わない! 


〽並んだ数字がまず一つ。物の始まりが一ならば国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、助平の始まりが小平の義雄っての。 


〽続いた数字が二だ。二冊こうやって負けちゃおう。兄さん寄ってらっしゃいは吉原のカブ仁吉が通る東海道、日光結構東照宮、憎まれ小僧が出来ないように、教育資料の一端としてお負けしましょうもう一冊。どう? 


〽産で死んだが三島のお仙、お仙ばかりが女ごじゃないよ。京都は極楽寺坂の門前でかの有名な 小野小町が、三日三晩飲まず食わずに野たれ死んだのが三十三。とかく三という数字はあやが悪い。 
三三六歩(さんさんろっぽ)で引け目が無いという。ねっ、どう? 


〽負かった数字が四つ。ほら四冊目。四谷赤坂麹町チャラチャラ流れる御茶ノ水、粋な姐ちゃん立ちションベン。白く咲いたか百合の花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い。 
一度変われば二度変わる三度変われば四度変わる、淀の川瀬の水車(みずぐるま)、誰を待つやらくるくると。

 
〽ゴホンゴホンと波さんが、磯の浜辺でねぇあなた、あたしゃあなたの妻じゃもの、妻は妻でも『阪妻(ばんつま)よ』ときやがった。 


〽続いた数字が六つ。六だっ! 昔、武士の位を禄(ろく)という後藤又兵衛が槍一本で六万石。ロクでもない餓鬼が出来ちゃあいけないと 言うんで教育資料の一端としてお負けしましょうこの本。どう! 


〽七冊目。七つ長野の善光寺八つ谷中(やなか)の奥寺で、竹の柱に茅(かや)の屋根、手鍋下げてもわしゃいとやせぬ。信州信濃の新ソバよりも、あたしゃあなたの傍が良い。あなた百までわしゃ九十九まで、共にシラミのたかるまでって云うやつ。どう? ほらっ! 


〽たいしたもんだよ蛙のションベン見上げたもんだよ屋根屋のふんどしってね。はい! どうです?  

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「二度とない人生だから」      坂村真民

2024-08-20 17:21:03 | 文学

「二度とない人生だから」

                       坂村真民


二度とない人生だから
一輪の花にも
無限の愛をそそいでゆこう
一羽の鳥の声にも
無心の耳をかたむけてゆこう
二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも
ふみころさないようこ
こころしてゆこう
どんなにかよろこぶことだろう
二度とない人生だから
一ぺんでも多く便りをしよう
返事は必ず書くことにしよう
二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接してゆこう
二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも
めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう
二度とない人生だから
のぼる日 しずむ日
まるい月 かけてゆく月
四季それぞれの星星の光にふれて
わがこころをあらいきよめてゆこう
二度とない人生だから
戦争のない世の実現に努力し
そういう詩を一篇でも多く作ってゆこう
わたしが死んだら
あとをついでくれる若い人たちのために
この大願を書きつづけてゆこう


***


坂村真民(さかむら しんみん、1909年1月6日 - 2006年12月11日)は、日本の仏教詩人。一遍の生き方に共感し、癒やしの詩人と言われる。
「咲くも無心、散るも無心、花は嘆かず今を生きる」
「念ずれば花開く」

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf