まるでマグマ地獄!木星探査機がとらえた巨大サイクロンの恐怖画像 NASA
米航空宇宙局(NASA)は8日、無人探査機ジュノーが初めてとらえた木星の北極と南極に渦巻く巨大サイクロンの画像を公開した。赤外線観測装置で撮影された画像には、中心のサイクロンを取り囲むように、複数の小さなサイクロンが幾何学的に並んでおり、北極と南極ではサイクロンの数に違いがあるという。
私たちがよく知る木星は、赤褐色や白の縞模様が赤道方向に平行に伸びていて、ところどころに巨大な斑点模様がある姿。太陽系で最大の存在であるにもかかわらず、大量の水素とヘリウムガスが集まってできたガス惑星であるため、地球の直径の10倍以上の大きさだが、重さは約310倍余りと軽い。
NASAが科学誌『ネイチャー』で公開した画像は、昨年2月2日にジュノーが木星に最接近した際にとらえたもの。北極では中心に渦巻く巨大サイクロンの周りを8つのサイクロンが八角形を描くように取り囲む一方、南極ではサイクロンの数が5つと少なく、五角形になっている。
まるで地獄の釜の中で煮えたぎる溶岩のようだが、この色は放射熱を示していて、黄色い部分は雲が薄く、放射される光の温度(=輝度温度)は、約−13℃であるのに対し、暗赤色の部分は雲が厚く、約−83℃だという。
NASAの研究チームによると、この違いには大気の循環が関係しているとして、ジュノーが測定した重力場のデータを解析。重力場とは引力が及ぶ空間のことで、その強さは物体に働く力の大きさで測定される。
解析の結果、木星の赤道付近を交互に吹き荒れる嵐のようなジェット気流は、緯度が高くなるにつれて弱まり、両極付近になると渦を巻く乱流に変化する可能性がわかった。しかし、なぜ極域に達すると、八角形や五角形になるかは不明だ。というのも、土星では北極上空で大気の層が六角形になることは比較的知られているが、それ以外の惑星では前例がないからだ。
また、常に雲に覆われている木星は、緯度ごとに方向や風速が異なるジェット気流が吹き荒れることで独特の縞模様を作っているが、従来の研究では、ジェット気流が大気のどれくらい奥まで広がっているのか謎だった。しかし今回の観測で、ジェット気流は、雲の高さから約3000キロ下の層まで及んでいる可能性が判明した。
研究チームは、タマネギの皮のように、木星を覆う分厚い大気の層をひん剥いていくことで、太陽系最大のガス惑星の素顔に迫ろうとしている。