太平洋ゴミベルト、46%が漁網、規模は最大16倍に
「調べれば調べるほどプラスチックが見つかってしまう」と研究者
太平洋ゴミベルトは世界でもっとも多くのゴミが漂う海域だ。米国カリフォルニアとハワイの間にあり、面積は日本の倍以上と言われる。(参考記事:「太平洋ゴミベルトの“ゴミの渦”」)
このたび発表された調査の結果、太平洋ゴミベルトに漂う7万9000トンに、これまで考えられていた以上に漁具が含まれることが判明した。この論文は3月22日付けの学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
論文によると、ゴミベルトに浮かぶプラスチックの数は1.8兆個と推定され、そのうちの94%を0.5~5ミリまでのマイクロプラスチックが占める。だが、これは重量では8%ほど。ゴミの総量は7万9000トンと推定され、従来の4倍~16倍にのぼると結論付けている。研究チームは、こうしたゴミの10~20%は2011年に日本を襲った津波によるものと見積もっている。(参考記事:「南太平洋の無人島にゴミ3800万個、日本からも」)
加えて、ゴミの46%を化学繊維の漁網が占めており、その他にもロープ、養殖カキの間隔を空ける管、ウナギを捕るわな、かご、箱といった漁具が含まれることも明らかになった。(参考記事:「太平洋の津波ゴミ調査隊員、一般公募」)
ゴミベルトには何が浮かんでいるのか?
太平洋ゴミベルトが発見されたのは1997年のこと。ヨット愛好家のチャールズ・ムーア氏が、ロサンゼルスの拠点に戻る途中、プラスチックのボトルなどのゴミが混ぜこぜになって漂う海域を通過した。シアトルで活動する海洋学者カーチス・エベスメイヤー氏が、これを「太平洋ゴミベルト」と名付けた。氏は、海流と漂流物の追跡に精通しており、お風呂用のアヒルのおもちゃやナイキのテニスシューズなどの探索も手がけたことで知られている。
この海域ではいま、オランダ人のボイヤン・スラット氏が設立した非営利団体「オーシャン・クリーンアップ」によって、3200万米ドルという規模の清掃活動が行われている。氏は現在23歳という若さで、この問題に取り組み始めたときはまだ10代だった。(参考記事:「“太平洋ゴミベルト”の実態調査」)
陸地は存在しないにもかかわらず、広告業界のある経営者コンビが、この海域を実在する「国」だと宣言した。2人はこの海域に「ゴミ諸島」(Trash Isles)という国名を付け、米国の元副大統領アル・ゴア氏を1人目の「国民」として登録。2017年秋、国連に承認を申請した。この派手なキャンペーンによって、ゴミベルトのイメージはさらに強固になった。
これが太平洋ゴミベルトの概要だ。しかし、ゴミの具体的な構成は、今までほとんど明らかになっていなかった。