新燃岳「火口を覆うパンケーキみたいな溶岩」噴火前後で山体隆起・沈降
噴火が断続的に続く新燃岳では、火口内を溶岩がほぼ覆っていることが地球観測衛星などの観測で明らかになった。火口の北西側からあふれ出した溶岩が流れ落ちた距離は約6メートルと、非常にゆっくりした速度だ。週末にかけて相次いだ爆発的噴火の前後では、山体が隆起したり、沈降する変化が観測されている。
気象庁は10日、上空から観測を行い、火口内が溶岩で覆われ、北西側から幅約200メートルにわたって溶岩が流れ落ち、周辺には大きな噴石が飛散した痕跡を確認した。9日と比較すると、火口からあふれ出した溶岩は斜面を約6メートル流れ落ちていたという。
地球観測衛星だいち2号のレーダー画像を解析している国土地理院によると、火口内にできた溶岩ドームは拡大を続けており、6日には直径450メートルだったのが、9日未明には直径約650メートルに成長。溶岩流出が始まった9日昼以降は、火口内いっぱいに広がり、直径は700メートルに拡大して、パンケーキのようにみえる。
今月7日には火山ガスの放出量が1日あたり3万4000トンに急増したが、爆発的噴火が相次いだ9日から10日にかけては1100〜900トンに減少している。
一方、2011年の噴火の際、新燃岳から北西6キロにあるえびの岳は、マグマの供給源があると推定されているが、今月6日朝から始まった山体の収縮は8日昼ごろから停滞している。
また、新燃岳の南東約2キロの観測地点では、9日から10日にかけて相次いだ爆発的噴火の前後で山体が隆起したり、沈降する動きが観測されている。
鹿児島県と宮崎県では、警戒範囲の拡大を受けて、周辺の登山道への立ち入り規制を拡大した。