北極海の海氷面積、観測史上2番目の小ささに
「極めて異例な事態です」とNASAの海氷専門家
深刻な温暖化が進んだ結果、2017~2018年冬の北極海の海氷面積は、最大時でも1448万平方キロにとどまった。これは観測史上最小だった前年の記録に匹敵する。米航空宇宙局(NASA)が3月23日、年次計測の結果として発表した。(参考記事:「2016年末の北極は未曽有の異常だった」)
観測史上最小となった昨年の海氷面積は最大で1442万平方キロ。これに比べれば、今年の北半球はちょっとだけ多くの氷に覆われたことになる。だが、今年の冬には憂慮すべき傾向がいくつか認められると研究者は警告する。
2月の気温は冬とは思えないほど急上昇し、例年と比べ25℃以上高かった地域もあった。そのため暗闇に閉ざされる冬まっただ中の北極の気温が、数日の間、氷点下に達しなかった。通常は厚い氷に覆われているグリーンランドの北側の海域では、観測史上初めて水面が現れた。シベリアとアラスカ州の間にあるベーリング海の大部分で海氷がなくなったほか、その北のベーリング海峡でも一時的ながら氷が消えた。「極めて異例な事態です」と、NASAの海氷専門家アレック・ペティ氏は話す。
また昨年の記録を更新しなかったとはいえ、近年から続く傾向は今年の冬も科学者の予測を上回るペースで悪化している。「過去数年間の冬において、気温の上昇と海氷の減少のどちらも、私たちの予想以上に悪化しています」と、ペティ氏は懸念している。(参考記事:「北極海の氷が消える、残された時間は」)
北極のもろさ
地球の気候変動が進み、北極が被る悪影響はいよいよ増している。気温が上がると海氷が失われ、海氷が失われることは、状況のさらなる悪化につながる。(参考記事:「北極海で過去最大の海氷融解、メカニズム明らかに」)
「双方向的なものです」と、NASAゴダード宇宙飛行センターの上級気候科学者クレアー・パーキンソン氏は声明で発表した。「温暖化が進むと、形成される氷の量が減り、解ける量が増えます。また、氷の量が減れば(中略)大気中に反射される太陽光も減りますから、温暖化が進みます」