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毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

「東日本大震災から一年たちます」 その5 ハノン

2012年03月09日 10時04分20秒 | 日常
 「繰り返し同じ行動をする、それが積み重なって結果がでる」というのは、気持ちを落ち着けるし癒しになるんだと、体験してみてわかりました。

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私は編み物も縫い物も、ぶきっちょで上手く出来ないし、こつこつ積み上げるという根性がどうにも足りなくて(苦笑)このお母さんたちのようには出来ませんが、その人が指で(脳で?)覚えている行動をするというのは、たぶん一番気持ちを落ち着かせるものなんですよ。あの尋常じゃない状況に放り込まれた後、コーヒーを淹れる、お風呂に入れる、洗濯して乾いた清潔な服を着れる、ピザの宅配ができるetc.震災前、ごく普通にしていた事ができるたびに、日常を感じられて、すっごく嬉しかったです


★拙宅の2011年5月8日の記事「もうすぐ、被災して二ヶ月になります」
( http://blog.goo.ne.jp/coffee2006/e/4328abc037b620f38b6fb2c3831aafa7 )より引用

 ごく初期のACのCMで、三拍子で八連譜のメロディーがあったの覚えてますか?いまはもう放送されなくなったんですけど、あれね、たぶん大勢の方はうっとうしいと思われたんじゃないかしら(笑)けれど、私、片づけをしている間は、ずっとあのリズムに背中を押されてました。

ピアノの練習曲に「ハノン」というものがあります。ごく単純なリズムや音符を、繰り返し弾くことで、指をコントロールできるようにする、準備運動というか基礎練習です。

どろだらけになった食器とかを、袋に詰めてごみ捨て場まで歩いて運ぶ時にね、あぁ、これはハノンだと思いました。毎日、繰り返し、繰り返し、だめになった食器や本をビニール袋に入れて歩いては捨てる、そうすると、部屋が片付くのね。最初は、どろだらけの四部屋ぶんの畳なんて、絶対に片付けるの無理だと思ったんですよ。でもボランティアの皆さんが、全部庭に出して下さって。床のどろをすくって掃いて拭いて、毎日窓を全部開けて乾かしたら、ずっとましになったのね。水を吸った何枚もの座布団とか絨毯とかも、子供たちと力を合わせて運びだしたし、水を吸って重くなってカラーボックスから抜けなくなってたWJとかの雑誌も、とうとう運びだしました。

その、ちょっとづつだけど、前進するのが凄く嬉しい。

車が水没してダメになって、どこへ行くにも歩くしかなくて、それでも、足を前に出せば進んで、それを繰り返していけばお店に着くという、ほんとばかみたいに当たり前の事が、凄く嬉しかった。まるでダメじゃないの。ちょっとだけでも、進んでいるの。よく、いまの街の状態を壊滅とか全滅とか報道されちゃいますけど、そうじゃないのね。被災した者達は、本当に一歩づつ、一すくいづつ前進しているんです。

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明後日がくれば、震災から一年がたちます。以前よりは、「また地震がくるんじゃないか?また津波がくるんじゃないか?」という恐怖は、私の内ではだいぶ落ち着きました。いつくるか判らないモノと戦うってのは、本当にやっかいだなというのを、猛烈に感じます(笑)その時に向けて、立ち向かうエネルギーを貯えるのが、これからの一年なんでしょう。そうやって、むかってむかっていくのが、一番自分の支えになるだろうと思うので。
コメント (4)
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