漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

風邪のphaseを考慮した咳の漢方

2024年09月04日 13時55分41秒 | 漢方
前項に引きつづき、風邪の経過(phase)を考慮した漢方を考えてみます。
今回は咳・咳嗽。

それを参照させていただきます。

初期(熱のある急性期:太陽病期)は麻黄湯(26)入りの方剤が適用になります。
代表は小青竜湯(19)。

【小青竜湯】《傷寒論》:麻黄2-3.5;芍薬2-3.5;乾姜2-3.5;甘草2-3.5;桂皮2-3.5;細辛2-3.5;五味子1-3;半夏3-8



その後、咳が止まらずこじれてきたとき(熱が上がったり下がったり:少陽病期)は、柴胡剤を使用します。
柴胡剤とは、柴胡・黄岑入りの方剤です。
代表は清肺湯(90)、竹筎温胆湯(91)。

【清肺湯】《万病回春》:黄芩2-2.5;桔梗2-2.5;桑白皮2-2.5;杏仁2-2.5;山梔子2-2.5;
【竹筎温胆湯】《寿世保元》:柴胡3-6;竹茹3;茯苓3;麦門冬3-4;陳皮2-3;枳実1-3;黄連1-4.5;甘草1;半夏3-5;香附子2-2.5;生姜1;桔梗2-3;人参1-2

初期は麻黄剤、亜急性期は柴胡剤、という原則は鼻汁の項目と共通ですね。

回復期は人参入りの方剤を選びます。
代表は麦門冬湯(29)

【麦門冬湯】《金匱要略》:麦門冬8-10;半夏5;粳米5-10;大棗2-3;人参2;甘草2


風邪のphaseではなく、咳の性質により使い分ける方法もあります。

透明な痰 → 小青竜湯(19)
白色の痰 → 竹筎温胆湯(91)
黄色の痰 → 清肺湯(90)
乾性の咳 → 麦門冬湯(29)



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