NHK-BS 世界のドキュメンタリー 2014.8.10(再放送)
「わが子を“生食(ローフード)”で育てたい~ある母子の選択~」(原題:Rawer)
オランダ、2012年制作
<番組説明>
5歳のときから生野菜、果物、ナッツなどの加熱調理していないものしか食べていない、14歳のトム。彼の母親が、肉や魚、卵、乳製品はもちろん、野菜でさえも、加熱した食べ物はすべて健康を害すると信じ、食生活を制限しているのだ。
ある医者は14歳にしては身長が低いトムにはたんぱく質やカルシウムが欠如していると指摘し、彼を栄養失調と診断。さらに児童福祉審議会は、アフリカの欠食児童たちと同じように成長が阻害されているとして、裁判所の指導をあおいだ。
トムは母親に強いられているわけではないと証言するが、裁判官はトムの処遇を児童福祉審議会に委ねるという判決を下す。
セカンド・オピニオンを求めた母親は、医師に魚を食べさせるよう勧められるが、水銀による汚染が懸念される魚を息子に食べさせるつもりはないという。
母親が息子の健康のためにと信念を貫こうとする一方で、菜食を続ければ通常の食事をした場合より12センチも身長が低くなると言われ、思春期のトムの心は揺れる。
「食育」の参考になるかな? と録画して見たフランス制作のドキュメンタリーです。
本番組で紹介された母子は、いわゆる「菜食主義者」の極端な例・・・でしょうか?
アレルギー関係の本で「人間が食物アレルギーと向き合うようになったのは火を使い調理し出した頃からだ」という文言を読んだことがあります。火を通すことにより、それまで口にしなかったものを食材にしてきた過程で、ヒトの免疫系が“異物”と認識して排除する例が出てくるという意味です。
すると、この番組内で紹介された“生食”はまだ火の使われていない狩猟採集時代の食生活に戻ったことになるのかもしれません。ただ、肉は食べないので、動物性タンパク質は摂取できておらず、やはりバランスのとれた食生活とは言いにくい。
母親は現代社会における加工食品のマイナスデータを拾い集めて「加熱・加工食品は悪」と断言します。
「○○を食べると癌になる」「魚には水銀が蓄積されている」等々。
間違いではありませんが、あまりにも極端で正しいとも言えません。
要はバランス感覚なのでしょう。
その母親を見ていると、マイナスデータばかりを集めて医療を批判する船瀬俊介氏や、新興宗教にはまり聞く耳を持たなくなってしまった人々を思い出しました。
そういうヒトって、一定の比率で社会に存在しますね。
番組内では、栄養面の問題のみではなく、児童虐待としての視点で裁判沙汰になっていることも取りあげられています。
「1年間母親の元から離しての養育が必要である。」
との判決が下されましたが、この番組が放映されたことにより賛否両論が吹き荒れ社会問題化し、結局現在も母親の元で生活しているようです。
人間にとって理想の食生活については、現在でも議論中で答えは出ていません。
■ 「ヒトはおかしな肉食動物」
では、反芻胃を持たない人類は草食動物の条件を満たさず、肉食動物と言わざるを得ないと結論づけています。
最近では糖尿病患者の食生活として糖質制限食が注目を浴び、「炭水化物が人類を滅ぼす」という本まで出版されています。
<参考>
■ 「生肉・生レバーを子どもに食べさせるのはやめましょう」(日本小児科学会、2011年)
直接の関連はありませんが“生食”つながりということで。こちらは腸管出血性大腸菌(O-157)の感染対策です。
「わが子を“生食(ローフード)”で育てたい~ある母子の選択~」(原題:Rawer)
オランダ、2012年制作
<番組説明>
5歳のときから生野菜、果物、ナッツなどの加熱調理していないものしか食べていない、14歳のトム。彼の母親が、肉や魚、卵、乳製品はもちろん、野菜でさえも、加熱した食べ物はすべて健康を害すると信じ、食生活を制限しているのだ。
ある医者は14歳にしては身長が低いトムにはたんぱく質やカルシウムが欠如していると指摘し、彼を栄養失調と診断。さらに児童福祉審議会は、アフリカの欠食児童たちと同じように成長が阻害されているとして、裁判所の指導をあおいだ。
トムは母親に強いられているわけではないと証言するが、裁判官はトムの処遇を児童福祉審議会に委ねるという判決を下す。
セカンド・オピニオンを求めた母親は、医師に魚を食べさせるよう勧められるが、水銀による汚染が懸念される魚を息子に食べさせるつもりはないという。
母親が息子の健康のためにと信念を貫こうとする一方で、菜食を続ければ通常の食事をした場合より12センチも身長が低くなると言われ、思春期のトムの心は揺れる。
「食育」の参考になるかな? と録画して見たフランス制作のドキュメンタリーです。
本番組で紹介された母子は、いわゆる「菜食主義者」の極端な例・・・でしょうか?
アレルギー関係の本で「人間が食物アレルギーと向き合うようになったのは火を使い調理し出した頃からだ」という文言を読んだことがあります。火を通すことにより、それまで口にしなかったものを食材にしてきた過程で、ヒトの免疫系が“異物”と認識して排除する例が出てくるという意味です。
すると、この番組内で紹介された“生食”はまだ火の使われていない狩猟採集時代の食生活に戻ったことになるのかもしれません。ただ、肉は食べないので、動物性タンパク質は摂取できておらず、やはりバランスのとれた食生活とは言いにくい。
母親は現代社会における加工食品のマイナスデータを拾い集めて「加熱・加工食品は悪」と断言します。
「○○を食べると癌になる」「魚には水銀が蓄積されている」等々。
間違いではありませんが、あまりにも極端で正しいとも言えません。
要はバランス感覚なのでしょう。
その母親を見ていると、マイナスデータばかりを集めて医療を批判する船瀬俊介氏や、新興宗教にはまり聞く耳を持たなくなってしまった人々を思い出しました。
そういうヒトって、一定の比率で社会に存在しますね。
番組内では、栄養面の問題のみではなく、児童虐待としての視点で裁判沙汰になっていることも取りあげられています。
「1年間母親の元から離しての養育が必要である。」
との判決が下されましたが、この番組が放映されたことにより賛否両論が吹き荒れ社会問題化し、結局現在も母親の元で生活しているようです。
人間にとって理想の食生活については、現在でも議論中で答えは出ていません。
■ 「ヒトはおかしな肉食動物」
では、反芻胃を持たない人類は草食動物の条件を満たさず、肉食動物と言わざるを得ないと結論づけています。
最近では糖尿病患者の食生活として糖質制限食が注目を浴び、「炭水化物が人類を滅ぼす」という本まで出版されています。
<参考>
■ 「生肉・生レバーを子どもに食べさせるのはやめましょう」(日本小児科学会、2011年)
直接の関連はありませんが“生食”つながりということで。こちらは腸管出血性大腸菌(O-157)の感染対策です。