廣島パイレーツ・チャンネル

広島の名も無き”田舎侍”が地元プロスポーツを中心に色々と書いて行く過激なスポーツコラムや、広島の市政や街づくりについても

ハードボイルド時代劇 『筆殺仕立人』 第九話:序

2008-07-03 22:22:22 | Weblog
面白き 事も無き世を 面白く

格差、格差の野球界

熱き戦い仕立て上げ

闇の世界の仕立人

今宵も広島を駆ける...

                 

「駿ちゃん、こんなところに映画館があるの? 普通の商店街じゃない。」

「いえ、商店街じゃ無くて横道に入ったところです。」

「え...ここが映画館なの? 失礼だけど古臭い雑居ビルと言うか...」

「はい、ここの三階が劇場なんですよ。」

「ちょっと、大丈夫? まさか”大人向け”の映画じゃ...」

「着きました。 ここです。」

 映画館『サロンシネマ』は広島市内中心部に近い鷹野橋商店街から横道に入ったところにある。 建物の外見からではここが映画館だとすぐには分からない。 劇場は飲み屋などが入った雑居ビルの三階にあるのだ。


「小さいけど雰囲気の良い映画館だね。 ちょっと外見とのギャップが...」

「ここはいつも良質な映画をやっている劇場なんですよ。 ここの”目利き”なら安心だと思って聞いた事も無い映画も思い切って見たりしてます。」

 私は入口でチケットを買う。 一日違いでレディースデーじゃ無いのが痛いな。 上映開始までまだ時間がある。 場内には狭いけど雰囲気のあるロビーがある。 開場までここで映画の話をしよう。

「この”サロンシネマ”と言う名前の由来はサロンの様にくつろげる映画館と言う考えで付けたらしいです。」

「ここのオーナーの蔵本さんは広島では有名な映画人で、親から受け継いだ映画館をこうして個性的なミニシアターにリニューアルし、それに加えて市内中心部にもミニシアターを造り、更に廃業した映画館も買い取って今は広島市内で4つのミニシアターを運営されているんですよ。」

「ふーん、広島にも凄い人がいるんだね、同じ女性として感心しちゃう。」

                  

良質な映画にもっとチャンスを!「シネマ・シンジケート」スタート - goo 映画良質な映画にもっとチャンスを!「シネマ・シンジケート」スタート - goo 映画

 私の職場にも映画が好きな人は何人かいますけど、彼らが話題にしているのはハリウッドの大作か、日本映画でもテレビでバンバンCMを流しているものとか、テレビドラマの映画版みたいなものばかりですからね。 私も映画大好きだけど、あの人達の話題には入れないんですよね。 私はミニシアターに掛かっている地味だけど面白い邦画が好きで、全く趣味が合わないものですから。 今回の試みみたいに全国の”街の映画館”が組んで上映作品のPRをするのは面白いですし、最近全国各地に出来た映画などの撮影を誘致するフィルムコミッションなども巻き込んでもいいなと思っています。 地域密着で映画を作り、それを全国の”街の映画館”で上映して地道に人気を出して、派手な広告の出来ない地味な映画と一緒に無名だった主演女優さんとかもメジャーになれば...なんて夢を描いてしまいますけどね。

「そう言えば駿ちゃん、この間水野晴朗って人が亡くなったよね。」

「映画解説者って言葉、もう死語同然になっていますね、テレビでは聞かなくなりましたし。」

「本当だね、毎週やっている映画番組とか少なくなったものね。」

「今は映画評論とか難しい時代ですね。 だってテレビ局自身が映画制作に深く関わっていますからね。 そのテレビで映画について思うままの批評は難しくなりましたよね。」

「私の高校時代の頃は毎週やっているローカルの映画紹介番組があって、上映中の映画には気を使ってしゃべってましたけど、上映終了した映画の事は言いたい放題でしたよ。 でも今はビデオやDVDのレンタルや販売がありますから下手な事を言えば営業妨害になりますからね。 これからの時代、映画評論家なんて職業は無くなるかも知れませんよ。 だからこそ素人の口コミが必要なのだと思いますけどね。」

「でも映画って本当に大勢の人が一生懸命になって作っているんだよ。 見るだけの人は言いたい放題言えるけどね、でもやっぱりどんな映画でもいいところはどこかにあると思うよ、細かいところまでちゃんと見て欲しいな。」

「”エリカ様”も映画お好きなんですね。 内側の事まで詳しいですし...」

「い、いや私は一般論で言っただけだから。 気にしないでね。」

                  

 映画が終わった後、私は”エリカ様”を広島駅近くの宿泊先のホテル前まで送り、いつも通り自分は一旦JRにに乗ってとりあえず家に引き上げた。

                   

「駿ちゃん、仕立だよ! いつもの場所に来てちょうだい。」

 携帯に”エリカ様”から連絡が入った。 私は早速広島市内の『横川胡子神社』へと向かった。 今回も”エリカ様”はいつも通り神社の縁石にお金と試合のチケットを並べた...

「これが頼み料です。」

「今回の頼み人は市民球場最後の年にプレーオフ進出を願う多くのカープファン。」

「やる相手はスワローズ、監督の高田、四番打者の畠山、外野手の青木、ガイエル、内野手の宮本、田中。」

「じゃあ、頼むよ。」

「はいっ! ”エリカ様”。」

                  

 私は横川胡子神社を出て市民球場へ向かう。 ここのところ立て続けに仕立に失敗しているだけに今度こそは負けられないな。 セ・リーグは2位から下が混戦状態になっているし、スワローズはプレーオフ出場権争いに勝ち抜く為にもここで叩いておきたいものです。

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 ...異常です。