廣島パイレーツ・チャンネル

広島の名も無き”田舎侍”が地元プロスポーツを中心に色々と書いて行く過激なスポーツコラムや、広島の市政や街づくりについても

ハードボイルド時代劇 『筆殺仕立人』 第拾話:序

2008-07-21 22:22:22 | Weblog
面白き 事も無き世を 面白く

格差、格差の野球界

熱き戦い仕立て上げ

闇の世界の仕立人

今宵は名古屋を駆ける...

                     

 私はカープの応援の為、名古屋までやって来た。 アウェーゲームを見るのは昔、横浜スタジアムでカープの試合を見て以来です。 あの時は長谷川投手が先発して打線も援護してカープの快勝だったと記憶しています。 これが唯一のアウェーゲームです。 だから今のところ私はアウェーゲーム勝率100%です。 今度の試合も勝って記録を伸ばしたいですね。

 私は解禁されたばかりの青春18切符を使って広島⇒岡山⇒相生⇒姫路で唯一の食事をして新快速に乗って米原⇒大垣...と乗り継いで名古屋まで来ました。 広島を7時前に出て名古屋に着いたのは16時過ぎになりました。 大阪にはよく行っているけど名古屋まで足を伸ばしたのは久しぶりだったのでさすがに疲れましたが。

 祝日という事もありますけど広い名古屋駅は人で一杯で活気がありました。 久しぶりに来たとは言え、来た事があるはずなのに駅の中で記憶がある場所を探すのが大変な状況です。 金の時計広場に出てやっと前に来た時の記憶が蘇って来ました。 どうやら出口を間違えたらしい。 新幹線は反対側の太閤通口から降りて来るのだった。 急いで新幹線口に迎えに行かなくては...


 私は駅の自由通路を通って太閤通口に回り、そこで新幹線から降りて来た”エリカ様”をお迎えした。

「遠い名古屋までわざわざすみません。 お疲れになったでしょう。」

「私は名古屋の方が広島より近いから大丈夫だよ。」

「野球の応援も大変なんだね、遠い街までこうして来る駿ちゃんみたいな人もいるんだから。」

「とりあえず食事にでもしませんか? 下見して店も探しておきましたので。」

                     

 桜通口から名古屋駅を出て隣に松坂屋がある。 そこの食堂街『テルミナ 味の街』に名古屋の名物料理の店が集まっている。 多過ぎてどこに入るか絞って考えるのが難しい程だ。 私は八丁味噌料理の店に”エリカ様”を案内した。

「私は昔から味噌カツとかきしめんとか名古屋料理が好きで旅行で来たらよく食べているんですよ。 東京に行く時までわざわざ途中下車して食べたり。」

「最近は東京でも人気があって専門のお店も出ているよね。」

 店はビルの7階にあって駅前のロータリーを上から見下ろす感じになっている。 とりあえず料理を注文する。 私は夏らしい『ざるきしめん定食』を頼んだ。 名古屋名物が色々入っている。 それとは別に『味噌おでん5品入り』を頼み、酒はビールが定番だが、ちょっと張り込んで冷酒にしました。 銘柄は『くどき上手 純米吟醸』で。 メニューの中で一番安かったからですが...

                     

「”エリカ様”、クイズでもしませんか?」

「クイズ??」

「今、私が頼んだ料理をどの順番で箸を付けるか当てるんです。」

「”欽どこ”の人気コーナーのパロディーでして、昔よく妹と当てっこしていたんですよ。」

「駿ちゃん...言っている意味が分からないんだけど、”欽どこ”って何?」

「え...? すみません、”エリカ様”はまだ生まれていなかったんですよね。」

「”欽どこ”は『欽ちゃんのどこまでやるの』って番組名の略で、私の子供時代に萩本欽一さんは冠番組を週に何本も持っていたんですよ。」

「え、萩本さんってそんなに凄い芸能人なの。 最近は野球のユニフォーム姿ばかり見ていたから野球界の人かと...」

「じゃあ、とにかくクイズやりましょう。」

「私が注文したのはお酒を除くと①味噌カツ②ざるきしめん③五目ちらし④豆腐田楽、それと⑤味噌おでんの計5品です。 私が箸を付ける順番を当てて下さい。」

「私は目をつぶっていますから、”エリカ様”はこの紙に番号で書いて下さい。」

「......難しいな、5品もあるし。 じゃあ書いたよ。」

                     

                      

                      

                      

                      

                      

                      

                      

                     

「じゃあ、いただきます。 まずは味噌おでんですね。 広島地方だと昆布と煮干の出汁と醤油で煮込んで味を付けるのですが、これは出汁で煮て薄味を付けたおでんに八丁味噌で作ったタレを付けて食べるみたいですね。 美味しいですよ。」

                      

「次はざるきしめんです。 きしめんにも色々バリエーションがあるみたいですけど、今回は夏らしい冷やしで。」

                      

「次は味噌カツです。 今回は定食メニューの一部なのでヒレカツです。 味噌カツもロースカツにヒレカツ、串カツ...など色々バリエーションがあるみたいですね。 味噌チキンカツなんてのもありましたよ。」

                      

「次は五目ちらしです。 これは名古屋名物かどうかよく分からないですね。」

                      

「そして最後に豆腐田楽です。 焼いた豆腐に八丁味噌のタレが付いていますね。」

                      

「どうです、”エリカ様”。 当たりました?」

「もう!こんなの難し過ぎて当たる訳無いじゃん。」

                      

 私は”エリカ様”を名古屋駅近くのホテルまで送ってその場は別れた。 私はと言うとまで行って前に泊まった事のあるカプセルホテルを探す事にした。 そして翌日...

                      

「駿ちゃん、仕立だよ! 熱田神宮まで来てちょうだい。」

 ”エリカ様”から指令が入った。 私は早速JRで『熱田神宮』に向かった。 熱田神宮は熱田駅から歩いて10分ほどだ。 名鉄の駅からならもっと近いのだが。 熱田駅を出て神宮の入り口に向けて”門前町”(?)の神宮前商店街を歩く。 その先に名鉄の駅と駅ビルがあり、そこから信号を渡れば熱田神宮だ。 熱田神宮は広くて街中の森みたいな独特な雰囲気があるな。 広島にはこんな場所は無かったと考えながら正門を通って神宮の奥、正殿の方へ向かって歩く...

「駿ちゃん、遅かったね。 名鉄で来る様に言ったでしょ、汗びっしょりじゃない。」

「すみません、こんな広い森の様な神社は初めてなので感心しながら歩いていたので。」

「そう? 明治神宮とか、こう言う神社は普通にあると思ってたけど。」

「ところで、どうしてこの場所を選んだの? いつもは小さな町の神社なのに。」

「有名な桶狭間の戦いの時、居城を出撃した織田信長はこの熱田神宮に立ち寄って戦勝祈願し、同時に部下の集結を待っていたそうですよ。 私たちも信長に倣ってここで勝ち運を付けようかと。」

「ふーん、相変わらず歴史とかには詳しいんだね。」


 そしていつも通り”エリカ様”はチケットとお金を取り出して神社の大石に置いた。


「これが頼み料です。」

「今回の頼み人は市民球場最後の年にプレーオフ進出を願う多くのカープファン。」

「やる相手はドラゴンズ、監督の落合、四番打者のウッズ、外野手の和田、内野手の荒木、井端、中村、捕手の谷繁。」

「じゃあ、頼んだよ。」

「はいっ! ”エリカ様”。」

                      

 私は『熱田神宮』を出てナゴヤドームへと向かう。 ドラゴンズとは先々週ホームの広島で当たって連勝し、一気にスウィープ(三連勝)出来るかと言う勢いだったのだが3戦目に延長戦で競り負け、あれ以来カープは苦闘を続けている。 逆に言えばアウェーのドラゴンズ戦が巻き返しの良い機会になるはずです。 来月にはオリンピックで各球団の主力が代表チームに召集されて戦力ダウンします。 少し上位との差は開いたけどそれを考えると絶望する理由はどこにもありません。 明日こそ勝って私個人のアウェー連勝記録も伸ばしたいものです。

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