小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

押尾学

2010-09-03 23:14:06 | Weblog
押尾学の初公判が開かれた。もちろん私は押尾学という人は知らない。私が疑問に思うのは、氏は心臓マッサージをして、やるべきことはやったといっている点である。氏は正しい心臓マッサージの仕方を知っているのだろうか?救命の時、心臓マッサージをしなくてはならない。この心臓マッサージの仕方は、肘を完全に伸ばしきって体と一体とした棒とし、体の体重全部をかけてやらなくてはならない。肋骨が折れてしまうほどの力を入れてやらなくてはならないのである。相当な力を加えてやらなくてはならないのである。オウムの時など、いくつかの映像でも見たが、一般の人は、正しいやり方で心臓マッサージはやっていない。肘を曲げて手で押しているだけである。こんなおやさしいやり方ではダメなのである。心臓マッサージは腕の力ではなく、肘を突っ張って掌を重ね合わせ、背中の体重をかけてやらなくてはならないのである。肋骨など折れてもいいのであり、また肋骨が折れるほどの力をかけてやらなくてはならないのである。
だいたい、一般の人が救急で心臓マッサージをする機会など一生に一度もないだろう。だから、正しい心臓マッサージの仕方を知ってる人など、極めて少ないだろう。

強すぎる力を加えては危険、という気持ちが起こりやすい。
私が研修医の時、三人目の指導医は、元、外科医だった。師は非常に深みのある事を言った。

「治療はアグレッシブ(暴力的)にやれ」

もっとも私はそれは聞く前から、そうあるべきだとは思っていた。しかし、医者は、ことなかれ主義の人が多いから、本当のことは、なかなか言ってくれないものである。本音を言ってくれる先生こそがいい先生である。つまり医療行為による副作用を恐れて、研修医は薬の投与しすぎを恐れやすい。そんな、おやさしい治療では、患者は死んでしまう。治療によって患者を殺すことを恐れるな、治療は堂々とやれ、という意味である。

大学の時の口腔外科の教授も非常に重いことを言った。

「医者に一度目の失敗は許される」

実に意味深い。

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