かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 320(トルコ)

2019-08-03 18:52:31 | 短歌の鑑賞
 馬場あき子の外国詠43(2011年9月実施)
   【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P142~
   参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、
        渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:曽我亮子    司会と記録:鹿取未放


320 インジェ・ミナーレ神学校といふはいづく冬寒くそこに斃れしいもうと

      (レポート)
 インジェ・ミナーレ神学校というのはどこにあるのだろう。寒い冬にそこに亡くなった妹よ。ひとりでどんなにか心細く寒かったことであろう。亡くなった妹君に寄せる作者の限りない愛と哀しみが読者の心に迫ります……
 モスクの反対側に1258年に建てられたインジェ・ミナーレは「塔」であり、神学校ではないようだ。近くにあるスルチャル神学校のことではないかと考える。又は有名な、現在セルジューク陶器の博物館となっているカラタイ神学校なのかもしれない。(曽我)


     (まとめ)
 結句を体言止めにして、痛切な妹への思いを表現している。3句の終わりを「いづく」と疑問形にしているのは、妹の亡くなった「インジェ・ミナーレ神学校」というのがそのままには残っていないせいだろう。後の歌を読むと妹さんが斃れられた現場へは行かれたようだが、この神学校は現在、彫刻博物館になっている。インジュ・ミナーレは「細いミナレット」の意味だが、落雷で上部が失われ今は太くずんぐりしたミナレットが残っているという。写真で見ると博物館になっている建物は外壁がみごとな浮き彫りになっている。(鹿取)
 

コメント
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