「あの日に帰りたい」、けれど誰も帰れはしない

2007-07-21 21:21:51 | Weblog
わが家の猫を見ていて、フト思った。

外で遊んで、雨に濡れながら帰ってくると、すぐにセンタクを始める。
センタクをさっさとすませると、自分のベットに飛び乗る。くるりと寝転が
ると、両の後ろ足を前足2本でキューッと抱き寄せて、もう幸せそうに目を
細めるのである。さっきまで、「早く入れろ入れろ!」と勝手口のドアを引
っかいて、ギャオギャオ大騒ぎしていたのに。

こうして、猫は、いともかんたんに気分をかえて、ストレートに幸せになる
ことができるのだ。人間以外の動物の脳は、シンプルで便利にできている
なぁ、と羨ましくなる。


人間も、子どもの脳は、動物に近いらしい。子どもがすぐに機嫌を直すこと
は、昔から「いま泣いたカラスがもう笑った~」などと、言われることでも
分かる。

子どもの脳は、一瞬ですべてを把握する能力があるそうだ。だから、言葉も
満足にしゃべれないのに、小さい時の記憶が、大人になっても鮮明に残る
場合があるのだろう。

その時の周囲のオトナたちの感情とか、状況とか、雰囲気とか、自分の本
音など、すべてを何となく理解しているのである。いわゆる「シックスセンス」
といわれるものに、似ている。

それが、少し大きくなって、言葉を使えるようになると、論理が先行するこ
とによって、感情がそのまま脳に入ってくるという能力は、消えてなくなる。

何も考えず、無心に遊んで、後のことを考えてエネルギーを多少保存してお
こう、などというあざといこともせず、エネルギーがゼロになる瞬間まで無
茶して、ゼロになったとたんにパタッと倒れこんで眠る、という無垢の幸せ。


そんな「無垢の幸せ」が、また自分に戻ってきてほしいと思うけれど、悲し
いことに、論理でしかモノを考えなくなっている大人の脳では、難しいかも
しれない。これが”進化”だとしたら、失ったものの大きさを、せいぜい惜
しむしかない。


大事な人を”喪失”して、たとえ死ぬほど嘆き哀しんだとしても、世界は何
ひとつ変わらない。驚くほど、平穏である。空の色、草のそよぎひとつ、変
わることがない。いったい、どうなっているんだ!と思っても、粛々と世界
は進んでゆく。「諸行無常」である。

そう。自分という人間は、今は確かに存在しているのに、ある日ものの見事
に消えてなくなる。しかし、世の中には何の影響もない。そんなバカな!と
小学生の私は、いつも悩んでいた。

私が死ぬんだよ!この手だって無くなるんだよ!それなのに、なんで世の
中は平気なのさ、すこしも驚かないのさ、と。

しかし、ある時から考える事をあきらめてしまった。なぜだろう。疲れてし
まったのかもしれない。

死ぬということは、特別な事ではない。ふすまを開けて、次の部屋に入るの
と同じこと、と誰かが言ったからだろうか。似たような喩えを使う人は、た
くさんいる。だったら、きっとそうなんだろう。

自分の体が自然の中の一部だとしたら、生まれることも、死ぬことも、自然
の一部としての”流れ”なのだろう。だから、世の中も世界も変化すること
などはないのだ。


あの日に帰りたい、あそこからやり直したい、と思うことはたくさんあるけ
れど、もはや帰れないのである。せめて今からは、後悔しないように精一
杯生きていかなくちゃ~、大事なものを粗末にしないようにしなくちゃ~、
と心新たにするのである。

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25 コメント

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いつもの水増しだよ~ん (建コン一擲)
2007-07-22 20:56:26
わたしは“あの日”なんてわがままいいません。先週の今日まで帰れればそれで十分です…。
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失わないと分からない事 (トーコ)
2007-07-22 22:51:10
建コンさん!

「あの日に帰りたい」、ユーミンの歌かよ!と思われるでしょうが、結局どこまで戻っても、一緒なんだろうね。

修正しても、たぶん50歩100歩。

最期の時、サバンは「死に場所」に向かおうとしたんじゃない?
たとえば「象の墓場」のような場所。狼の野生を取り戻して。

それにしても、サバンにはたくさんのサービスをしてあげられて、ホント良かったですね。すごく満足して旅立ったと思う。
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多少は (個風)
2007-07-23 02:32:06
その場その場で

全力尽くし

立場なくして

馬鹿にされ



…深い意味は無いです(^^;)



昨日、家族でケーキバイキングに行ったのですが、制限時間一時間の半分しか食べられませんでした。それでもお腹いっぱいで、夜は軽い晩酌をして寝たのですが…

気持ち悪さで目が覚めました(x_x;)

多少は先の事を考える必要が…大人にはあるようです(娘は夕食食べてましたから)
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ギャル曽根の胃、見た~? (トーコ)
2007-07-23 10:55:57
バイキングとか食べ放題とか、若い時から縁がありましぇん。
小鳥のように小食なもので

でもたくさん食べる人は、尊敬します。パワーを感じるから

個風さん、ケーキで胸焼け?甘いものは、特に生クリームはヤバイですぜ~。たぶん、しっかりオジサンに進化していると思います・・・ぷぷぷ

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こどものようにはいきませんね (nonbo)
2007-07-23 11:34:07
病み上がりでも、子供なら一変に元気になるのに・・・。
回復している体に心がついていきません。
心が元気になれば、体もしゃんとするのでしょうが、ずるずるとひきづっています。
そういえば、子供のころの夢ばかり見ていたのですが、本能的に子供にかえりたいと心が欲しているのかも知れませんね。
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あの日に帰りたいよーーーっ ( のっち)
2007-07-23 19:42:40
あの日とは、2週間くらい前でいいんですけど、
勉強したい。レポート書きたい。

本日より怒涛の試験ウイークが始まりました。
今日のテストは「施設臨床特論」「比較保育概論」「精神保健」

これから「子どもマーケット」のレポート書きです。
お題は「子どもを取り巻く市場環境消費動向について」

昨日も今朝の朝3時半まで「青少年行政特論」の
弱君年夫婦の児童虐待防止施策を考えるだとか、

「少年非行臨床特論」の性非行少年の処遇と被害者心理を考えるだとか、

他にも「学童保育特論」のプレゼンの準備だとかしてたの。

まだまた試験、レポート、プレゼンが今月いっぱいある。。。


2週間前からがんばっていればね。。。


愚痴っただけよ。気にしないで

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訂正です。 (のっち)
2007-07-23 19:45:28

弱君年夫婦の児童虐待防止施策は

若年

でした。

ああー、エンジンかからない。。。/kaeru_yodare2/}
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おつかれ・・・? (いしとも)
2007-07-23 20:00:08
きゃはは、のっちもお疲れね♪

いしともも、35人の招待客を自宅に招いての
一大イベント・花火大会が終わってちょっと放心。

昨日は車をインロックしちゃった…。
あ、今どきの車じゃそんなことないって??? ぎゃはは。

ああ、脳のシナプスがビシバシに繋がっていた
10代いえ、20代の頃に戻りたい…。

これ以上脳を老化させないようにしなくっちゃ!!!

え?、何もかも忘れて、エネルギーが0になって
ぱたんと倒れるまで無心に遊べばいいの? 

そんなの簡単だよぉ~♪ 

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美味しい物ジャカスカ食べよう (トーコ)
2007-07-23 22:03:25
nonboさん!

病み上がりなのに、コメントくださって、嬉しいやら嬉しいやら(笑)

子供の頃の夢を見るんですか?良い方?悪い方?
私は毎回決まって、子供の頃見た悪夢を、何度も再生して見ていました。ほとんどパニック映画みたいな。

最近はあまり見ませんが、もうあの頃には決して戻れないって、脳が悟ったのかな~
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O型は綱渡りの名手 (トーコ)
2007-07-23 22:24:10
のっちさん!

切羽詰って、前のめりにつんのめってますね(笑)
そんな”地獄の1丁目”からのコメント、有難いやら有難いやら。

タイヘンそうですねぇ・・・ぷぷぷ。大学って、概論だの総論だの特論だのと、的がでかすぎて、頭痛が痛くなりますね。

ふ~む、若年夫婦の児童虐待防止施策を考える・・・若年夫婦だけの問題でもない気がするけど、総じて試験、レポート、プレゼン、死にたくなるほど盛りだくさんですなぁ。

のっちさん、今頃、PCまわり掃除してたりして~
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