
昨日の神奈川新聞に共通試験問題が掲載されていたので、ヒマにまかせて国語の問題を解いてみたところ、すらすら解けて(ケアレスミスが一か所あって)98点でした。大学入試問題もずいぶん易しくなったもんだと思って改めて見直すと、大学ではなく高校入試問題だった!ぎゃふん!となりました(古文や漢文の問題が無かったから途中からおかしいなと思った)。
そんなのほほんとした日々を過ごしているのですが、パルタイに続いて読んだのがこちら。
倉橋由美子の代表作と言っていいかと思います。すでに廃刊になっているようで、図書館から借りてきました。
スミヤキストは炭焼党(カルボナリ)をもじったそうです。
Qは主人公のイニシャル。Qに含まれる意味はわかりません、あまり意味ないかもしれない。
Qといえば、阿Q正伝の主人公もそうですね。
この時代はほかにも、ウルトラQにオバケのQ太郎、スージーQにメロリンQ、Qがつくものがたくさんありました。昭和の時代はQが大人気。
こちら内容紹介。
しょっぱなを読むと、これはコミュニスト(特に反スターリン主義)を風刺した小説なのか?そうなると、"所長"が資本を表していて、"同室者"が宗教を表したりしているのかな?と、実際の世界との写像を求めようとしながら読んでいたのですが、途中からハチャメチャな展開になってきて、よくわからなくなった。
作者のあとがきによれば、「この小説が日本の左翼の不毛性なりマルクス主義的人間の滑稽さを風刺したものであるらしい、と思われては迷惑な話」だそうです。すなわち本作は、イデオロギーを主張している小説ではありません。また作者は、「小説を読んでも音楽を聴いても、すぐさま自分の感情を移入し、あるいは自分の限られた知識と経験を動員して「これは何を意味するか」と解釈に奔走するのは、「旧人類インテリ」の悪い癖です」と、痛烈に皮肉っています。
なので、あまり現実世界との対比は考えず、ストーリーに入り込んでそのまま楽しめば良い本だということでしょう。あえてカテゴライズするならば、冒険小説でしょうか。『不思議の国のアリス』のように、次に何が起こるのだろうという非日常な世界(これこそが倉橋由美子ワールド)を楽しむのがよい読み方なのかと思います。
読みやすい文体で、さくさくっと読める一冊ですが、不思議な読後感があります。パルタイもそうでしたが、ある程度、読者による自由な解釈を受け入れる作品といえるのでしょう。
巻末には作家案内がついてます。
著書目録も。
もうちょっと倉橋由美子作品を読んでみようと思います。
安部公房的な超現実性と泉鏡花的な幻想性に、昭和の時代のグロテスクさを加味したような作風で、わたしの好みの小説ではあります。
書誌事項。
p.s. 王将戦、永瀬が一矢を報いた。聡太の終盤での悪手は珍しい。
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