安部公房で未読だった一冊。
安部公房ワールド全開の作品。
「他人の顔」と「密会」を合わせたような、危機感と緊張感を含む展開で、面白く読めました。
描きおろし作品、初出は昭和42年。
文庫化は昭和55年。昔は文庫化までの期間は今より長かったのかな?
また未読の安部作品を探して読もう。
しかし、昔の文庫本は字が小さいので目が疲れる^^;
※※※ 追記 2024/11/4
本作の元になった短編小説「カーブの向こう」を読んだことを機会に、本作を読み直してみました。
ストーリーで印象に残っていたのは、探偵が行方不明者を追跡するシーンで、裏タクシーや野外売春などです。しかし、本題は、人を探すのではなく、自分を見失うことだということを確認しました。この本題が、読み直す前には思いだせなかった。
行方不明者を探す探偵が自分の存在を失う(=カーブの向こうの世界を失う)ことについては、「安部公房は小説の中にリカーシブコールをプログラミングしたのだ」という印象です。恥ずかしながら、一度めに読んだときにはこの構成に気づかなかった。やはり小説は繰り返して読むこと大事ね。
ところで、浜田省吾の「愛を眠らせて」という曲の歌詞で、♪燃え尽きた地図の中で、というフレーズが出現します。この曲はこの小説にインスパイアされたものなのでしょうか?
※※※ 追記おわり 2024/11/4
p.s. 塩分とカリウムがオーバー、ミートソースの塩分とトマトが原因。
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