ある中高年の会社員が、いま自分が会社のためにもっとも役に立つことはなんだろう?と熟考を重ねて得た結論が「それは自分が会社を去ることである。」であった、という笑えない笑い話をどこかでみたことがあるのですが、いまや日本企業では業績向上の名の元に、当たり前のようにリストラが行われています。なにを隠そう私も早期退職ですし^^;
生産性が低く給与が高い中高年社員に退職金を上乗せしてでも辞めてもらうことは、企業の体力向上については効果的と言えるだろうし、資本主義下で利益創出を一の目的とする株式会社の形態においてはやむなき手法であると言わざるを得ません。
しかしながら、企業が社会の一部であるとすれば、企業が社会の役割を一部担っていると考えれば、リストラの是非は議論の入る余地があると思います。
社会におけるリストラはどういうものか?それは、弱者が自ら死ぬ権利を認めることではないでしょうか。
以上は余談です。
この本は、弱者が死ぬ権利を認めること(本書では自由死と表現しています)を読者に問いかけます。自由死をめぐり、さまざまな意見が見られます。
主人公、朔也の母親は自由死を望みながら、事故で死にました。朔也は母親が自由死を望んでいた本心を知りたく、仮想空間に母を再現させることからストーリーは始まります。
母親の友人との出会い、同僚の反社会行為、売れっ子デザイナーとの出会い、などさまざまなイベントを通し、主人公の心境にも変化が生まれていきます。
2040年の日本が舞台ですが、社会描写の生々しさ、科学技術発展の具体性、文化の変遷の現実性など、リアリティに溢れているところは平野文学らしいところです。
このキャッチコピーはいまいちピンとこないですが、、
作者プロファイル。
書誌事項。
これにて平野啓一郎の小説はほぼ読みました(短編集を除く)。
今回読んだ「本心」が一番心に響きました。
ほかに繰り返して読みたい本も何冊かあります。
近々、三島由紀夫論が発刊されるようなので、これは出たらすぐに読みたいと思います。
p.s. 魚が多くてたんぱく質、カリウムがオーバー。健康な人ならむしろ良い食事。
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