性愛と官能の秘訣?


愛する感覚
あなたのくちびるが
わたしのくちびるに
かさなる瞬間まで
じっと見つめていた
そしてまぶたをとじて
じっくりと味わった
わたしは全ての感覚で
あなたを愛するから
ひとり思い出すとき
この目もこの耳も
わたしの全てが
あなたを恋しく思う
by レンゲ
『レンゲの極私的詩集』より
デンマンさん、これって、あたしが書いた詩ですよね。
そうですよ。レンゲさんの詩は、なかなか読み応えがありますよ。いつものことですが。。。
そう言ってくださるのはうれしいのですけれど。。。
なんですか。。。?奥歯に物が挟(はさ)まったような言い方ですねぇ。。。あまり嬉しそうでもなさそうですね。どうしてですか?
デンマンさんは、またあたしが気になることを言うのでしょう? 今度も必ず何かあたしが落ち込むようなことを言いますわ。。。きっと。。。
僕は何度も言いますが、レンゲさんは僕の心の恋人なんですよ。僕はレンゲさんのことを愛しているんですよ。こうしてレンゲさんが書いた愛の詩を持ち出してきて、レンゲさんの心を傷つけるようなことを言うはずがないじゃないですか?
でも。。。でも。。。あたしは、これまでにデンマンさんから心が傷つくようなことをたくさん言われてきたのです。あたしは、何度となく悔し涙を流してきたのですわ。
ほおォ~~。。。それほど心に突き刺さるようなことを僕がこれほど愛しているレンゲさんに言いましたか?
とぼけないでくださいなぁ~。んも~~。。。デンマンさんは、何もかもご存知ではないですか?
だったら、レンゲさんだって僕がレンゲさんのことを心から愛していることを知っているでしょう?
デンマンさん、。。。あたし、その言葉はもう聞き飽きましたわ。日本人の男の人って、そうやって面と向かって“愛しています”なんて言いませんわ。
レンゲさんは、また僕に同じ事を言わせるのですか。。。? だから、僕は言ったでしょう?僕は日本人に生まれたけれど、一度日本人の自分を解体して、改めて国際人としてのデンマンを構築したと。。。
ええ、聞きましたわ。でも、国際人であろうが、火星人であろうが、あたしに面と向かって“愛しています”なんて言った人、これまでに一人も居ませんわ。
僕がレンゲさんに向かって“愛しています”と言うのはいけませんか?
いけないことはありませんけれど。。。でも。。。こういう時に言われても。。。
愛なき批判は空虚にして、
批判なき愛は盲目なり
何ですの? またこんな標語を持ち出してきて?
レンゲさんは、そうやってとぼけるのですか?僕がこの標語を座右の銘にしている、と何度も言っているでしょう?
ええ、。。そのことも、もう聞き飽きましたわ。デンマンさんの言おうとしていることは分かりますわ、でも、あたしは、いつでもナイフを心にグサリと突き刺されているような痛みを感じるのです。
“良薬口に苦し”とも言いますよね。レンゲさんは、歯の浮くような甘い言葉をかけられて、チヤホヤされるのが好きなんですか?
そうではありませんわ。
でも、レンゲさんは僕に批判めいたことを言われるのがイヤなんでしょう?
デンマンさんは、あたしに厳しすぎますわ。
“厳しさ”と“愛”とは表裏一体なんですよ。愛には必ず厳しさがなければならないんですよ。その事は定さんも予審調書の中で次のように言っていますよ。

(大宮先生は)私に夫婦や女の道を話して聞かせてくれました。
「夫婦は生活本意で、色事は夫婦の交りのためとは言え第二の問題である。
男女間でも色事は第二でなければならない。
心と心と触れ合って居ればそれで満足しなければならない。
俺はお前を見ればそれで安心するのだ。
お前は手を握っても直ぐ眼の色を変えるほど色情が強過ぎる。
男女一緒に寝ても自制出来るぐらい修養しなければならない。
俺は関係しないと思えば絶対関係しない」
私は実につまらないと思いましたが、意志の強い立派な人だとも思いました。
『自伝・阿部定の生涯 その2』より
定さんは大宮先生に愛されていると思っていますよ。だからこそ “つまらないと思いましたが、意志の強い立派な人だ”と思ったんですよね。
デンマンさんはくどいですよ。また同じ事を書いているではありませんか?
レンゲさんがなかなか理解してくれないからですよ。“愛のムチ”という言葉を聞いた事があるでしょう? とこしえの愛というのは“愛のムチ”がないと長続きしないものなんですよ。つまり、次の標語で言っている通りですよ。
愛なき批判は空虚にして、
批判なき愛は盲目なり
この標語で言っている事とは。。。?
だから、定さんと吉蔵さんの愛は“盲目の愛”だったんですよ。大宮先生が定さんに言ったような“愛の厳しさ”がない限り愛は盲目になってしまう。そして行き着くところは愛の破綻、それから死ですよ。大宮先生は分かっていた。分かっていたからこそ定さんとの愛にのめり込んでいかなかった。
つまり、あたしと洋ちゃんの愛は盲目の愛だと言うのでしょう?
僕は断定しているわけではありませんよ。
でも、それがデンマンさんのおっしゃりたいことですわ。今度の詩だって、結局その事が言いたくて持ち出したのでしょう?
違いますよ。
どう違うのですか?
タイトルを見れば分かるでしょう? “性愛と官能の秘訣?”
分かりましたわ。今日は難しいことなしで、分かり易いようにあたしの質問に答えてくださるのですね?
そのつもりです。では、まず次の写真を見てくださいね。

なんですの。。。? この写真があたしが洋ちゃんとエッチしてイケない事に関係があるんですの?
そうですよ。
これまでのように写真とか絵を持ち出してきて、またあたしを煙に巻くつもりなのですね?
違いますよ。絵とか写真の方が目で見て分かり易いし、その方が理解し易いでしょう?だから、僕は絵とか写真をたくさん使うんですよ。それに面白いし、興味がわくでしょう?そう思いませんか?活字だけ見せられて、僕のように長々と記事を書いたら、誰も読んでくれる人が居なくなってしまいますよ。でしょう?
。。。まあ、確かに、デンマンさんの記事は長いですから、活字だけだったら、退屈して飽きてしまうでしょうね。
そうでしょう?レンゲさんだって、そう思うでしょう?
つまり、退屈さを紛らわせるために絵とか写真を持ち出してくるというわけですの?
違いますよ。絵とか写真を持ち出した方が、読む人に分かり易いんですよ。具体的に話を進めることができますからね。活字だけだと、理屈を捏(こ)ね回すようで、僕のように長い記事を書いたら、ただウザイだけですよ。でしょう?
分かりましたわ。それで上の人間とアヒルが一体どうしてあたしと洋ちゃんがイケない事に関係してくるのですか?
じゃあ、次の絵を見てください。

アヒルの親子が仲良く歩いているところですわ。
レンゲさんにも分かりますか?
幼稚園児でもそのぐらいのことは分かりますわ。
確かにそうです。この絵はアヒルの親子が描かれている。。。で、その上の写真ではアヒルの親子には見えませんよね?
もちろんですわ。人間の大人の後をアヒルが並んで歩いているのですわ。アヒルの親子ではありません。そのぐらいのことは幼稚園児でも分かりますわ。
うん、そうですよね。
デンマンさん、いい加減にしてくださいな。そんな子供だましの話で、あたしの質問をはぐらかさないでくださいな。今日は、あたし、ごまかされませんから。。。絶対にデンマンさんに分かり易く答えてもらいます。
だから、そうしているんですよ。このアヒルの親子を持ち出さないとレンゲさんに分かり易いように説明できないから、こうしてアヒルの親子を持ち出してきたんですよ。
だから、あたしがイケない事とどのように。。。?
レンゲさん、そのようにせかせないでくださいよ。物事には順序というものがあるんですよ。レンゲさんだって、物事の順序に従わないから清水君と愛し合ってもイケないんですよ。分かります。。。?僕は順序に従って話しているんですよ。だから、もう少し気長に僕の話を聞いてくれませんか?
分かりましたわ。でも、デンマンさんはいつでも余計なことを書いて最後に、もう記事が長くなったから、という理由で答えずに引き延ばしてしまうんですわ。それで、いつの間にかうやむやになって、あたしは何も分からないままで取り残されてしまう。
今日は、そういうことはありません。必ずレンゲさんの質問に答えるつもりですよ。
分かりましたわ。それで。。。アヒルの親子がどうしたと言うのですか?
どちらのアヒルの子供も目の前に歩いている大きな生き物を自分の母親だと思っているんですよ。
まさかぁ~~?
そう思うでしょう?絶対にレンゲさんには信じられないでしょう?でもね、これは真実なんですよ。心理学の教科書には、この上の写真は良く出てくる。英語ではimprintingと言われている本能的な行動なんですよ。日本語では“刷り込み”と呼ばれているようです。つまりね、アヒルが卵から雛(ひな)になる時に、目の前で最初に動くものを母親だと思う習性がある。そのことをimprintingと言っているわけですよ。
そうなんですか?
僕も子供の頃アヒルを飼ったことがあるんですよ。僕を終生母親だと思って僕の後をついてきましたよ。もちろん、僕も母親になったつもりで、よく可愛がって世話をしました。僕の手から食べ物を食べるときのクチバシが触れる感触が、いまだに僕の手にはっきりと残っていますよ。可愛いものですよ。

デンマンさんって、そういう優しいところもあるのですね?
そうでしょう?レンゲさんにも分かるでしょう?僕はレンゲさんにだって優しいでしょう?だから、レンゲさんは僕の腕の中でイッたんですよ。
デンマンさん、。。。また脱線していますわぁ~。まさか、デンマンさんがアヒルを飼ったから、あたしがデンマンさんの腕の中でイッたんだと言うわけではありませんよね?
もし、そう言ったらどうします? うへへへへ。。。
そんな馬鹿馬鹿しい話などありませんわ。
もちろん、そう言うつもりはありませんよ。そんなことを言ったら、レンゲさんに馬鹿にされることが分かっていますからね。僕はレンゲさんに馬鹿にされたくありませんから。。。
デンマンさん、いい加減にしてくださいな。こういう、どうでもよい話をするから、デンマンさんの記事は長くなるんですわ。もっと手短に簡単に説明することはできないのですか?
だから、そうせかせないでくださいよ。物事には順序と言うものがあるんですよ。この順序を無視するから、レンゲさんは清水君の腕の中でイケないんですよ。
分かりましたわ。。。それで、アヒルの親子がどうすると言うのですか?
僕は、この“刷り込み”と言うことをレンゲさんに良く分かってもらうためにアヒルを持ち出したんですよ。つまり、人間にも無意識のうちにこの“刷り込み”が行われている。
どういうことですか?
メンタルブロックなど、この良い例ですよ。幼い時の自分のイメージが自分だと思ってしまって、そのメンタルブロックを壊すことができずに、精神的に何時までたってもそのイメージに引きずられて成長しないでいる。詳しいことは次の記事を読んでくださいね。
『あなたは自分の可能性と潜在能力をもっと伸ばしたいと思いませんか?』
そのお話はデンマンさんから以前にも聞いていますわ。同じ事をアヒルの親子を持出して言ったという事ですか?
同じよな事だけれど、ここではレンゲさんが“刷り込”まれた事に焦点を当てているわけですよ。
それで、あたしが何かを刷り込まれたと言うことですか?
そうです。その事がレンゲさんの心に深く刻み込まれてしまった。その事がレンゲさんの性生活にまで大きく影響してしまっている、ということを僕は言いたいわけですよ。
あたしが洋ちゃんと毎日愛し合っているにもかかわらずイケないのは、その刷り込まれた事が原因していると言うのですか?
そうです。
それで。。。それで。。。あたしは一体何を刷り込まれたと言うのですか?
レンゲさんと僕はかつて次のような会話をしたことがあるんですよ。