学徒出陣の明暗
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デンマンさん。。。、どういうわけで学徒出陣を取り上げるのですかァ〜?
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あのねぇ〜、久しぶりに僕が編集した次の動画を観たのですよ。。。
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学徒出陣で戦場に出てゆく学生も、それを見送る女学生も心に悲痛な思いを抱いていたのですわねぇ〜。。。
そういうことですよ。。。
。。。で、上の動画のどこが気になったのですか?
特攻隊員として敵艦に体当りした学徒も可哀想だけれど、生き残った学徒も心にトラウマを抱えて大変だと思ったのですよ。。。それで、ある本を読んでいたら次の章に出くわした。。。
答辞を読んだ東大生の悪い噂
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学徒室人は悲劇として、戦後も語られてきた。
その反面、出陣学徒を代表して答辞を読んだ東京帝大の学生には不当な噂が流された。
確かに戦場で亡くなった学生も多いのだから、誰かにその不満をぶつけたいとの心理もあり得た。
戦後すぐに、この学生はあの答辞を読んだ見返りに即日帰郷となり、軍隊生活を送らなかったという噂が流れた。
あるいは特別扱いを受け戦地に送られなかったとも囁かれた。
等の学生、江橋慎四郎はこういう声に一切反論、抗弁はしなかった。江橋は、日本の体育学を体系立てた人物で、戦後は東大教授から新設の鹿屋体育大学の学長になっている。
江橋に対しての批判の中には、極めて感情的な意見を吐くグループがいた。
それが表面化したのは、わだつみ会(日本戦没学生記念会)を率いていた山下肇東大名誉教授が、平成5(1993)年に刊行された『学徒出陣50年』の中で「宣誓学徒のその後」と題して次のように書いたからだった。
「なんとその東大生は、聞くところでは、いわゆる『即日帰郷』で入隊しないで帰宅を許されたそうで、病気が理由かどうかそれはわからない。当時一般の『即時帰郷』は病気の場合もあったが、裏口の特権的ケースも少なくなかったようだ。(以下略)」
山下はいかにも弾劾するとの筆調で、噂話をよりどころに、この人物は戦後はわだつみ会にはいるべきだ、と奇妙な論で江橋の姿勢を批判した。
これに対して江橋の戦友たち11人が、そんなことはない、彼は空軍教育隊に属して各地の航空隊を回り、終戦は滋賀県八日市で迎えたことなどを明らかにした。
「即日帰郷」などあり得ないというのである。
江橋も50年ぶりに新聞記者の質問に答えて、あの時の状況を語った。
(中略)
私(保阪正康)が江橋慎四郎に会ったのは2012年の夏だったように思う。
湘南地方のある街に住んでいたのだが、年齢は90歳に達していた記憶がある。青年期からさまざまな運動で鍛えただけに、老いを感じさせない強健さが全身からあふれていた。
「出陣学との壮行会で答辞を読んだのは、全くの偶然なんです。当時、東大の中には運動会という名の運動部の上部団体があって、私は文学部から出ているそこの役員だった。
それで壮行会の代表は、文学部からとなり、私は教育科で海後宗臣(ときおみ)先生のゼミだったんですが、海後先生がこの委員会の役員でもあり、君がやりなさい、となったんです」
優秀だからとか希望を出したからではなく、街を歩いていて交通事故にあったようなものだと、江橋は述懐していた。
それで文書を作れと言われたけれど、簡単な文章を持っていった。「こんなものダメだ」と言われて、国文学の教授が改めて書き直してくれた。
「教授の名前? 忘れたよ」
うまく書いているなあと思いはしたが、私はそれを読んだだけ、と言う。
「勧進帳を読んだようなものだった。感動なんかない」と繰り返した。
(中略)
「青年の命をあんな形で戦場に送り出す軍事指導者の考えは単純そのものです。戦争が限界にきていたのではありませんか」という彼の言葉は、歴史に残さねばならないほどの重みがある。
pp.271-275『陰謀の日本近現代史』
2021年3月20日第3刷発行
著者 保阪正康
発行所 朝日新聞出版
学徒出陣で生き残った学徒も、戦後、汚名を着せられて戦わねばならなかったのですわねぇ〜。。。
そういうことですよ。。。僕も、初めてオリジナルの動画を観た時に、答辞を読んだ江橋慎四郎さんが、その後どうなったのか? 気になってウィキペディアで調べてみたのですよ。。。そこでは、次のように書かれていた。
江橋慎四郎
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1920年(大正9年)6月14日 - 2018年(平成30年)4月8日)
江橋 慎四郎(えばし しんしろう)、は、日本の体育学者。
専門は社会体育学・レクリエーション学。東京大学名誉教授。
神奈川県鎌倉市生まれ。
旧制湘南中学(現在の神奈川県立湘南高等学校)から、旧制二高を経て東京帝国大学文学部に入学した。
学生時代には体育会系の水泳部マネジャーと体育会の総務を務めていた。
当時の大学生は徴兵が猶予されていたが、兵力不足を補うため、江橋ら文系の学生の学徒出陣が決定した。
戦後、文部省体育局勤務などをへて、東京大学教授。
その後鹿児島大学教授や中京大学教授を歴任した。
さらに、日本初の国立体育系単科大学である鹿屋体育大学の創立に尽力し初代学長となる。
定年後は東京大学名誉教授となる。
2018年4月8日、心不全のため死去。97歳没。
学徒出陣
1943年(昭和18年)10月21日に開催された神宮外苑での学徒出陣壮行会では、答辞を読んだ。
以下全文。
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明治神宮外苑は学徒が多年武を練り、技を競い、皇国学徒の志気を発揚し来れる聖域なり。
本日、この思い出多き地に於て、近く入隊の栄を担い、戦線に赴くべき生等(せいら。自分達。以下同じ)の為、斯くも厳粛盛大なる壮行会を開催せられ、内閣総理大臣閣下、文部大臣閣下よりは、懇切なる御訓示を忝くし、在学学徒代表より熱誠溢るる壮行の辞を恵与せられたるは、誠に無上の光栄にして、生等の面目、これに過ぐる事なく、衷心感激措く能わざるところなり。
惟(おも)うに大東亜戦争宣せられてより、是に二星霜、大御稜威の下、皇軍将士の善謀勇戦は、よく宿敵米英の勢力を東亜の天地より撃攘払拭し、その東亜侵略の拠点は悉く、我が手中に帰し、大東亜共栄圏の建設はこの確乎として磐石の如き基礎の上に着々として進捗せり。
然れども、暴虐飽くなき敵米英は今やその厖大なる物資と生産力とを擁し、あらゆる科学力を動員し、我に対して必死の反抗を試み、決戦相次ぐ戦局の様相は、日を追って熾烈の度を加え、事態益々重大なるものあり。
時なる哉、学徒出陣の勅令公布せらる。
予ねて愛国の衷情を僅かに学園の内外にのみ迸しめ得たりし生等は、是に優渥なる聖旨を奉体して、勇躍軍務に従うを得るに至れるなり。
豈に感奮興起せざらんや。
生等今や、見敵必殺の銃剣をひっ提げ、積年忍苦の精進研鑚を挙げて、悉くこの光栄ある重任に獻げ、挺身以て頑敵を撃滅せん。
生等もとより生還を期せず。
在学学徒諸兄、また遠からずして生等に続き出陣の上は、屍を乗り越え乗り越え、邁往敢闘、以て大東亜戦争を完遂し、上宸襟(かみしんきん)を安んじ奉り、皇国を富岳の寿きに置かざるべからず。
斯くの如きは皇国学徒の本願とするところ、生等の断じて行する信条なり。
生等謹んで宣戦の大詔を奉戴し、益々必勝の信念に透徹し、愈々不撓不屈の闘魂を磨礪し、強靭なる体躯を堅持して、決戦場裡に挺身し、誓って皇恩の万一に報い奉り、必ず各位の御期待に背かざらんとす。
決意の一端を開陳し、以て答辞となす。
昭和十八年十月二十一日。
答辞は教授の添削を受けたが、「生還を期せず」は自ら考えたものだった。
出陣後、航空整備兵として内地で陸軍(大日本帝国陸軍)に所属する。
「答辞」の体験については、終戦後は語りたがらなかった。
67年後に朝日新聞の大久保真紀編集委員のインタビューに答えて、「答辞は我が身にとっては名誉なこと。だが、戦没者のことを思えば何も言えない」と、戦後ずっと黙していた心の内を語った。
壮行会から満70年となる2013年には毎日新聞において、「僕だって生き残ろうとしたわけじゃない。でも『生還を期せず』なんて言いながら死ななかった人間は、黙り込む以外、ないじゃないか」と述べ、戦後に事実と異なる噂やデマによる中傷にも反論しなかったことを明かしている。
同じ記事では「自分が話すことが、何も言えずに亡くなった人の供養になる。最近そう思っている」と記されている。
出典: 「江橋慎四郎」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この2つの引用文を読んで、私(江橋慎四郎)はそれを読んだだけ、と言う。「勧進帳を読んだようなものだった。感動なんかない」と繰り返した、と江橋慎四郎は語ったのだけれど、「感動なんかない」というのは本心を語ってないと思う。。。動画の答辞を聞けば、感情がこもっているのが実によく分かる。。。ただ読んでいるだけじゃない! しかも、「生還を期せず」は江橋慎四郎が自ら考えたものだったんですよ。。。つまり、江橋自身に生還を期待しない心構えができていたのです。。。
そうですわねぇ〜。。。江橋さん自身が「僕だって生き残ろうとしたわけじゃない」と言ってますから、江橋自身に生還を期待しない心構えができていたのだと、私も思いますわ。。。それなのに、どういうわけで悪い噂が立ったのでしょうか?
山下肇東大名誉教授が噂を広めたように書いてあるけれど、すでに噂は広まっていたのですよ。。。
なぜ、噂が広まっていたと判るのですか?
あのねぇ〜、「竹槍事件」を調べると、どうして噂が立ったのか? それが解りますよ。。。
竹槍事件
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竹槍事件とは、第二次世界大戦中の1944年(昭和19年)2月23日付け『毎日新聞』第一面に掲載された戦局解説記事が原因でおきた言論弾圧事件。
問題となった戦局解説記事は、毎日新聞社政経部および黒潮会(海軍省記者クラブ)主任記者である新名丈夫(しんみょう たけお)が執筆した記事(見出し作成は山本光春)で、「勝利か滅亡か 戦局は茲まで来た」という大見出しの下でまず「眦決して見よ 敵の鋏状侵寇」として南方における防衛線の窮状を解説し、続いて「竹槍では間に合はぬ 飛行機だ、海洋航空機だ」として海軍航空力を増強すべきだと説いている。
この記事は海軍航空力増強を渇望する海軍当局からは大いに歓迎されたが、時の東條英機陸相兼首相は怒り、毎日新聞は松村秀逸大本営報道部長から掲載紙の発禁および編集責任者と筆者の処分を命じられた。
毎日新聞社は編集責任者は処分したものの、筆者である新名の処分は行わなかったところ、その後ほどなく新名記者が37歳にして召集された。
新名の「懲戒召集」
毎日新聞は責任者を処分したが、新名は退社させず、逆に編集局長が賞を与えるなどした。
記事執筆から8日後、新名に召集令状が届く。
新名本人も周囲も、この「指名召集」を東條首相による「懲戒召集」だと受け止めた。
新名は郷里、高松に行き、二等兵として丸亀の重機関銃中隊(第11師団歩兵第12連隊)に1人で入営した。
中央からは、激戦地となることが予想される硫黄島の「球」部隊へ転属させるよう指令が届いていた。
ただし、「球」の通称号を持つ部隊は硫黄島ではなく沖縄に配置された第32軍である。
これに対し、新名が黒潮会主任記者であり、軍需物資の海軍配当割増という海軍の要求を代弁させた結果の事件であったことから海軍は召集に抗議した。
新名は、海軍の庇護に加え、日中戦争当時に善通寺師団の従軍記者をしていたこともあって、中隊内で特別待遇を受けつつ3か月で召集解除となった。
その際、便宜を図ってくれた中隊長からは「近いうちに再召集の命が下るだろうから、内地にいないほうがよい」と忠告されている。
その後、陸軍は再召集しようとしたが、既に海軍が新名を海軍報道班員として外地、フィリピンに送っていたため、再召集を逃れている。
新名が徴兵検査を受けたのは大正時代のことで、それまでその世代は1人も召集されていなかった。
そのため、海軍は「兵隊をたった1人取るのはどういうわけか」と陸軍を批判した。
それに対し陸軍は、新名と同じ30代後半で大正時代に徴兵検査を受けた人間を250人召集し、歩兵第12連隊に入営させて辻褄を合わせた。
新名によれば、彼と違い再招集された老兵達は「球部隊」(第32軍)に配属され、硫黄島の戦いで玉砕・戦死したと戦後にきいたという。
ただし「球部隊」は硫黄島に展開していない。
海軍側の反応
当時の海軍報道部長であった栗原悦蔵少将は、「もう太平洋の東の制空権はほとんど失ってしまったと」「海軍としては国民全体に知らせたいと思って、私もずいぶんその黒潮会にもお願いいたしましたけれども、なかなかそれを書く人がない、そこを大胆に新名さんが書いてくださいましたので、われわれとしては、たいへん喜んで絶賛したわけですね」と証言している。
出典: 「竹槍事件」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
つまり、東条さんは、自分を批判した人間を要職から外したり、戦死する確率の高い最前線に送るような懲罰招集をしたり、弾圧的なことをしたのですよ。。。
…という事は、東条さんの気に入ったことをすると、要職につけたり、特別待遇を受けられるということですか?
そうです。。。学徒出陣の壮行会で江橋慎四郎さんが読み上げた答辞は東条さんを感動させたのですよ。。。
それで、東条さんは江橋さんを戦場に送らないで内地の部隊に配属になるように配慮したのですか?
東条さんのやり方を見ていたら誰もがそう思うはずです。。。実際、江橋さんは戦場にはゆかずに内地の部隊に配属になったのですよ。。。だから、悪い噂が立つのはごく自然の成り行きだったのです。。。
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【ジューンの独り言】
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ですってぇ~。。。
それにしても新名丈夫さんと一緒に招集された250名は、硫黄島に送られて、全員 戦死したというのですから、悲劇ですよねぇ〜。
竹槍事件が起きなかったら、招集されることもなかった人たちなのです。。。
とばっちりもいいところですよねぇ〜。。。
あなたが、その250人の内の一人だとしたらどうですか?
死にきれないでしょう!?
お化けになって、東条さんを殺したいと思うでしょうねぇ〜!?
ええっ。。。「そんなことは、どうでもいいから、もっと他に面白い話をしろ!」
あなたは、そのような激しい口調で、わたしに ご命令なさるのですかァ〜?
分かりましたわァ〜。。。
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