小手鞠るい「海薔薇」
既婚者同士の、初恋のような恋。10年以上にわたる日々。
会えるのは、年に一度、10/5だけ。顔をみるだけの年もあった。
陶芸家の徹司は、高校生の時、園芸部の波奈子に野球のボールを拾ってもらった時の、バラの花びらが彼女に降り注ぐ光景に目を奪われ、嫌がっていた家業の陶芸の道に進み名を成す。
N.Yのデパート勤務の波奈子が、出張で岡山に来た際、備前焼のギャラリーで惹きつけられた焼き物の作者が徹司。
カバンを忘れ、引き返したところで再会するが、徹司はもちろん覚えているが、転校ばかりで2年しか岡山にいなかった波奈子にとっては初対面同然。でもそのまま食事をし、どうしようもなく徹司に惹かれた波奈子は「来年も会いたい」と告げる。
そこから5年、東京で、N.Yで、年に一回会う。
その日を待ちわびて残りの360日余りを過ごしているかのよう。
徹司が波奈子と生きる選択をひそかにした時、事故が・・。
と 書くと、残酷なラストかと思うけど、ハッピーエンドです。
こないだ読んだ「年に一度の、二人」と被っててビックリしましたが。
こっちの方が、せつなさを体感できて引き込まれました。
44才での初恋。ダンナさんとはお見合いで、恋をしたことがない波奈子。
とっても純粋で頑張り屋さんの彼女にはとても共感できたし、応援したくなりました。
ダンナさんもいい人で。誰も傷つかないストーリー展開でよかった。

満足度100