町を歩いていると、
なぜかよく人に話しかけられる。
道を聞かれたり、
時間をきかれたりは
日常茶飯事的に起こる。
「たしかにあんたはよう話しかけられる」
と奥さんもきっと太鼓判を押してくれるだろう。
そんな私ですが、
先日、
これまででもっともシュールな質問を受けた。
シュールというか、
頭の中をかき回されるような、
想像力をかきたてられる質問だったと
いったほうがいいかな。
退社時に
病院の前で信号待ちをしているときだ。
すーっと近づいてきた年配の女性が
「すみません、今、何年ですか?」
と聞いてきたのだった。
ん?
何年?
何時じゃないの?
と思いながら、
わしの脳みそは一気にフル稼働したね。
まず、この人はどういう人なのか、
とっさに聞かれて
思い出そうとしているふりをしながら、
実はその疑問が頭の中を駆け巡っていた。
考えられるのは、
1.時空を超えてやってきた人、
2.病院の前だったので、さっきまで寝たきりか、記憶喪失だった人、
3.同じく認知症患者、
4.単に私に話しかけてみたかった、
の4つをまず思いついた。
その上で、わしが下した判断は、
1だとするにはあまりにも普通の格好だ。
頭の先から足の先まで、
それを感じさせるようなものは身につけていない。
近未来的な帽子をかぶっているわけでも、
全天候型の新繊維の衣服でもなさそうだ。
靴だって、
動力がついてそうな
未来の履物というわけではない。
普通にその辺の人と変わりのない身なりだ。
では、2はどうだろう。
寝たきりだったわりには血色がいいし、
普通に歩いている。
記憶喪失だったら、
まず「私は誰?」だろう。
となると、考えられるのは
3で徘徊している人なのか、
4の新手のナンパぐらいだ。
ひとまず普通に答えてみよう、
と思ったものの、
西暦がいいのか、
元号がいいのか少し迷った挙句、
「2008年です」
と答えてやった。
そしたら、その人、
この人何を言ってるの?
みたいな顔で
「時間なんですけど」
というのだ。
あんた確かに何年て聞いたぞ、
聞いたからそう答えたのに、
これじゃまるで私が若年性認知症じゃないか。
釈然としないまま、
「ああ、時間だったら○○時××分ですよ」
と答えたあげたら、
礼も言わずに
「あ、そう」といって去っていってしまった。
何だったのだ。
私は絶対聞き間違えていないぞ。
その人のことをあれこれ推測したほかにも
答え方もいっぱい頭の中を巡ったのだから。
「宇宙ができてからだと137億年です。」
とか
「走り始めて丁度20年です。」
などと答えてやったらどんな顔をするだろうとまで、
一瞬のうちに考えたくらいだ。
本人に言い間違えた認識はないのだろう。
今頃家に帰って、
今日は変な人に時間を聞いてしまったと
話しながら笑っているのかもしれない。
ぐやじー
その日は、そればかりではなく
帰り道に寄ったスーパーで、
お客さんと思しき中年の男性に
「すみません、布団売り場は何階ですか」
という質問も受けた。
たしかに、
私はそのとき仕事帰りだったので、
白いシャツに濃いベージュのスラックス、
足元は黒い革靴だったので、
見ようによっては
スーパーの社員のように見えたのかもしれない。
しかし、
手には白いレジ袋を持っていて、
しかもそのレジ袋から
セロリがニョキっと突き出ていたんですよ。
どこから見ても、
わびしい単身赴任の
中年おじさんの買い物客でしょう。
このときは、
間髪いれずに冷たく言ってやったね。
「店の人に聞けよ!」。
その後、
他の買物で布団売り場の近くを通ったら、
またそのオッサンと出くわして
目があったら、
「知ってるんやったら教えてくれたらよかったのに」
みたいな顔をしてやがったなあ。
知ってるわけやなかったのに、
まったくその日は
質問の厄日じゃったというお話じゃ。
なぜかよく人に話しかけられる。
道を聞かれたり、
時間をきかれたりは
日常茶飯事的に起こる。
「たしかにあんたはよう話しかけられる」
と奥さんもきっと太鼓判を押してくれるだろう。
そんな私ですが、
先日、
これまででもっともシュールな質問を受けた。
シュールというか、
頭の中をかき回されるような、
想像力をかきたてられる質問だったと
いったほうがいいかな。
退社時に
病院の前で信号待ちをしているときだ。
すーっと近づいてきた年配の女性が
「すみません、今、何年ですか?」
と聞いてきたのだった。
ん?
何年?
何時じゃないの?
と思いながら、
わしの脳みそは一気にフル稼働したね。
まず、この人はどういう人なのか、
とっさに聞かれて
思い出そうとしているふりをしながら、
実はその疑問が頭の中を駆け巡っていた。
考えられるのは、
1.時空を超えてやってきた人、
2.病院の前だったので、さっきまで寝たきりか、記憶喪失だった人、
3.同じく認知症患者、
4.単に私に話しかけてみたかった、
の4つをまず思いついた。
その上で、わしが下した判断は、
1だとするにはあまりにも普通の格好だ。
頭の先から足の先まで、
それを感じさせるようなものは身につけていない。
近未来的な帽子をかぶっているわけでも、
全天候型の新繊維の衣服でもなさそうだ。
靴だって、
動力がついてそうな
未来の履物というわけではない。
普通にその辺の人と変わりのない身なりだ。
では、2はどうだろう。
寝たきりだったわりには血色がいいし、
普通に歩いている。
記憶喪失だったら、
まず「私は誰?」だろう。
となると、考えられるのは
3で徘徊している人なのか、
4の新手のナンパぐらいだ。
ひとまず普通に答えてみよう、
と思ったものの、
西暦がいいのか、
元号がいいのか少し迷った挙句、
「2008年です」
と答えてやった。
そしたら、その人、
この人何を言ってるの?
みたいな顔で
「時間なんですけど」
というのだ。
あんた確かに何年て聞いたぞ、
聞いたからそう答えたのに、
これじゃまるで私が若年性認知症じゃないか。
釈然としないまま、
「ああ、時間だったら○○時××分ですよ」
と答えたあげたら、
礼も言わずに
「あ、そう」といって去っていってしまった。
何だったのだ。
私は絶対聞き間違えていないぞ。
その人のことをあれこれ推測したほかにも
答え方もいっぱい頭の中を巡ったのだから。
「宇宙ができてからだと137億年です。」
とか
「走り始めて丁度20年です。」
などと答えてやったらどんな顔をするだろうとまで、
一瞬のうちに考えたくらいだ。
本人に言い間違えた認識はないのだろう。
今頃家に帰って、
今日は変な人に時間を聞いてしまったと
話しながら笑っているのかもしれない。
ぐやじー
その日は、そればかりではなく
帰り道に寄ったスーパーで、
お客さんと思しき中年の男性に
「すみません、布団売り場は何階ですか」
という質問も受けた。
たしかに、
私はそのとき仕事帰りだったので、
白いシャツに濃いベージュのスラックス、
足元は黒い革靴だったので、
見ようによっては
スーパーの社員のように見えたのかもしれない。
しかし、
手には白いレジ袋を持っていて、
しかもそのレジ袋から
セロリがニョキっと突き出ていたんですよ。
どこから見ても、
わびしい単身赴任の
中年おじさんの買い物客でしょう。
このときは、
間髪いれずに冷たく言ってやったね。
「店の人に聞けよ!」。
その後、
他の買物で布団売り場の近くを通ったら、
またそのオッサンと出くわして
目があったら、
「知ってるんやったら教えてくれたらよかったのに」
みたいな顔をしてやがったなあ。
知ってるわけやなかったのに、
まったくその日は
質問の厄日じゃったというお話じゃ。