ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

天上のコーヒー

2010年08月02日 22時27分25秒 | 生活
コーヒーの豆をミルで挽くとき、
心がけたいのは
挽いた粉の大きさが均一になることだという。
少しでも細かいものが混ざっていたりすると、
味はその細粒に影響されてしまうらしい。

それと電動ミルのように高速で挽くと、
摩擦熱で粉の表面が焦げてしまったりするという。
そんな焦げた豆が、
淹れたコーヒーにどんな影響を与えるかというのは、
味覚音痴の
doironでも
なんとなくわかるような気がする。

粒の細かいのや粗いの、
よく煎られたのや生に近いもの。
これらの差をなくして
均一にするのが、
質の高いコーヒーを淹れるコツなんだそうだ。

したがって、
豆を挽くのに適しているのは、
手回しで、しかも破砕の刃の部分が
精密に作られたミルということになる。
さらに刃が金属ではなく
セラミックのものが
熱を持ちにくくてよりいいのだそうだ。

コーヒーはこんな粒度や純度が
味に大きく影響する飲み物なのだが、
それとは別に
コーヒーを飲む状況が、
味を際立たせることもある。

doironが今までの生涯で飲んだコーヒーで、
忘れられない味のコーヒーが一杯ある。

それは、社会人になって初めて登った山、
日本で二番目に高い天上で
先輩と飲んだコーヒーだ。

場所は、南アルプスの北岳。

先輩は大学院を卒業して初めての山行。
doironも大学を卒業したての
社会人1年生だった。

今年は土砂崩れで通行止めになっている
野呂川ぞいの林道を遡って広河原へ。
そこから3192mの山頂を
目指して登っていった。

一日かけて山頂に着き、
サイト地にテント泊をしたのだが、
そこまで持って上がったミルで
ガリガリと豆を挽いて
コーヒーを淹れたのだった。

ただでさえテント泊なので
荷物が多いのに、
こんなところにまで
かさばるミルを持ってくる奴など
そうはいないだろう。

夜の静寂も満天の星空も
久しぶりの再会の喜びも
全部混ぜて一緒に挽いたコーヒー豆。

それを山の天然水で淹れたコーヒーが
おいしくないはずがない。
生涯忘れえぬ味だった。


なぜ急にコーヒーの話なのかというと、
今、目の前の机に
カインズカフェ開店1周年記念に
いただいたコーヒー豆がおかれてある。
最近のコーヒーは
もっぱらブルックスのコーヒーなので、
ミルを使うことがほとんどないなあ
と思いながら眺めていて、
ミルを買ってくるかなどと考えていたとき、
ふとあのときの
天上のコーヒーを思い出したのだ。
その味は、記憶の中で熟成され、
豊穣な香りと琥珀の光を放っている。

あんなコーヒーをまた飲みたいなと、
しみじみ思った
doironなのであった。