抜群に天気のいい日に、
お弁当を持って岩湧山に登ってきた。
街から眺めると、
金剛山の南側で山頂付近が夏はつるっとし、
冬には真っ白に積もった雪を冠する
はげ山を眺めることができる。
あれが「岩湧山」である。
春山を全身で感じながら歩きたくて、
最も手頃なコースのひとつである
滝畑からの往復コースを選んで登った。
装備は、一応お湯が湧かせるセットと
水、カップラーメンと
小さなお弁当とおやつとビールとコーヒー。
そして服装は、
上は先日街道歩きで試した発汗肌着と
Tシャツとアーム、
下はタイツとハーフパンツ、
足下はトレイルランシューズといういでたちだ。
もちろん雨具やタオル、地図などの
必要装備もパックした。
登山口までのアクセスは車。
滝畑の奥の方にある食堂に駐車することにした。
一回1000円なのだが、
そこに停めると下山時に
コーヒーが一杯サービスされるので、
その努力を評価してあげることにした。
ま、店の横なので防犯上からも
何より安心であるともいえる。
今回歩いたのは、
地図に書かれたコースタイムでいくと
登り2時間、下り1時間半のお手軽コースである。
9時30分スタートで、
駐車場脇から始まる登山道を登り始めた。
日当たりのよい斜面には
タチツボスミレが結構咲いている。
しかし、そんな景色も束の間、
すぐに道は植林内の
日蔭道を登って行くことになる。
しばらく行くと、
これがここまで頑張って登ってきて
ちょっとがっくりするのだが
広い林道にでる。
千石谷へと続く林道で、
1997年の地図によると
突き当たりにタクシー事業所が
あるようなことが書かれてあるが、
今もあるのかわからない。
ていうか、そもそもそんな山奥に
なぜタクシー事業所があるのか
その意味がわからない。
もしかしたらナニコレネタになりそうな
事実が潜んでいるかもしれないなと思いつつ、
かといってこの時は奥まで確認しに行くつもりもなく、
機会があれば行ってみようということで
林道を横切って再び山道へと入っていった。
尾根に出るまではちょっと急登となるが、
ゆっくり歩けばさほど汗も出ない
手ごろな山道である。
道端にはこんな石標が建っている。
そう、ここは「ダイヤモンドトレール」
という縦走路なのだ。
屯鶴峯から槇尾山までの約50キロを
大阪府が1970年に整備した自然歩道で
ダイヤモンドトレールの名称は
1972年に大阪府によってつけられた。
コース中の最高峰が金剛山、
そこから金剛石→ダイヤモンドの連想で
名付けられたらしい。
通称は「ダイトレ」。
キラキラした名前より
この通称の方が、なんとなく
大阪の「大」を連想させるし、
語感も泥臭くて山のにおいを感じさせていいなと思う。
もしそこまで考えての
「ダイヤモンドトレール」命名だったとしたらすごい。
道はある程度登るまで植林の日蔭道が続く。
それが途切れた頃から
山本来の自然の姿が始まるのだ。
道は整備され、道標も立っていて
迷うこともないだろう。
足下には、マムシグサや
ツボスミレ、
フデリンドウ、
チゴユリ、
キランソウ
などが咲き、
きれいな藤色のコバノミツバツツジはちょうど盛り。
気の早いモチツツジやヤマツツジもちらほら見えている。
耳には、ウグイスやたくさんのガラ類の鳴き声に加えて
キツツキのドラミングの音が飛び込んでくる。
岩湧山の鳥類図鑑によると
「アオゲラ」
もしくは「オオアカゲラ」だろう。
まるで工事現場の小型削岩機のような音が
山中にこだましていた。
気軽に自然を楽しめるいい山である。
この山に登ったのは5年前くらいだろうか。
伐採されたばかりの木の切り株に腰かけて、
鳥の声を聞いてた記憶がある。
水場も過ぎて開けた所に、
送電線の鉄塔が立っている。
あれ?こんな彫像が・・・。
山職人がチェーンソーで作ったのだろうか。
山頂まであと少し。
お弁当とビールが待ってる。
頑張って歩きましょう。
ところがこのあと、あっと驚くような光景に出会うことになるのです。
続く。