ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「変身」 東野圭吾 読了!

2015年11月18日 16時56分45秒 | 作家 は行
変身 (講談社ノベルス)1993/6刊  2015.11.18読了。
東野圭吾(著)

平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。



だんだんと他人になっていく”自分”。これは、怖い。
主人公や恋人の苦しみ、悲しみが読んでいて胸を苦しくさせる。なーんてなまやさしい感想にはなりえない。

ドナーが誰かは早い段階でわかってしまうし、ここからは、脳(人格)をそのドナーに乗っ取られていくんだろうな。と、これからの展開が大体読めてしまう。でも、そこからがやはり作家さんの腕(筆?)の見せ所。たしかにあらすじ的には想像通りかもしれないが、その凡人の想像をはるかに凌駕する中盤から後編へのストーリーの厚み。緊迫感、非痛感をともない、スピードアップしながらクライマックスの数十ページへ。感情が揺さぶられ息が苦しくなる。この最後の数十ページで手を止めることの出来る読者がいるのだろうか?(自分は仕事中に本を読み続けるためトイレに逃げ込んだ)

「君を愛したことを忘れない」
読者の予想を裏切る大どんでん返しでもあればさらに…。と一瞬思ったが、サスペンス小説であり、同時に、純愛小説ともとらえられるこの小説に、大どんでん返しは不要と思い直した。…9点。