ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「殺人鬼フジコの衝動」 真梨幸子 読了!

2015年11月24日 17時47分41秒 | 作家 ま行
殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫) 2015.11.24読了
真梨幸子 (著)

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生は、いつしか狂い始めた。人生は、薔薇色のお菓子のよう…。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。最後の一行を、読んだとき、あなたは著者が仕掛けたたくらみに、戦慄する!



賛否両論あるでしょうが、
単純にストーリーがどうのとか、嫌な感じがどうのよりも、
なにしろ自分はこの作家さんの構成力にビックリさせられた。
なんと言ったらいいか、読んでる最中頭の中では捉えていないのに、
書き手が複数存在する設定。
それは、ちゃんと小説の中に書いてあるが、混濁してまた忘れてしまう。
まえがきとあとがきを書いた人物。本編を書いた自殺をはかった女性。そして最後に衝撃の事実を書く女性。もちろんこの小説を書いている作者自身。
確かに、このような設定をとったために、時々、なに? なに?って以前の章を遡り確認作業をしなければならないようなところもあったが、それもすでに作者の術中なのだろうか? 
わかりにくくなった点もあったと思うが、この手法をとったことで、
この最悪な世界観がいっそう複雑になり、よりこの作品を存在感あるものにしていると思う。…8点。