今、アメリカ合衆国で、トランプ大統領の言動が物議をかもしているが、元をただせば、「労働市場のグローバル化とロボット化」が背景にある。例えば、日本で平均的な生活を維持しようとすれば、それなりの収入が必要となる。車を持っているのが当たり前だし、食事も少しはバラエティのあるものにしたい、少し上手いものを食べたい等々の欲求を満たせなければ、満足できない。したがって、賃金はそれ相応の額を支給しないと、人が集まらない。ところが、貧困にあえいでいるような国から来た人たちは、その日食べられて、寝る場所が確保できれば、ひとまず安心し、良い環境だといって安い給料でも、良く働く。それはそうだろう。自国の人たちに比べたら破格の賃金を得て、多少の蓄えもでき、自国の家族に送金することができるわけだから、働く意欲は高まるのは当然のことだろう。最近、あちこちの工場や建設現場で働く外国人が目立って増えているように感じる。ところが、その一方で、それまでそういった仕事に就いていた日本人は、職場を追われ、生活はどんどん低下するばかりだ。就労に対する意欲は低下するばかりだ。雇う側にとってみれば、能力があって、意欲があって、若い元気な人で、しかも、安い賃金で雇えるのだから、これを逃す手はない。当然の結果として、外国人の比率がどんどん増大し、賃金は結果的jに下落傾向を辿る。
皮肉なことに、日雇いや派遣労働で、生活保護の水準の収入を得ようとすると、相当一生懸命働いても、なかなか生活保護の水準にも達しないという現象が起きている。生活保護の支給額に、健康保険税、住民税、国民年金等を加算してみると、とんとんか下手をすると、それよりも下回ってしまう人も多いことだろう。それに、職場までの交通手段として自家用車を保有するとなったら、それこそ、生活保護水準以下になってしまうというのが現状なのではないだろうか?
同様のことはアメリカ合衆国やヨーロッパ各国で起きている。難民や移民を拒否するという減少は、こうした労働市場のグローバル化が背景にあるのではないかと思う。難民や移民が増えれば、元々その国にいた労働者は、賃金が下落し、働く場所を奪われてしまうという危機感があり、かなり切実な問題なのだと思う。
話は、難民や移民による人口流入にとどまらず、IT化、ロボット化によっても、働く職場は奪われていく。例えば、一時代前、そろばんができれば、銀行等で重宝され、雇われることができた。今では、そういう仕事はATMが全てやってくれ、窓口業務をやっていたような銀行員は、ここ十数年で激減してしまっている。工場でも同様で、自動車の製造ラインなどではロボットが休憩を取らずにずっと動き続け、製造ラインに働いていた人たちの職場は、ロボットによって奪われてしまっている。
これからいったいどうなってしまうのだろうか?われわれ定年退職組みは年金が減らされるのではないかという不安はあるが、外国人労働者やIT化、ロボット化に負けずに、日本人としてのプライド、生活水準を維持していくのは大変なことだろうと思う。