エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

柵内も野生、雄鹿の争う死闘

2022年11月01日 | 鹿公園
柵内でも野生、雄鹿の争う死闘


亡くなっていたオス鹿・・・

★ 気が荒い繁殖期の雄鹿たち・・・
鹿公園で飼育されている鹿は、ペットでも無く家畜でも無い。
基本野生の鹿を柵内で飼育しているだけである。ただ、自然界と違うのは自分たちで餌を求め移動
出来ないので、飼育員からの給餌だけが鹿たちの食料である事だ。そのエサも決して充分与えられ
ている訳では無く、いつも腹ペコをガマンしている事は確かである。

そんな状態でも、ひとつの群れを成し繁殖期 (9月~11月) の今は雄同士の権力争いが頻繁に行わ
れている。それは、群れの中で順位を決定しボスになる事で自分の縄張りを誇示しメスを囲い込み、
交尾を行うためでもある。順位の低い雄は1年に一度も交尾できない事もあると言う。

そうした事が、この鹿公園の鹿柵内でも行われ、時に争いに負けた雄が死ぬことも稀ではない。

今年も、その争いに負けたと思われる雄鹿が一頭亡くなった。


★ どうする事も出来ないオヤジたち・・・
「飼育員」と呼ぶのは間違いで「給餌員」と呼ぶ方が正解かも知れない。
それは、柵内で起きた鹿の変化に対し、私たち給餌員は何も出来ないからだ。今回のように雄鹿の
勢力争いに、人間が介入する余地は無いし、ケガをした鹿がいたとしても自分たちで治療する事も
出来ない。そして、出産の時期もお腹の大きな母鹿に付き添う事も出産の手伝いも出来ないのであ
る。完全なる自然分娩で、難産でも死産でもその結果を見て関係各所に連絡するだけなのだ。

★ 給餌員だってかわいい鹿たち・・・
エサをやるだけの給餌員かも知れないが、毎日交代で給餌していることは間違えない。
最初の頃はビクビクしながら給餌していたが、次第に慣れて今は直接鹿に触れても怖くなくなった。
生まれたばかりの鹿を間近で見た時の感動、飛び跳ねる仕草、オッパイを飲む可愛さ、母親になめ
られる親子愛、求愛の雄叫び、勢力争い、交尾、死・・・

この一年いろいろ見て来て色々学んだことも多い鹿とのふれあい。
まだまだ分からない事だらけだが、毎回見て来た鹿たち一頭一頭の顔や仕草が分かる程可愛い奴ら
だと、愛着も湧くと言うものだ。

鹿を見学に来る家族連れも多く、その度に私たちが用意している野菜を切ってエサとしてあげると
喜ばれる。「鹿さん、こっち!」だとか「バンビちゃん」と連呼する子もいる。怖がらず夢中にな
ってエサをやり続ける子もいて、賑やかな一時は仕事を忘れて楽しい時間でもある。

これから冬となり鹿にとっても厳しい時期を迎える。
8月に生まれた鹿の成長が遅く、元気に越冬して欲しいと願うが、心配なところだ・・。



ブルーシートを掛けられた亡くなった鹿に近づく他の鹿たち・・・