厚木のまゆさん日本300名山完登に同行
カムイエクウチカウシ山 (1979m)
■ 山 行 日 2016年7月14日(木)~16日(土) 2泊3日
■ ル ー ト 札内川八ノ沢ルート 往復
■ メ ン バ ー CL 横浜のまっちゃん、ケイさん、エリさん、まゆさん、ヨシさん、エバ
■ 登 山 形 態 沢登り&踏み跡道
■ 地 形 図 1/25000地形図 「札内川上流」
■ 三角点・点名 一等三角点・点名 「札内岳 サツナイダケ」
■ コースタイム (BC 八ノ沢出合)
登り 7時間15分 下り 6時間00分
<登り>
【7/14】
6:40 日高山脈山岳センター(バンガロー)発
7:00 札内川ヒュッテ駐車場到着
7:15 札内川ヒッュテ駐車場出発
7:55~8:00 休憩
8:30~8:40 休憩
9:15~9:25 休憩
9:50~10:10 七ノ沢出合 休憩(一部沢靴に履き替える)
10:35~10:45 休憩
12:00~12:1 仲ノ沢出合 休憩
12:30~12:40 休憩
13:15 八ノ沢出合 (C1テント泊)
【7/15】
5:00 テント場 出発
6:00~6:10 C800休憩
6:45~6:50 C890休憩
7:20~7:30 1000m三股 休憩
8:00~8:05 C1120 滝の横で休憩
8:35~8:40 C1250 休憩
9:25~9:30 C1450 休憩
9:45~10:00 八ノ沢カール 休憩(一部靴を履き替える)
10:55~11:05 稜線分岐(c1785) 休憩
12:15 カムエク頂上
<下り>
12:50 下山開始
13:30~40 稜線分岐 休憩
14:15~30 八ノ沢カール 休憩(一部沢靴に履き替える)
16:25~30 1000m三股下 休憩
17:40~17:50 C800 休憩
18:50 八ノ沢出合テント場 (C2テント泊)
【7/16】
8:15 八ノ沢出合出発
8:40~8:50 休憩
9:20~30 仲ノ沢出合 休憩
10:20~10:30 休憩
10:50~11:10 七ノ沢出合 休憩(一部靴を履き替える)
12:00~12:10 橋の上で休憩
13:30 札内川ヒュッテP
GPSログは、某サイトからお借りしたものを編集しました。
★ プロローグ・・・
突然のメール依頼・・・それは昨年(2015年)12月、突然のメールからカムエクのガイド依頼だった。
発信者はまゆさんと言う神奈川県厚木在住の女性。
2010年縁あってペテカリ岳と神威岳を案内した I さんグループの友人と言う。
何度もメール交換をしながら詳細を詰めて、結果依頼を受ける事にしたのが経緯(いきさつ)だ。
依頼者は5名(男性2名・女性3名)、年齢も60代後半から70代と失礼ながら若くは無いが
いずれも日本200・300名山を狙っている健脚な愛好家たちであると分かって来る。
カムエクは決して楽な山ではない。
依頼者も充分承知はしているが、会った事も無い見ず知らずの方たちを安全に無事登頂・下山
させられるかが・・・一番のポイントだった。
しかし、依頼者の寛容な計らいで私は実質ポーター役ならと受けたのも事実で準備は進んでいった。
そして、いよいよ当日を迎える・・・。
★ 前泊は好評のバンガロー・・・
【7/13(水)】
当初は登山口となる「札内川ヒュッテ」に泊まる予定だったが、某サイトから札内川園地内の
バンガローに泊まり翌日山行を始めたパーティーのブログを読んで気持ちが揺らいだ。
園内にある日高山脈山岳センター管理のバンガローは5人用1棟2000円で借りられる。
車が横付け出来、バンガローには電気もあり近くにはトイレと炊事場もある。
比べるヒュッテは、車横付けとトイレこそあれ避難小屋である以上多数での宿泊も予想出来、
全員揃っての夕食や談笑にも気を使わなければならない。
始めてお会いする方たちとの初日は有料ながらこのバンガローが最適とすぐに予約を入れた次第だ。
5人用と言っても実際には大人8人位は寝られるスペースと押入れまである最適の小屋だった。
早々夕食の準備をしながら改めて「初対面の乾杯」から山の友となる・・・。
今夜のメニューは「スキヤキ」
肉とビール以外の食材はほとんど中札内村のスーパーで仕入れる。
妻チーヤン直伝のスキヤキは、本州の方たちにとってお初かも知れないがちょっと贅沢な牛肉と
少しだけ豚肉も加えた北海道風特製スキヤキ。明日からの山行に少しでも力を付けてほしいと
おもてなしの晩餐でした。
さて、そのお味はどうだったのでしょうか?
一応、用意した食材はすべて食べ切りました・・・。
前夜の夕食は豪華に「スキヤキ」
★ 山行初日は八ノ沢出合いまで・・・
【7/14(木)】
4:00 起床・・・朝食は「煮込みうどん」を作って全員完食!
急いではいなかったが、準備を終えて6:40にはバンガローを出た。
管理棟にカギを返却し札内川ヒュッテ横の駐車場に向かう。
10分程で到着すると以外にも車が少ない。昨夜ヒュッテの宿泊者は居なかったようで
もぬけの殻だった。玄関ドアのカギが壊されていたが中はきれいだった。
ヒュッテ泊6人貸切ならまずまずも他のパーティーが居たら狭い空間になっていたと
思うと明りの点くバンガロー泊が正解だったと納得する。
7:15 出発
パーティーの歩き方はそれぞれだが、重装備の山行では30分に一度の休憩を取るのが私流。
今回始めて「背負子」を使ったポーター役をかって出たが、6人パーティー3日分の食材と
アルコールはさすがに重かった。食材の詰まった段ボールとテントそして自分の装備を背負子に
乗せて括り付ける。
持ち上げようとすると、ビクともしないのに愕然とした!・・・
「やばい!」と思いつつ二人に手伝っていただき背負うとこれまでに経験のない重さが肩に
圧し掛かった。量ってはいないが約40キロはあったように思う。
山行初日は、高低差の少ない遡行がメインで何とか八ノ沢出合いのキャンプ地まで辿り着け
ればとそれだけが心配でガイド役まで余裕がなくなっていたのが現実だった。
途中、一ヵ所だけ渡渉場所を誤り深みに入った時、不覚にも沢の中央で転んでしまった。
段ボールとザックを濡らし更に重さが増す不始末をする。
ビョウタンの滝
札内川ヒュッテ横のゲート
ポーターの背負子は約40キロ・・・(写真提供:まゆさん)
七ノ沢出合いにある標識
七ノ沢出合いから最初の渡渉をするメンバーたち
何度も渡渉を繰り返すがルートの半分は中洲や高巻きの踏み跡を辿る
★ 八ノ沢出合いキャンプ地・・・
07:15 登山開始
10:30 七ノ沢出合いまで林道歩き
13:15 八ノ沢出合いまで札内川本流の遡行である。ここまで30分毎に計8回の休憩を取った。
13:15 八ノ沢出合いキャンプ地着
スタートしてから丁度6時間を掛けてようやくキャンプ地に着く。
無人のテントが2張あったが、自分たちの張るテントスペースは余裕だった。
背負子を投げるように放ち、耐えて来た重荷から解放される・・。
少なくてもこれ以上の荷揚げはもう無いと思うと嬉しかった。
ふと我に返りガイド役に転じる。2張りのテント場所を決め設営する。
その一つが下の写真で今回のために購入した新品である。
ICIオリジナルのフェザーライトテント4~5人用、総重量2.2㎏と非常に軽い。
設営後は焚火の準備・・・
全員で流木を集め、鋸で切って薪にする。
本州の方にとって焚火が出来るキャンプ地は珍しいようで興奮気味だった。
ここをベースキャンプ地として2泊する計画がもっともポピュラーで余裕の持てる
山行だと思う。
八ノ沢出合いのキャンプ地で張ったテント
今夜のメニューは名付けて「山ラーチャーハン」
スモークベーコンとレタスに食べるラー油そして・・・
★ 山ラーチャーハン・・・
まだ15:30だったが、明日のアタックに備え早めの夕食とする。
沢で冷やしていたビールで乾杯し今日の安着を喜ぶ。いつもながらこの一杯は至福である。
「山ラーチャーハン」とは、山で食べるラー油入りチャーハンの略。
<食材 6人分>
アルファー米(白飯) 200g×3
クノールふんわり玉子スープ4個 60g×4
スモークベーコン 300g
桃屋 食べるラー油 (大さじ4)
レタス 3/4玉
塩コショウ 少々
<レシピ>
1.お湯を沸かしてアルファー米の袋に「ふんわり玉子スープ」と一緒に入れて20分待つ。
2.スモークベーコンとレタスを1cm程度に切って置く。
3.ベーコンとレタスを「食べるラー油」で炒める。塩コショウする。
4.ご飯が出来上がったらすべて一緒にして炒めて完成。
アルファー米が一人100gと少なく思うが、玉子スープで味が付きベーコンがボリューム
あって満腹感はある。食べるラー油でピリッと辛いがレタスのサクサク感でホローしていて
美味しかった。これも好評で完食、焚火を囲んでそのまま二次会となりコーヒーやお茶
そしてウイスキーの水割りでひと時を楽しんだ。
暗くなる前に単独の男性が下山して来て挨拶する。
ウイスキーを勧めると薄めずにストレートでグイッと飲み干し喜んでくれた。
隣のテントは男女3人組の別パーティーと言っていたが、カールの雪渓で迷っていて
女性一人はカールで止めて慰霊碑の近くで待機しているらしい。
他の二人は頂上に向かったらしいが登山道が分からず時間が掛かっていたように
見えたと説明してくれた。
心配していたが結局19時半を回っても下山しなかった。私たちはテントに戻り就寝した。
それから暫くして単独の男性との話し声で目を覚ます。今、下山したんだぁ~と分かった。
その話を翌朝聞くとカールから頂上往復に4時間以上掛かったらしく一人カールに残した
女性はずっと待っていたらしい。カールからの下山時はすでに暗くなっていたので時間を
掛けて慎重に降りて来たらしいが、22時過ぎのテン場下山とは疲労困憊の事だろうと
他人事ではなかった。ホント無事の下山に安堵する。
キャンプ地にて焚火を囲んで安着のひと時・・・
明日の登頂を祈念して・・・
★ いよいよアタック・・・
【7月15日(金)】
3:30 起床
5:00 出発
夜中に何度か大粒の雨がテントを打ち付け目を覚ますが、朝はすっきりと止みホッとする。
朝の焚火は予定していなかったが時間があったので残り火で焚火を復活させた。
コーヒーを飲み朝食はインスタントの味噌ラーメンを作る。スライスした力餅とパックライスも
用意していたがラーメンだけで充分だったようだ・・。でも一応パックライスは2個だけ作り
予備の行動食として持つことにした。(カールで食べた)
天候はくもり・・・
沢から望むカムエクの方向もテン場出合いの稜線も低いガスに隠れて何も見えなかった。
それぞれ装備のチェックをしていよいよアタックの出発だ!と気合を入れてもらう。
出発前、本日の行程を簡単に説明した。
ポイントは2つ。一つは1000m三股からカールまで標高差約500mの急な登りがあること。
一つはカールに残る雪渓の大きさである。雪渓で迷ってルートが分からずピークを踏めずに
下山したパーティーと昨日二組会っている。ガスっていても登る方向は分かっていたが、雪渓の
大きさと場所によっては迷う事も時間が掛かる事も予想出来、体力と時間勝負になるかもと周知した。
荷は軽いが30分に一度の休憩は継続し、無理をしない行動は夫婦登山と変わらない。
スタートはテン場ヨコからすぐ樹林帯の踏み跡を辿る。
10分程歩くと八ノ沢に出てすぐに渡渉する。ルート上にはケルンを中心に中洲の入口や出口に
ピンクや赤のテープがあり誘導してくれる。これを逃したり見落とすと無駄なルートとなり時間を
要する原因となる。
八ノ沢 C800付近で休憩 1000m三股の滝が見えて来た・・・
モミジカラマツ
エゾミソガワソウ
オオバミゾホウズキ
1000m三股の手前で・・まゆさんご夫婦です
スプーンカットの残雪をバックに・・・
★ 1000m三股の滝・・・
7:20 1000m三股の滝下
予定より少し遅れ気味も歩きにくいガレ場や渡渉も多く焦らずにマイペースを保つ。
1000m三股の滝では僅かに残ったスプーンカットの残雪があり記念の写真を撮る。
三股の滝は中央の大滝を中心に登るが何本かある小滝の沢筋上に付けられた踏み跡や
テープを逃さず慎重に登ると迷う事は無い。と言っても始めて登る場合はこの限りではない。
沿道には色々な花も見え始め、疲れを癒してくれるのが何より嬉しい。
本日の核心部となる源頭部の滝ルートを登る・・・
滝のビューポイントで記念撮影・・・
ナガバツガザクラ
滝の上流で出てきた残雪を慎重に通過
★ 八ノ沢カールと雪渓・・・
9:45 八ノ沢カール慰霊碑前
何とか一つ目のポイントをクリアーしカールに辿り着いた。
ここで沢靴から登山靴に履き替えるメンバーも居て長めの休憩を取る。
カールはガスに覆われ稜線は見えないが、目指すルートは雪渓の向こう側に確認出来た。
休憩中、何故ここで迷う登山者が居るのか?と考えてみる・・・。
きっと進むべきルートと方向が分かっていないので雪渓に惑わされ踏み跡を発見出来なか
ったのではと勝手に結論付けた。
休憩を終えるとなんの違和感もなく進むべきルートに向かい小さな雪渓を渡って再び
踏み跡を辿る。念のため雪渓の途中にはデポ旗を立てる。
ガスの中、カールから稜線に向かうルート上に雪渓があった・・・
稜線手前に群落するシナノキンバイ
キンバイと美女たち・・・
ハクサンイチゲ
稜線から南西凌を望む感動!
★ 天は味方なり・・・
13:30 C1785稜線分岐地点(テントサイト)
カールの雪渓は思ったほど大きくは無く二つ目のポイントもクリアー。
これで天気が悪くても99%登頂出来ると確信する。「もうひと頑張りで頂上ですよ」と案内すると
メンバーたちにも笑顔が戻って来た。そして、天も私たちに味方したのかガスが一気に吹き飛ぶように
上空へ消え去り青空が多くなって来た。
「カムイエクウチカウシ」=熊が転げ落ちるほどの峰
そんな急峻で痩せた稜線も好天と花畑に迎えられるとその恐怖感はまったく無くなる。
ただ足取りは軽くは無い。ここまで6時間以上の登行・・核心部の通過にはそれなりに負担は大きい。
健脚と思われたメンバーにも遅れ始める方がいる。ここまで来て焦る必要は無くそして何より
まゆさん念願の300名山完登を賭けた最後のルートなのだ。
少し離れては待ち、出来るだけ一緒に登る。
そして最後の登りではまゆさんを先頭にその瞬間を一番に感じてもらおうとリーダー松ちゃんに依頼。
岩稜帯のイワヒゲたちは元気いっぱい
痩せ尾根を辿りながら背景に1839峰を望む
頂上が見えたところでメンバーの記念写真
目指す頂上・・・間もなく!
明るく出迎えてくれるチングルマ
頂上直下に咲いていたオオイワツメクサ
まゆさん 日本300名山完登おめでとう!
12:15 カムエク頂上
私以外は全員初登頂。そしてまゆさんは日本300名山をここで完登した瞬間である。
全員で握手しながら登頂を喜びその感動に浸る。用意していた横断幕を広げ記念写真も撮った。
登頂時は貸切だったが、すぐ後から大阪から来たと言う二人組のパーティーが登頂する。
話を聞くと日帰りだそうでこれから登山口まで下山すると聞くと今の私には理解出来ない山の登り方だ。
とは言っても自分がピークハント的登り方をしていた昔と重なり、この山を何時間で登った・・と
早さを自慢する事が勲章のような時期もあったなぁと思い出す。
二人組は写真を撮ると早々に下山してしまった。私たちも余裕はなかったが、見える限りの景色を
楽しみ足を休めコーヒーを飲む時間を大切にした。
一歩一歩でも歩を進められたらいつかはゴールに辿り着く。
止まない雨は無いようにいつか晴れる日は必ず来るのが山登りの様な気がする。
もう決して若くは無いが、ある程度の荷物が背負え時間にさえ余裕を持てばこれからも難しい山への
挑戦は可能だろうと思っている。
ここまで半分。
登ったら降りる行程が待っているのが登山たる掟なのだ・・・。
遂に登頂! まゆさん日本300名山完登の瞬間です!!
まゆさんご夫婦ツーショットで・・・
私もついでに・・・
12:50 下山開始
約7時間を掛けた登りを今度は下る・・。
登頂の喜びも気持ちを切り替えて安全な下り体制を取る。
なんて・・・堅苦しい方程式は言いたくない。とにかくテントに帰ろ。
登りで撮れなかった花々は出来るだけ撮って帰ろうと思った。
稜線に咲く花はミヤマダイコンソウを中心にイワヒゲ、ハクサンイチゲが多く頂上直下の沿道には
エゾノツガザクラとアオノツガザクラが共演し大きな群落になっていたのが印象強い。
チングルマやキバナシャクナゲもまだ咲き初めでカムエクの花オンパレードに心は和む。
カールでは慰霊碑横の大きな岩にマットを引いて寝ている人と出会う。
福島から来た単独の男性、1泊2日の行程で今夜はここで泊まるらしい。
私たちが下りたらカールは独り占め・・なんと贅沢なひと時、ちょっと羨ましいと思った。
一部のメンバーは再び沢靴に履き替え下山の途につく。
下りも慎重に降りて1000m三股の下まで2時間を要した。まずは危険の多い下りの核心部を
クリアーし安堵する。あとはテントに帰る・・・なのだが、時計を気にし始めたのもこの頃である。
現在16:30。沢の下りは登りと同じくらい時間を要する。登りで2時間20分掛かっていた。
簡単な計算でテントには18:50着となる。
もしトラブルが起きたら闇の下山となるのは必至だ。
にわかにうす暗く感じるのは私だけだろうか。
メンバーの表情にも疲れが見え始めるが闇の下山は避けたかったので休憩を減らす事を
伝えてゆっくりも休まず歩いてもらった。
そして、計算通り
テントに着いたのは18:50である。
下山と同時にガスが再発・・・
可憐なキバナシャクナゲ
頂上直下の登山道?は花畑・・・この写真じゃ分からないね(汗)
エゾノツガザクラの群落
アップ
すぐ横で共演するアオノツガザクラ
チシマヒョウタンボク
シナノキンバイのアップ
ガスの向こうに浮かぶピラミッド峰が幻想的だった・・
稜線上、ピラミッド峰をバックに登頂を終えた笑顔のメンバー・・
稜線からカールへはウコンウツギとシナノキンバイの花畑だった・・
ここではサンカヨウがようやく咲き始める頃でした
カールからの下山は慎重にゆっくり降りる・・
★ 拍手の帰還・・・
18:50 テン場到着
最後の渡渉を終えて樹林帯に入った時は正直やった!と安堵した。
これで全員ケガ無くテントに戻れた・・・と頑張ったみんなに感謝である。
テン場に着くと大勢の人たちに「お帰りなさ~い!」と拍手で迎えられた。
今朝4張りだったテントは11張りに増え所狭しと賑わっていた。
出迎えてくれたのは本州から来たと言う10名ツアーの方々。
焚火を囲んで夕食を食べながら明日のアタックに身体を休めている感じだった。
私たちも早々にテントに戻り着替えたり荷物の整理をしたりと暗くなる前に慌ただしかった。
★ 最後の晩餐・・・
20:00 夕食開始
ハンバーグハヤシ&ワインディナー
300名山完登の祝賀会と題して最後の夜は豪華版とした。
予定では焚火を囲んでと思ったが、すでに暗く休んでいる方も多いのでひっそりとテントの中で
晩餐会は始まった。充実感一杯も疲れているのは皆同じ。だから肉料理がちょうどいい?
ベースはフリーズドライのビーフカレー
ここに軽く茹でたパプリカと真空パックのハンバーグを6個投入して温めるだけ。
後はフランスパンを輪切りにしてカレーを付けて食べるスタイルだ。飲み物は赤ワイン。
カレーと肉には赤がよく合う。今回2ℓのワインを持ち上げた。
お酒を飲まないメンバーも乾杯だけは付き合ってくれた。今宵の晩餐は22時まで続き
ワインは空になっていた。ご近所迷惑だったかも知れないが気持ちの分かる山屋のテン場
その後苦情も無く静かに幕を引き就寝する。
★ 下山の途・・・
【7月16日(土)】
3:30 起床(私と一部のメンバー)
起床予定は6:00にしていたのでまだ寝ているメンバーもいるが、今朝アタックする多くの方は
すでに起きていたので目が覚めた。私たちの出発は8:00なので充分過ぎるほどまったりしていた。
4:00に出発すると言っていたツアー一行もガイドが寝坊したらしく5:00に変更したらしい。
焚火をして目覚めのコーヒーは格別だった。
ウイスキーがほぼ1本残っていたので不謹慎を承知で出発前のツアーに寄贈した。
ガイドさんが快く受け取ってくれお礼を言ってくれた。今夜は是非これで祝杯してほしい。
朝食は、中札内地鶏カレーとスープで頂く。
今日から3連休とあって本流からどんどん登山者が到着する。
到着組の中にはすぐにテントだけ張ってカムエクを目指す人やカール泊する人も居る。
ここのキャンプ地はほぼ満員状態も分散すればテン場の余地はあるが今日はいったい何組の人たちが
来るのだろうと・・・静かなテン場は急に賑やかになって来た。
私たちもゆっくりだが下山の準備を始める。
8:15 下山開始
身も心も足取りも軽く・・・と言いたいところだが、私も含めてそれなりのダメージは受けている。
私の荷は確かに軽くなっているが、他のメンバーはさほど変わってはいない。疲れもあって歩く
速度は登りと大差ない印象だ。
ルートは登りと同じ様に歩くつもりが標識を頼りに歩いている内に沢よりも陸地を歩く比率が高く
思えた。でも時間は変わらず七ノ沢出合いには10:50に着く。
休んでいると昨日カールで寝ていた福島から来た単独のEさんが追い着いて来た。
今朝早くにカムエクを目指したが稜線出合いで熊と遭遇し身動き出来なく固まったと言う。
熊はコイボク沢の方へ降りたのでそのままピークを目指し登頂後に下山したと言っていたが
カール側にまったくと言っていいほど熊の掘り返しも糞も無かったのでびっくりして話を
聞き入ってしまった。その後は、Eさんとヒュッテまで一緒に歩き色々な話をして楽しかった。
13:30 登山口(札内川ヒュッテ横駐車場)
下りの足取りは皆さん軽い・・・?
ポーターの私も荷は半分になった・・・(写真提供:まゆさん)
安堵の下山・・・ヒュッテ横の駐車帯で・・(写真提供:まゆさん)
★ 山行を終えて・・・
カムエクに2年連続で登るとは思ってもいなかった。
それもポーターと言いつつガイド・シェフ・ドライバーも兼ねた特殊なパーティーでの山行。
初対面同士で不安要素は多々ある中で何度もMLで打ち合わせる。そして決行にまで至った。
登りたいと強く念ずる依頼者と登らせて上げたいと思う衝動に負けた私。
自分の実力が伴っていないのは承知の上、一生懸命準備はしたつもり。
依頼者が素人ではなく山岳会所属で日本300名山を目指す経験豊かな健脚者で
ある事は結果的に大きく成功に結び付いた要因のひとつだろうと感謝している。
しかし、結果オーライで良しではない。
成功した要因は他にも天候・水量・ケガやトラブル・道迷い等も無くすべてに順調であったからに
違いないと思っている。この山に限ってメンバーの故障があったり悪天になったりすれば当然ながら
登頂は出来ないと思っていた。増水すれば下山も危うくなる世界である。
ホントラッキーでした・・・で終わらす事も出来るが私自身もっとスキルアップしないと
今後の依頼は受けられないと反省と教訓は多かった。
依頼者にはホント心配やご迷惑を掛けたかも知れません。
不甲斐ないヘボポーターで不安だったと思いますが、その分皆さんがしっかりして登ってくれました。
逆に感謝しています。ありがとうございました。そしてお疲れ様てした。
いつも寄らせてもらう中札内村のラーメン鵬龍で食べた「こく旨味噌らーめん」
皆さん 美味しいと満足したようです。良かった!
※ 7/29 ようやくアップ終了!
カムイエクウチカウシ山 (1979m)
■ 山 行 日 2016年7月14日(木)~16日(土) 2泊3日
■ ル ー ト 札内川八ノ沢ルート 往復
■ メ ン バ ー CL 横浜のまっちゃん、ケイさん、エリさん、まゆさん、ヨシさん、エバ
■ 登 山 形 態 沢登り&踏み跡道
■ 地 形 図 1/25000地形図 「札内川上流」
■ 三角点・点名 一等三角点・点名 「札内岳 サツナイダケ」
■ コースタイム (BC 八ノ沢出合)
登り 7時間15分 下り 6時間00分
<登り>
【7/14】
6:40 日高山脈山岳センター(バンガロー)発
7:00 札内川ヒュッテ駐車場到着
7:15 札内川ヒッュテ駐車場出発
7:55~8:00 休憩
8:30~8:40 休憩
9:15~9:25 休憩
9:50~10:10 七ノ沢出合 休憩(一部沢靴に履き替える)
10:35~10:45 休憩
12:00~12:1 仲ノ沢出合 休憩
12:30~12:40 休憩
13:15 八ノ沢出合 (C1テント泊)
【7/15】
5:00 テント場 出発
6:00~6:10 C800休憩
6:45~6:50 C890休憩
7:20~7:30 1000m三股 休憩
8:00~8:05 C1120 滝の横で休憩
8:35~8:40 C1250 休憩
9:25~9:30 C1450 休憩
9:45~10:00 八ノ沢カール 休憩(一部靴を履き替える)
10:55~11:05 稜線分岐(c1785) 休憩
12:15 カムエク頂上
<下り>
12:50 下山開始
13:30~40 稜線分岐 休憩
14:15~30 八ノ沢カール 休憩(一部沢靴に履き替える)
16:25~30 1000m三股下 休憩
17:40~17:50 C800 休憩
18:50 八ノ沢出合テント場 (C2テント泊)
【7/16】
8:15 八ノ沢出合出発
8:40~8:50 休憩
9:20~30 仲ノ沢出合 休憩
10:20~10:30 休憩
10:50~11:10 七ノ沢出合 休憩(一部靴を履き替える)
12:00~12:10 橋の上で休憩
13:30 札内川ヒュッテP
GPSログは、某サイトからお借りしたものを編集しました。
★ プロローグ・・・
突然のメール依頼・・・それは昨年(2015年)12月、突然のメールからカムエクのガイド依頼だった。
発信者はまゆさんと言う神奈川県厚木在住の女性。
2010年縁あってペテカリ岳と神威岳を案内した I さんグループの友人と言う。
何度もメール交換をしながら詳細を詰めて、結果依頼を受ける事にしたのが経緯(いきさつ)だ。
依頼者は5名(男性2名・女性3名)、年齢も60代後半から70代と失礼ながら若くは無いが
いずれも日本200・300名山を狙っている健脚な愛好家たちであると分かって来る。
カムエクは決して楽な山ではない。
依頼者も充分承知はしているが、会った事も無い見ず知らずの方たちを安全に無事登頂・下山
させられるかが・・・一番のポイントだった。
しかし、依頼者の寛容な計らいで私は実質ポーター役ならと受けたのも事実で準備は進んでいった。
そして、いよいよ当日を迎える・・・。
★ 前泊は好評のバンガロー・・・
【7/13(水)】
当初は登山口となる「札内川ヒュッテ」に泊まる予定だったが、某サイトから札内川園地内の
バンガローに泊まり翌日山行を始めたパーティーのブログを読んで気持ちが揺らいだ。
園内にある日高山脈山岳センター管理のバンガローは5人用1棟2000円で借りられる。
車が横付け出来、バンガローには電気もあり近くにはトイレと炊事場もある。
比べるヒュッテは、車横付けとトイレこそあれ避難小屋である以上多数での宿泊も予想出来、
全員揃っての夕食や談笑にも気を使わなければならない。
始めてお会いする方たちとの初日は有料ながらこのバンガローが最適とすぐに予約を入れた次第だ。
5人用と言っても実際には大人8人位は寝られるスペースと押入れまである最適の小屋だった。
早々夕食の準備をしながら改めて「初対面の乾杯」から山の友となる・・・。
今夜のメニューは「スキヤキ」
肉とビール以外の食材はほとんど中札内村のスーパーで仕入れる。
妻チーヤン直伝のスキヤキは、本州の方たちにとってお初かも知れないがちょっと贅沢な牛肉と
少しだけ豚肉も加えた北海道風特製スキヤキ。明日からの山行に少しでも力を付けてほしいと
おもてなしの晩餐でした。
さて、そのお味はどうだったのでしょうか?
一応、用意した食材はすべて食べ切りました・・・。
前夜の夕食は豪華に「スキヤキ」
★ 山行初日は八ノ沢出合いまで・・・
【7/14(木)】
4:00 起床・・・朝食は「煮込みうどん」を作って全員完食!
急いではいなかったが、準備を終えて6:40にはバンガローを出た。
管理棟にカギを返却し札内川ヒュッテ横の駐車場に向かう。
10分程で到着すると以外にも車が少ない。昨夜ヒュッテの宿泊者は居なかったようで
もぬけの殻だった。玄関ドアのカギが壊されていたが中はきれいだった。
ヒュッテ泊6人貸切ならまずまずも他のパーティーが居たら狭い空間になっていたと
思うと明りの点くバンガロー泊が正解だったと納得する。
7:15 出発
パーティーの歩き方はそれぞれだが、重装備の山行では30分に一度の休憩を取るのが私流。
今回始めて「背負子」を使ったポーター役をかって出たが、6人パーティー3日分の食材と
アルコールはさすがに重かった。食材の詰まった段ボールとテントそして自分の装備を背負子に
乗せて括り付ける。
持ち上げようとすると、ビクともしないのに愕然とした!・・・
「やばい!」と思いつつ二人に手伝っていただき背負うとこれまでに経験のない重さが肩に
圧し掛かった。量ってはいないが約40キロはあったように思う。
山行初日は、高低差の少ない遡行がメインで何とか八ノ沢出合いのキャンプ地まで辿り着け
ればとそれだけが心配でガイド役まで余裕がなくなっていたのが現実だった。
途中、一ヵ所だけ渡渉場所を誤り深みに入った時、不覚にも沢の中央で転んでしまった。
段ボールとザックを濡らし更に重さが増す不始末をする。
ビョウタンの滝
札内川ヒュッテ横のゲート
ポーターの背負子は約40キロ・・・(写真提供:まゆさん)
七ノ沢出合いにある標識
七ノ沢出合いから最初の渡渉をするメンバーたち
何度も渡渉を繰り返すがルートの半分は中洲や高巻きの踏み跡を辿る
★ 八ノ沢出合いキャンプ地・・・
07:15 登山開始
10:30 七ノ沢出合いまで林道歩き
13:15 八ノ沢出合いまで札内川本流の遡行である。ここまで30分毎に計8回の休憩を取った。
13:15 八ノ沢出合いキャンプ地着
スタートしてから丁度6時間を掛けてようやくキャンプ地に着く。
無人のテントが2張あったが、自分たちの張るテントスペースは余裕だった。
背負子を投げるように放ち、耐えて来た重荷から解放される・・。
少なくてもこれ以上の荷揚げはもう無いと思うと嬉しかった。
ふと我に返りガイド役に転じる。2張りのテント場所を決め設営する。
その一つが下の写真で今回のために購入した新品である。
ICIオリジナルのフェザーライトテント4~5人用、総重量2.2㎏と非常に軽い。
設営後は焚火の準備・・・
全員で流木を集め、鋸で切って薪にする。
本州の方にとって焚火が出来るキャンプ地は珍しいようで興奮気味だった。
ここをベースキャンプ地として2泊する計画がもっともポピュラーで余裕の持てる
山行だと思う。
八ノ沢出合いのキャンプ地で張ったテント
今夜のメニューは名付けて「山ラーチャーハン」
スモークベーコンとレタスに食べるラー油そして・・・
★ 山ラーチャーハン・・・
まだ15:30だったが、明日のアタックに備え早めの夕食とする。
沢で冷やしていたビールで乾杯し今日の安着を喜ぶ。いつもながらこの一杯は至福である。
「山ラーチャーハン」とは、山で食べるラー油入りチャーハンの略。
<食材 6人分>
アルファー米(白飯) 200g×3
クノールふんわり玉子スープ4個 60g×4
スモークベーコン 300g
桃屋 食べるラー油 (大さじ4)
レタス 3/4玉
塩コショウ 少々
<レシピ>
1.お湯を沸かしてアルファー米の袋に「ふんわり玉子スープ」と一緒に入れて20分待つ。
2.スモークベーコンとレタスを1cm程度に切って置く。
3.ベーコンとレタスを「食べるラー油」で炒める。塩コショウする。
4.ご飯が出来上がったらすべて一緒にして炒めて完成。
アルファー米が一人100gと少なく思うが、玉子スープで味が付きベーコンがボリューム
あって満腹感はある。食べるラー油でピリッと辛いがレタスのサクサク感でホローしていて
美味しかった。これも好評で完食、焚火を囲んでそのまま二次会となりコーヒーやお茶
そしてウイスキーの水割りでひと時を楽しんだ。
暗くなる前に単独の男性が下山して来て挨拶する。
ウイスキーを勧めると薄めずにストレートでグイッと飲み干し喜んでくれた。
隣のテントは男女3人組の別パーティーと言っていたが、カールの雪渓で迷っていて
女性一人はカールで止めて慰霊碑の近くで待機しているらしい。
他の二人は頂上に向かったらしいが登山道が分からず時間が掛かっていたように
見えたと説明してくれた。
心配していたが結局19時半を回っても下山しなかった。私たちはテントに戻り就寝した。
それから暫くして単独の男性との話し声で目を覚ます。今、下山したんだぁ~と分かった。
その話を翌朝聞くとカールから頂上往復に4時間以上掛かったらしく一人カールに残した
女性はずっと待っていたらしい。カールからの下山時はすでに暗くなっていたので時間を
掛けて慎重に降りて来たらしいが、22時過ぎのテン場下山とは疲労困憊の事だろうと
他人事ではなかった。ホント無事の下山に安堵する。
キャンプ地にて焚火を囲んで安着のひと時・・・
明日の登頂を祈念して・・・
★ いよいよアタック・・・
【7月15日(金)】
3:30 起床
5:00 出発
夜中に何度か大粒の雨がテントを打ち付け目を覚ますが、朝はすっきりと止みホッとする。
朝の焚火は予定していなかったが時間があったので残り火で焚火を復活させた。
コーヒーを飲み朝食はインスタントの味噌ラーメンを作る。スライスした力餅とパックライスも
用意していたがラーメンだけで充分だったようだ・・。でも一応パックライスは2個だけ作り
予備の行動食として持つことにした。(カールで食べた)
天候はくもり・・・
沢から望むカムエクの方向もテン場出合いの稜線も低いガスに隠れて何も見えなかった。
それぞれ装備のチェックをしていよいよアタックの出発だ!と気合を入れてもらう。
出発前、本日の行程を簡単に説明した。
ポイントは2つ。一つは1000m三股からカールまで標高差約500mの急な登りがあること。
一つはカールに残る雪渓の大きさである。雪渓で迷ってルートが分からずピークを踏めずに
下山したパーティーと昨日二組会っている。ガスっていても登る方向は分かっていたが、雪渓の
大きさと場所によっては迷う事も時間が掛かる事も予想出来、体力と時間勝負になるかもと周知した。
荷は軽いが30分に一度の休憩は継続し、無理をしない行動は夫婦登山と変わらない。
スタートはテン場ヨコからすぐ樹林帯の踏み跡を辿る。
10分程歩くと八ノ沢に出てすぐに渡渉する。ルート上にはケルンを中心に中洲の入口や出口に
ピンクや赤のテープがあり誘導してくれる。これを逃したり見落とすと無駄なルートとなり時間を
要する原因となる。
八ノ沢 C800付近で休憩 1000m三股の滝が見えて来た・・・
モミジカラマツ
エゾミソガワソウ
オオバミゾホウズキ
1000m三股の手前で・・まゆさんご夫婦です
スプーンカットの残雪をバックに・・・
★ 1000m三股の滝・・・
7:20 1000m三股の滝下
予定より少し遅れ気味も歩きにくいガレ場や渡渉も多く焦らずにマイペースを保つ。
1000m三股の滝では僅かに残ったスプーンカットの残雪があり記念の写真を撮る。
三股の滝は中央の大滝を中心に登るが何本かある小滝の沢筋上に付けられた踏み跡や
テープを逃さず慎重に登ると迷う事は無い。と言っても始めて登る場合はこの限りではない。
沿道には色々な花も見え始め、疲れを癒してくれるのが何より嬉しい。
本日の核心部となる源頭部の滝ルートを登る・・・
滝のビューポイントで記念撮影・・・
ナガバツガザクラ
滝の上流で出てきた残雪を慎重に通過
★ 八ノ沢カールと雪渓・・・
9:45 八ノ沢カール慰霊碑前
何とか一つ目のポイントをクリアーしカールに辿り着いた。
ここで沢靴から登山靴に履き替えるメンバーも居て長めの休憩を取る。
カールはガスに覆われ稜線は見えないが、目指すルートは雪渓の向こう側に確認出来た。
休憩中、何故ここで迷う登山者が居るのか?と考えてみる・・・。
きっと進むべきルートと方向が分かっていないので雪渓に惑わされ踏み跡を発見出来なか
ったのではと勝手に結論付けた。
休憩を終えるとなんの違和感もなく進むべきルートに向かい小さな雪渓を渡って再び
踏み跡を辿る。念のため雪渓の途中にはデポ旗を立てる。
ガスの中、カールから稜線に向かうルート上に雪渓があった・・・
稜線手前に群落するシナノキンバイ
キンバイと美女たち・・・
ハクサンイチゲ
稜線から南西凌を望む感動!
★ 天は味方なり・・・
13:30 C1785稜線分岐地点(テントサイト)
カールの雪渓は思ったほど大きくは無く二つ目のポイントもクリアー。
これで天気が悪くても99%登頂出来ると確信する。「もうひと頑張りで頂上ですよ」と案内すると
メンバーたちにも笑顔が戻って来た。そして、天も私たちに味方したのかガスが一気に吹き飛ぶように
上空へ消え去り青空が多くなって来た。
「カムイエクウチカウシ」=熊が転げ落ちるほどの峰
そんな急峻で痩せた稜線も好天と花畑に迎えられるとその恐怖感はまったく無くなる。
ただ足取りは軽くは無い。ここまで6時間以上の登行・・核心部の通過にはそれなりに負担は大きい。
健脚と思われたメンバーにも遅れ始める方がいる。ここまで来て焦る必要は無くそして何より
まゆさん念願の300名山完登を賭けた最後のルートなのだ。
少し離れては待ち、出来るだけ一緒に登る。
そして最後の登りではまゆさんを先頭にその瞬間を一番に感じてもらおうとリーダー松ちゃんに依頼。
岩稜帯のイワヒゲたちは元気いっぱい
痩せ尾根を辿りながら背景に1839峰を望む
頂上が見えたところでメンバーの記念写真
目指す頂上・・・間もなく!
明るく出迎えてくれるチングルマ
頂上直下に咲いていたオオイワツメクサ
まゆさん 日本300名山完登おめでとう!
12:15 カムエク頂上
私以外は全員初登頂。そしてまゆさんは日本300名山をここで完登した瞬間である。
全員で握手しながら登頂を喜びその感動に浸る。用意していた横断幕を広げ記念写真も撮った。
登頂時は貸切だったが、すぐ後から大阪から来たと言う二人組のパーティーが登頂する。
話を聞くと日帰りだそうでこれから登山口まで下山すると聞くと今の私には理解出来ない山の登り方だ。
とは言っても自分がピークハント的登り方をしていた昔と重なり、この山を何時間で登った・・と
早さを自慢する事が勲章のような時期もあったなぁと思い出す。
二人組は写真を撮ると早々に下山してしまった。私たちも余裕はなかったが、見える限りの景色を
楽しみ足を休めコーヒーを飲む時間を大切にした。
一歩一歩でも歩を進められたらいつかはゴールに辿り着く。
止まない雨は無いようにいつか晴れる日は必ず来るのが山登りの様な気がする。
もう決して若くは無いが、ある程度の荷物が背負え時間にさえ余裕を持てばこれからも難しい山への
挑戦は可能だろうと思っている。
ここまで半分。
登ったら降りる行程が待っているのが登山たる掟なのだ・・・。
遂に登頂! まゆさん日本300名山完登の瞬間です!!
まゆさんご夫婦ツーショットで・・・
私もついでに・・・
12:50 下山開始
約7時間を掛けた登りを今度は下る・・。
登頂の喜びも気持ちを切り替えて安全な下り体制を取る。
なんて・・・堅苦しい方程式は言いたくない。とにかくテントに帰ろ。
登りで撮れなかった花々は出来るだけ撮って帰ろうと思った。
稜線に咲く花はミヤマダイコンソウを中心にイワヒゲ、ハクサンイチゲが多く頂上直下の沿道には
エゾノツガザクラとアオノツガザクラが共演し大きな群落になっていたのが印象強い。
チングルマやキバナシャクナゲもまだ咲き初めでカムエクの花オンパレードに心は和む。
カールでは慰霊碑横の大きな岩にマットを引いて寝ている人と出会う。
福島から来た単独の男性、1泊2日の行程で今夜はここで泊まるらしい。
私たちが下りたらカールは独り占め・・なんと贅沢なひと時、ちょっと羨ましいと思った。
一部のメンバーは再び沢靴に履き替え下山の途につく。
下りも慎重に降りて1000m三股の下まで2時間を要した。まずは危険の多い下りの核心部を
クリアーし安堵する。あとはテントに帰る・・・なのだが、時計を気にし始めたのもこの頃である。
現在16:30。沢の下りは登りと同じくらい時間を要する。登りで2時間20分掛かっていた。
簡単な計算でテントには18:50着となる。
もしトラブルが起きたら闇の下山となるのは必至だ。
にわかにうす暗く感じるのは私だけだろうか。
メンバーの表情にも疲れが見え始めるが闇の下山は避けたかったので休憩を減らす事を
伝えてゆっくりも休まず歩いてもらった。
そして、計算通り
テントに着いたのは18:50である。
下山と同時にガスが再発・・・
可憐なキバナシャクナゲ
頂上直下の登山道?は花畑・・・この写真じゃ分からないね(汗)
エゾノツガザクラの群落
アップ
すぐ横で共演するアオノツガザクラ
チシマヒョウタンボク
シナノキンバイのアップ
ガスの向こうに浮かぶピラミッド峰が幻想的だった・・
稜線上、ピラミッド峰をバックに登頂を終えた笑顔のメンバー・・
稜線からカールへはウコンウツギとシナノキンバイの花畑だった・・
ここではサンカヨウがようやく咲き始める頃でした
カールからの下山は慎重にゆっくり降りる・・
★ 拍手の帰還・・・
18:50 テン場到着
最後の渡渉を終えて樹林帯に入った時は正直やった!と安堵した。
これで全員ケガ無くテントに戻れた・・・と頑張ったみんなに感謝である。
テン場に着くと大勢の人たちに「お帰りなさ~い!」と拍手で迎えられた。
今朝4張りだったテントは11張りに増え所狭しと賑わっていた。
出迎えてくれたのは本州から来たと言う10名ツアーの方々。
焚火を囲んで夕食を食べながら明日のアタックに身体を休めている感じだった。
私たちも早々にテントに戻り着替えたり荷物の整理をしたりと暗くなる前に慌ただしかった。
★ 最後の晩餐・・・
20:00 夕食開始
ハンバーグハヤシ&ワインディナー
300名山完登の祝賀会と題して最後の夜は豪華版とした。
予定では焚火を囲んでと思ったが、すでに暗く休んでいる方も多いのでひっそりとテントの中で
晩餐会は始まった。充実感一杯も疲れているのは皆同じ。だから肉料理がちょうどいい?
ベースはフリーズドライのビーフカレー
ここに軽く茹でたパプリカと真空パックのハンバーグを6個投入して温めるだけ。
後はフランスパンを輪切りにしてカレーを付けて食べるスタイルだ。飲み物は赤ワイン。
カレーと肉には赤がよく合う。今回2ℓのワインを持ち上げた。
お酒を飲まないメンバーも乾杯だけは付き合ってくれた。今宵の晩餐は22時まで続き
ワインは空になっていた。ご近所迷惑だったかも知れないが気持ちの分かる山屋のテン場
その後苦情も無く静かに幕を引き就寝する。
★ 下山の途・・・
【7月16日(土)】
3:30 起床(私と一部のメンバー)
起床予定は6:00にしていたのでまだ寝ているメンバーもいるが、今朝アタックする多くの方は
すでに起きていたので目が覚めた。私たちの出発は8:00なので充分過ぎるほどまったりしていた。
4:00に出発すると言っていたツアー一行もガイドが寝坊したらしく5:00に変更したらしい。
焚火をして目覚めのコーヒーは格別だった。
ウイスキーがほぼ1本残っていたので不謹慎を承知で出発前のツアーに寄贈した。
ガイドさんが快く受け取ってくれお礼を言ってくれた。今夜は是非これで祝杯してほしい。
朝食は、中札内地鶏カレーとスープで頂く。
今日から3連休とあって本流からどんどん登山者が到着する。
到着組の中にはすぐにテントだけ張ってカムエクを目指す人やカール泊する人も居る。
ここのキャンプ地はほぼ満員状態も分散すればテン場の余地はあるが今日はいったい何組の人たちが
来るのだろうと・・・静かなテン場は急に賑やかになって来た。
私たちもゆっくりだが下山の準備を始める。
8:15 下山開始
身も心も足取りも軽く・・・と言いたいところだが、私も含めてそれなりのダメージは受けている。
私の荷は確かに軽くなっているが、他のメンバーはさほど変わってはいない。疲れもあって歩く
速度は登りと大差ない印象だ。
ルートは登りと同じ様に歩くつもりが標識を頼りに歩いている内に沢よりも陸地を歩く比率が高く
思えた。でも時間は変わらず七ノ沢出合いには10:50に着く。
休んでいると昨日カールで寝ていた福島から来た単独のEさんが追い着いて来た。
今朝早くにカムエクを目指したが稜線出合いで熊と遭遇し身動き出来なく固まったと言う。
熊はコイボク沢の方へ降りたのでそのままピークを目指し登頂後に下山したと言っていたが
カール側にまったくと言っていいほど熊の掘り返しも糞も無かったのでびっくりして話を
聞き入ってしまった。その後は、Eさんとヒュッテまで一緒に歩き色々な話をして楽しかった。
13:30 登山口(札内川ヒュッテ横駐車場)
下りの足取りは皆さん軽い・・・?
ポーターの私も荷は半分になった・・・(写真提供:まゆさん)
安堵の下山・・・ヒュッテ横の駐車帯で・・(写真提供:まゆさん)
★ 山行を終えて・・・
カムエクに2年連続で登るとは思ってもいなかった。
それもポーターと言いつつガイド・シェフ・ドライバーも兼ねた特殊なパーティーでの山行。
初対面同士で不安要素は多々ある中で何度もMLで打ち合わせる。そして決行にまで至った。
登りたいと強く念ずる依頼者と登らせて上げたいと思う衝動に負けた私。
自分の実力が伴っていないのは承知の上、一生懸命準備はしたつもり。
依頼者が素人ではなく山岳会所属で日本300名山を目指す経験豊かな健脚者で
ある事は結果的に大きく成功に結び付いた要因のひとつだろうと感謝している。
しかし、結果オーライで良しではない。
成功した要因は他にも天候・水量・ケガやトラブル・道迷い等も無くすべてに順調であったからに
違いないと思っている。この山に限ってメンバーの故障があったり悪天になったりすれば当然ながら
登頂は出来ないと思っていた。増水すれば下山も危うくなる世界である。
ホントラッキーでした・・・で終わらす事も出来るが私自身もっとスキルアップしないと
今後の依頼は受けられないと反省と教訓は多かった。
依頼者にはホント心配やご迷惑を掛けたかも知れません。
不甲斐ないヘボポーターで不安だったと思いますが、その分皆さんがしっかりして登ってくれました。
逆に感謝しています。ありがとうございました。そしてお疲れ様てした。
いつも寄らせてもらう中札内村のラーメン鵬龍で食べた「こく旨味噌らーめん」
皆さん 美味しいと満足したようです。良かった!
※ 7/29 ようやくアップ終了!
夕張ヒュッテでカワケンさんと一杯やってきました
アポイ岳のグループとの行事が重なり小屋は大賑わいでした。
夕張岳はとても良い山ですね。花や見所が多く登山者を飽きさせない。
山頂は曇り空で強風でしたが、山頂の奥に風の当たらない良い斜面を見つけて、持参したとうきびや中札内で買った大福を味わいました。
黄色い花に囲まれて至福。
朝4時に出発し、予定通り10時に下山です
小屋の人たちはみな親切で大好きです
カワケンさんと固く握手してヒュッテを後にしました
またどこかで会いましょう!
17日はヒュッテまで行けず申し訳ありません。
朝から後片付けに追われ身体も全身怠く
1時間ちょっとの夕張岳ヒュッテがすごく遠くに
感じてしまいました。
会いたかったです。個人情報どこかで交換すれば
良かったと後悔してます。
でも河ケンさんと一杯飲めて良かったですね。
五右衛門風呂はお休みでしたか?
北海道には、まだまだ良い山沢山ありますので
是非機会を作ってまた来て下さいね。
そしてまた会いましょう。待ってます!