スキー納と春山初ピーク狙いで決行!
大雪・・小旭岳 (1654m)~後旭岳(2216m)
進む融雪と予想外の天候急変でコースタイム変わる
■ 山 行 日 2017年5月21日(日) 日帰り
■ ル ー ト 旭岳スキー場~小旭岳~後旭岳~スキー場(旭岳周回ルート)
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №13
■ 登 山 形 態 山スキー
■ 地 形 図 1/25000地形図 「旭 岳」
■ 三角点・点名 小旭岳、後旭岳とも三角点無し。標高点のみ
■ コースタイム 小旭岳まで4時間30分 小旭岳~後旭岳まで2時間45分
後旭岳~登山口まで2時間
<登り>
06:45 登山開始(旭岳公共駐車場)
07:20 C1270付近 スキー場コースから離脱
08:50 C1430付近 旭岳南西地点より旭岳を望む
10:25 C1590付近 小旭岳北東コル休憩
11:15 小旭岳頂上
11:35 小旭岳出発
12:50 C1850付近 休憩
14:05 旭岳と後旭岳コル付近
14:20 後旭岳頂上
<下り>
14:25 後旭岳下山開始
14:35 コル
15:30 旭岳ロープウェー駅前
16:00 下山開始
16:20 登山口駐車場
16:30~17:30 湧駒荘温泉(入浴料800円)
携帯GPSログを元に作成したルート図です・・・
★ 昨年に続く春山大雪・・・
意識はしていなかったが、昨年の5月も層雲峡から黒岳に登り初ピーク狙いで
「凌雲岳」に登っていたことを後から思い出した。そして、5月、6月はエバ夫婦にとってマラソン月間でもあり
それぞれ大会を控えて練習に励む月でもあった。ただ、練習ばかりではストレスを溜めるので山には行きたいと
計画を立てる事が常になっている。そこでたまたま選んだ山が再び大雪山系で偶然だった。
今回の選択もHYMLの岳友である山ちゃんのHPを参考にさせて頂いた。以前から狙っていた山に
違いないが、山行記録があるというだけで勇気百倍の登行意欲となるから嬉しい。
前泊するかどうか相棒と相談すると「当日が良い」と言うので早朝の出発とし日帰りで臨むことにした。
★ 不思議・・・
つい先日登った南日高のアポイ岳を夏山初めとしていたのに、今度はスキー納めと称して春山の残雪を求めた。
下界はすっかり新緑が映えて気温もどんどん上がり場所によっては30度を超える真夏日という陽気。
車も完全夏タイヤだし、どこに雪山があるんだ?と言いたくなるほど雪から遠ざかってる今日この頃。
現地に向かう道中でも周りに残雪の欠片も無く5月でももう夏だと勘違いするほど天気が良かった。
だが、北海道はやっぱり広い。
美瑛町から旭岳温泉に向かうと次第に高度を上げながら冷(ひん)やりとした空気を感じて来る。
前方には残雪をまとった旭岳が顔を出し始め沿道脇にはチラホラと残雪が目立ち始めるから不思議だ。
そして、温泉に着く頃には沿道脇にはびっしりと残雪があり沢にはヤチブキの花(エゾノリュウキンカ)
が咲いていてここはようやく春が来た場所なんだと自覚する。
旭岳ロープウェイの下にある公共駐車所には先行者と見られる車2台が駐車していて、山準備をしていた
パーティーと挨拶を交わした。
聞くとそれぞれ旭岳を目指す単独のツボ足組とスキーで登る3人組だった。
早々準備をして駐車場のすぐ傍からスキーを履き、ここから出発出来るのが不思議と思いつつ歩き始めた。
<コメント>
旭岳ロープウェイは運行しているが、スキーを積んで乗車出来る期間が5月14日で終了している。
そのためスキーやボードを楽しみたい登山者は、下から登らなければならない。
因みにスノーシューは持ち込み可のようだが、確認してほしい。
旭岳スキー場コースを駐車場からスキーを履いて歩き始める・・・
麓でも積雪は2m以上か? スキーコースも整備されていて驚く。
★ 誤算・・・
小旭岳(こあさひだけ)と呼ぶがポンあさひだけとも通称呼ばれている。
今日のルートは、山ちゃんルートを参考にスキーコースを登って第一天女ヶ原と第二天女ヶ原の
中間地点となる標高1250m付近からスキーコースを外れ南下する。
しかし、外れてすぐ問題が発生! 地形図には載っていない小沢が完全に口を開き勢い良く流れている。
上から覗き見る限りどこにもSBはなくルート変更を余儀なくされる大きな誤算だった。
仕方なく地形図を読み上部を高巻きする形で沢を越える事にした。その後、本来のルートに戻るため
急斜面を数10メートル降りるが、再び次の沢も怪しげに見えながら近寄る事になった・・・。
この沢は忠別川の支流二見川で旭平の麓が源頭のようだ。
近付くとやっぱり沢は開いていた。しかし、唯一のSBを見つけ慎重に渡渉出来て安堵した場面だ。
予定したルートは、沢が完全に開いてSBが無かったので大きく巻くことにした。
二見川の渡渉・・・唯一このSBで他に渡渉点は見当たらなかったのでラッキーだった。
★ 複雑な地形も・・・
何事も予定通りにはいかないもので、ルートを同じように辿ろうとしてもその時期や残雪の多さ、
天候、気温、体力、脚力などにも左右されコースタイムに違いが出るのは当たり前の事。
それにこのルートは、旭岳の裾野に広がる幾つもの沢筋が複雑な地形を作り何度もアップダウンを
余儀なくされる。そのため地図読みは非常に難しく困難に等しいと思った。
参考にした山ちゃんルートはある意味完璧で最短ルートだ。それは現地に来れば分かる事だが
出来るだけ平坦で緩斜度のルートを選び、尚且つ無駄の無いコースを選んでいたからだ。
しかし、今までの地図とコンパスと高度計だけを頼りに行って来た山登りとはレベルが違う気がする。
絶対条件は「一日快晴であること」だが、仮に今日のように絶対条件クリアーだとしても地図読みの
自信はまったく無かった。
今日の主役は完全に「GPS」である。
旭岳の南西部C1450付近は旭岳の絶景ビューポイントだった。背景は旭岳
そろそろ森林限界の近付く1500mラインを超える頃
再び旭岳を左手に見ながら歩いたのは裾平のすぐ南側のルート上だ・・
ようやく目の前に姿を現した小旭岳(正面左側の山)、右側は高根ヶ原の南西斜面の末端に位置する場所
目指す小旭岳がどんどん近付いて来たが見える斜面がハイ松なのが気になった。
この付近の沢越えが意外と長く苦しい・・・(沢は完全に雪に埋まっている)
こんな絶壁を降りなければならない場面も・・・
忠別岳や化雲岳の方向を一望する・・・
最後の沢越えも絶壁の下を通過する場所だった。すぐ右手に小旭岳がある・・。
小旭岳北東尾根の末端コル付近
尾根から望む白雲岳と周辺のカムイミンタラ
雪のあるところは東斜面になる。 念願の小旭岳が間もなくだったが・・・
★ 小旭岳初登頂に成功・・・
11:00 頂上付近
GPSで見る実際の頂上は、雪の無いハイ松の中にある。
小旭岳には三角点があると思い込み、GPSを頼りにハイ松帯に突入。しかし、いくら探しても三角点は
見つけられず諦めて帰ろうとしたとき、頂上らしきハイ松の中に古い鋸目を見つけここを頂上として
記念写真を撮った次第だ。
帰宅後分かった事だが、小旭岳には三角点は無く標高点のみの表示だったと分かりホッとする。
ハイ松漕ぎに約15分ほど喘ぎ、頂上での撮影は11:15だった。
それでもやっぱり未踏峰を踏む喜びはひとしおで、念願叶った達成感で充実していた。
5/21 小旭岳(1654m)頂上はハイ松の中だった・・・
小旭岳頂上から望む旭岳(左側)と後旭岳(右側)
小旭岳から少しだけスキーを楽しめた・・・。
★ 標高差600mの登りそして・・・
さて、今回の山行はこれで終わりではない。
大雪山の大きさをまざまざと知らしめられ長く辛い登りに耐える一言である。
小旭岳に登頂し気を良くしていたのも束の間で、空模様が急に怪しくなって風も出始めて来た。
そして、間もなくポツンポツンと雨が降り出し、後に本降りとなって顔に打ち付けるようななった。
やばいと思いつつどうにも出来ないのが悔しいが、ここから後旭岳まで標高差は600m以上もあり
距離も近いようで時間を要する大雪の地形なのだが行くしかなかった。
想定外のまさかを実感し雨具は早めに着たのは正解だったが・・・。
雨は1時間ほど続き一端止んだ。
どのような状況でも逃げる事の出来ない大雪山では、行動の選択肢は限られ耐えて行くしかない
という結論を出す。その中で、後旭岳の登頂は諦め旭岳の裾野を巻いて旭岳石室に逃げ込む選択も
考えたが、融雪が進んだ南側の斜面は雪で繋がっておらずハイ松と岩場に遮られて断念する。
もう一つの選択は、旭岳頂上部まで登って夏道をシートラして石室に避難する方法もあった。
しかし、いずれにせよ旭岳と後旭岳のコルまでは登る必要があり、着きそうで着かない長い登りと
雨に耐えながら一歩ずつ登る事にした。
幸いだったのが、視界があった事と風があっても寒くなかった事だろうか。
時間は掛かったが、一歩ずつ登る事でコルが近づく事を実感し気持ちに余裕が出て来た。
地形図とGPSで位置確認するとコルから後旭岳まで僅か250mの距離ではないか。
一度は諦めて早い下山を決めていたがつい欲が出てしまった。
小旭岳から後旭岳のコルへの登りで振り返ると雄大で幻想的な大雪を一望し感動した。
写真手前右が旭岳、左が後旭岳。最奥の中央がトムラウシ山である。まさに神々しい世界だった。
★ 欲・・・
14:05 コル(約2150m)
小旭岳からここまで2時間半を要した。
ここでは視界が効く分GPSに頼らずともまっすぐにコルを目指すルートが見えていた。
悪天の大雪は常識を超えた厳しい世界になることは承知していたので予定をすべてキャンセルし
下山を急ぐべきなのだが・・・
天候が目まぐるしく変わる中でつい「欲」も芽生えてしまった。
諦めていた「後旭岳」の登頂である。
コルからの距離は約250mほどで往復30分と読む。
今の時間と計算しても15:30頃には旭岳ロープウェイ駅に着けると見込んだ。
後旭岳の頂上直下までスキーで登り最後だけツボ足で雪の無い尾根上を登った。
強風なので三脚は立てず一人ずつの登頂写真を撮ってすぐに下山する。
往復30分と掛からなかった。
危険も覚悟で欲に負けて登ってしまった「後旭岳」頂上に立つ。背景は旭岳である。
★ 下山のスキー納めは・・・
14:30 コルにてシールを外す
雨は止んだがガスが出て来て視界は余り良くない状況だった。
でも旭岳の東斜面と北斜面は完全に雪で覆われているだろうと安心して滑り始めた。
高度を下げ過ぎないようGPSで確認しながら大きく周回し高度を下げて行った。
ちょっと重さを感じるザラメ状の雪もなんとか楽しみながら降りると突然ハイ松帯に出くわす。
北斜面でも融雪が進んでいて岩場やハイ松帯が顔を出し更に高度を下げざる負えなかった。
それでも何とか周回し旭岳ロープウェイが近くなった頃また雨が降り出し最悪である。
最後は歩きながらもロープウェイの駅が見えた時は安堵した。
皮肉にも駅に着く頃一気に晴れて、久しぶりの行動食とコーラで乾杯した。
観光客と思える外国人や日本人の家族連れが姿見の池付近までツボ足で登って来て晴れた旭岳を
バックに写真を撮っていたのが何故か不思議だった。
コルからシールを外しスキー納めの滑降をはじめたところ・・(旭岳の東斜面)
ホッと安堵した旭岳ロープウェイ駅前より旭岳をバックに一枚撮る
はじめて滑る旭岳スキー場コース・・・コースは狭いが整備されていて滑り易かった
あっという間の下降は約20分で駐車場に着いた
★ ちょっとビビったがスキー納め終了・・・
トータル9時間を超える周回ルート。予定では7時間半だった。
ともあれ急変する天候と融雪の速さで戸惑った場面や無事下山出来るのかとちょっとビビった場面もあったが
GPS様々で無事下山することが出来た。そして、参考にさせて頂いた山ちゃんの記録にも大いに助けられ
感謝の一言である。おかげで念願の未踏2座を登頂し満足な山行が出来て良かった。
下山後は「湧駒荘」でゆっくりと汗を流し20:45無事帰宅した。
大雪・・小旭岳 (1654m)~後旭岳(2216m)
進む融雪と予想外の天候急変でコースタイム変わる
■ 山 行 日 2017年5月21日(日) 日帰り
■ ル ー ト 旭岳スキー場~小旭岳~後旭岳~スキー場(旭岳周回ルート)
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №13
■ 登 山 形 態 山スキー
■ 地 形 図 1/25000地形図 「旭 岳」
■ 三角点・点名 小旭岳、後旭岳とも三角点無し。標高点のみ
■ コースタイム 小旭岳まで4時間30分 小旭岳~後旭岳まで2時間45分
後旭岳~登山口まで2時間
<登り>
06:45 登山開始(旭岳公共駐車場)
07:20 C1270付近 スキー場コースから離脱
08:50 C1430付近 旭岳南西地点より旭岳を望む
10:25 C1590付近 小旭岳北東コル休憩
11:15 小旭岳頂上
11:35 小旭岳出発
12:50 C1850付近 休憩
14:05 旭岳と後旭岳コル付近
14:20 後旭岳頂上
<下り>
14:25 後旭岳下山開始
14:35 コル
15:30 旭岳ロープウェー駅前
16:00 下山開始
16:20 登山口駐車場
16:30~17:30 湧駒荘温泉(入浴料800円)
携帯GPSログを元に作成したルート図です・・・
★ 昨年に続く春山大雪・・・
意識はしていなかったが、昨年の5月も層雲峡から黒岳に登り初ピーク狙いで
「凌雲岳」に登っていたことを後から思い出した。そして、5月、6月はエバ夫婦にとってマラソン月間でもあり
それぞれ大会を控えて練習に励む月でもあった。ただ、練習ばかりではストレスを溜めるので山には行きたいと
計画を立てる事が常になっている。そこでたまたま選んだ山が再び大雪山系で偶然だった。
今回の選択もHYMLの岳友である山ちゃんのHPを参考にさせて頂いた。以前から狙っていた山に
違いないが、山行記録があるというだけで勇気百倍の登行意欲となるから嬉しい。
前泊するかどうか相棒と相談すると「当日が良い」と言うので早朝の出発とし日帰りで臨むことにした。
★ 不思議・・・
つい先日登った南日高のアポイ岳を夏山初めとしていたのに、今度はスキー納めと称して春山の残雪を求めた。
下界はすっかり新緑が映えて気温もどんどん上がり場所によっては30度を超える真夏日という陽気。
車も完全夏タイヤだし、どこに雪山があるんだ?と言いたくなるほど雪から遠ざかってる今日この頃。
現地に向かう道中でも周りに残雪の欠片も無く5月でももう夏だと勘違いするほど天気が良かった。
だが、北海道はやっぱり広い。
美瑛町から旭岳温泉に向かうと次第に高度を上げながら冷(ひん)やりとした空気を感じて来る。
前方には残雪をまとった旭岳が顔を出し始め沿道脇にはチラホラと残雪が目立ち始めるから不思議だ。
そして、温泉に着く頃には沿道脇にはびっしりと残雪があり沢にはヤチブキの花(エゾノリュウキンカ)
が咲いていてここはようやく春が来た場所なんだと自覚する。
旭岳ロープウェイの下にある公共駐車所には先行者と見られる車2台が駐車していて、山準備をしていた
パーティーと挨拶を交わした。
聞くとそれぞれ旭岳を目指す単独のツボ足組とスキーで登る3人組だった。
早々準備をして駐車場のすぐ傍からスキーを履き、ここから出発出来るのが不思議と思いつつ歩き始めた。
<コメント>
旭岳ロープウェイは運行しているが、スキーを積んで乗車出来る期間が5月14日で終了している。
そのためスキーやボードを楽しみたい登山者は、下から登らなければならない。
因みにスノーシューは持ち込み可のようだが、確認してほしい。
旭岳スキー場コースを駐車場からスキーを履いて歩き始める・・・
麓でも積雪は2m以上か? スキーコースも整備されていて驚く。
★ 誤算・・・
小旭岳(こあさひだけ)と呼ぶがポンあさひだけとも通称呼ばれている。
今日のルートは、山ちゃんルートを参考にスキーコースを登って第一天女ヶ原と第二天女ヶ原の
中間地点となる標高1250m付近からスキーコースを外れ南下する。
しかし、外れてすぐ問題が発生! 地形図には載っていない小沢が完全に口を開き勢い良く流れている。
上から覗き見る限りどこにもSBはなくルート変更を余儀なくされる大きな誤算だった。
仕方なく地形図を読み上部を高巻きする形で沢を越える事にした。その後、本来のルートに戻るため
急斜面を数10メートル降りるが、再び次の沢も怪しげに見えながら近寄る事になった・・・。
この沢は忠別川の支流二見川で旭平の麓が源頭のようだ。
近付くとやっぱり沢は開いていた。しかし、唯一のSBを見つけ慎重に渡渉出来て安堵した場面だ。
予定したルートは、沢が完全に開いてSBが無かったので大きく巻くことにした。
二見川の渡渉・・・唯一このSBで他に渡渉点は見当たらなかったのでラッキーだった。
★ 複雑な地形も・・・
何事も予定通りにはいかないもので、ルートを同じように辿ろうとしてもその時期や残雪の多さ、
天候、気温、体力、脚力などにも左右されコースタイムに違いが出るのは当たり前の事。
それにこのルートは、旭岳の裾野に広がる幾つもの沢筋が複雑な地形を作り何度もアップダウンを
余儀なくされる。そのため地図読みは非常に難しく困難に等しいと思った。
参考にした山ちゃんルートはある意味完璧で最短ルートだ。それは現地に来れば分かる事だが
出来るだけ平坦で緩斜度のルートを選び、尚且つ無駄の無いコースを選んでいたからだ。
しかし、今までの地図とコンパスと高度計だけを頼りに行って来た山登りとはレベルが違う気がする。
絶対条件は「一日快晴であること」だが、仮に今日のように絶対条件クリアーだとしても地図読みの
自信はまったく無かった。
今日の主役は完全に「GPS」である。
旭岳の南西部C1450付近は旭岳の絶景ビューポイントだった。背景は旭岳
そろそろ森林限界の近付く1500mラインを超える頃
再び旭岳を左手に見ながら歩いたのは裾平のすぐ南側のルート上だ・・
ようやく目の前に姿を現した小旭岳(正面左側の山)、右側は高根ヶ原の南西斜面の末端に位置する場所
目指す小旭岳がどんどん近付いて来たが見える斜面がハイ松なのが気になった。
この付近の沢越えが意外と長く苦しい・・・(沢は完全に雪に埋まっている)
こんな絶壁を降りなければならない場面も・・・
忠別岳や化雲岳の方向を一望する・・・
最後の沢越えも絶壁の下を通過する場所だった。すぐ右手に小旭岳がある・・。
小旭岳北東尾根の末端コル付近
尾根から望む白雲岳と周辺のカムイミンタラ
雪のあるところは東斜面になる。 念願の小旭岳が間もなくだったが・・・
★ 小旭岳初登頂に成功・・・
11:00 頂上付近
GPSで見る実際の頂上は、雪の無いハイ松の中にある。
小旭岳には三角点があると思い込み、GPSを頼りにハイ松帯に突入。しかし、いくら探しても三角点は
見つけられず諦めて帰ろうとしたとき、頂上らしきハイ松の中に古い鋸目を見つけここを頂上として
記念写真を撮った次第だ。
帰宅後分かった事だが、小旭岳には三角点は無く標高点のみの表示だったと分かりホッとする。
ハイ松漕ぎに約15分ほど喘ぎ、頂上での撮影は11:15だった。
それでもやっぱり未踏峰を踏む喜びはひとしおで、念願叶った達成感で充実していた。
5/21 小旭岳(1654m)頂上はハイ松の中だった・・・
小旭岳頂上から望む旭岳(左側)と後旭岳(右側)
小旭岳から少しだけスキーを楽しめた・・・。
★ 標高差600mの登りそして・・・
さて、今回の山行はこれで終わりではない。
大雪山の大きさをまざまざと知らしめられ長く辛い登りに耐える一言である。
小旭岳に登頂し気を良くしていたのも束の間で、空模様が急に怪しくなって風も出始めて来た。
そして、間もなくポツンポツンと雨が降り出し、後に本降りとなって顔に打ち付けるようななった。
やばいと思いつつどうにも出来ないのが悔しいが、ここから後旭岳まで標高差は600m以上もあり
距離も近いようで時間を要する大雪の地形なのだが行くしかなかった。
想定外のまさかを実感し雨具は早めに着たのは正解だったが・・・。
雨は1時間ほど続き一端止んだ。
どのような状況でも逃げる事の出来ない大雪山では、行動の選択肢は限られ耐えて行くしかない
という結論を出す。その中で、後旭岳の登頂は諦め旭岳の裾野を巻いて旭岳石室に逃げ込む選択も
考えたが、融雪が進んだ南側の斜面は雪で繋がっておらずハイ松と岩場に遮られて断念する。
もう一つの選択は、旭岳頂上部まで登って夏道をシートラして石室に避難する方法もあった。
しかし、いずれにせよ旭岳と後旭岳のコルまでは登る必要があり、着きそうで着かない長い登りと
雨に耐えながら一歩ずつ登る事にした。
幸いだったのが、視界があった事と風があっても寒くなかった事だろうか。
時間は掛かったが、一歩ずつ登る事でコルが近づく事を実感し気持ちに余裕が出て来た。
地形図とGPSで位置確認するとコルから後旭岳まで僅か250mの距離ではないか。
一度は諦めて早い下山を決めていたがつい欲が出てしまった。
小旭岳から後旭岳のコルへの登りで振り返ると雄大で幻想的な大雪を一望し感動した。
写真手前右が旭岳、左が後旭岳。最奥の中央がトムラウシ山である。まさに神々しい世界だった。
★ 欲・・・
14:05 コル(約2150m)
小旭岳からここまで2時間半を要した。
ここでは視界が効く分GPSに頼らずともまっすぐにコルを目指すルートが見えていた。
悪天の大雪は常識を超えた厳しい世界になることは承知していたので予定をすべてキャンセルし
下山を急ぐべきなのだが・・・
天候が目まぐるしく変わる中でつい「欲」も芽生えてしまった。
諦めていた「後旭岳」の登頂である。
コルからの距離は約250mほどで往復30分と読む。
今の時間と計算しても15:30頃には旭岳ロープウェイ駅に着けると見込んだ。
後旭岳の頂上直下までスキーで登り最後だけツボ足で雪の無い尾根上を登った。
強風なので三脚は立てず一人ずつの登頂写真を撮ってすぐに下山する。
往復30分と掛からなかった。
危険も覚悟で欲に負けて登ってしまった「後旭岳」頂上に立つ。背景は旭岳である。
★ 下山のスキー納めは・・・
14:30 コルにてシールを外す
雨は止んだがガスが出て来て視界は余り良くない状況だった。
でも旭岳の東斜面と北斜面は完全に雪で覆われているだろうと安心して滑り始めた。
高度を下げ過ぎないようGPSで確認しながら大きく周回し高度を下げて行った。
ちょっと重さを感じるザラメ状の雪もなんとか楽しみながら降りると突然ハイ松帯に出くわす。
北斜面でも融雪が進んでいて岩場やハイ松帯が顔を出し更に高度を下げざる負えなかった。
それでも何とか周回し旭岳ロープウェイが近くなった頃また雨が降り出し最悪である。
最後は歩きながらもロープウェイの駅が見えた時は安堵した。
皮肉にも駅に着く頃一気に晴れて、久しぶりの行動食とコーラで乾杯した。
観光客と思える外国人や日本人の家族連れが姿見の池付近までツボ足で登って来て晴れた旭岳を
バックに写真を撮っていたのが何故か不思議だった。
コルからシールを外しスキー納めの滑降をはじめたところ・・(旭岳の東斜面)
ホッと安堵した旭岳ロープウェイ駅前より旭岳をバックに一枚撮る
はじめて滑る旭岳スキー場コース・・・コースは狭いが整備されていて滑り易かった
あっという間の下降は約20分で駐車場に着いた
★ ちょっとビビったがスキー納め終了・・・
トータル9時間を超える周回ルート。予定では7時間半だった。
ともあれ急変する天候と融雪の速さで戸惑った場面や無事下山出来るのかとちょっとビビった場面もあったが
GPS様々で無事下山することが出来た。そして、参考にさせて頂いた山ちゃんの記録にも大いに助けられ
感謝の一言である。おかげで念願の未踏2座を登頂し満足な山行が出来て良かった。
下山後は「湧駒荘」でゆっくりと汗を流し20:45無事帰宅した。
数多い未踏峰をいつどう登るか?
本当であれば、未踏峰の地図と睨めっこしながら、
どこから登るかルート探しを自分で開拓するのが一番楽しい。
しかし、そうも言ってられずつい人の記録が気になって探してしまう有様です。
さすがと言われても返す言葉も無く
でも、行くからには登頂したいとがんばる。
ただ、それだけ。
何か山を楽しむと言うより仕事みたいなもので淡々と潰してるだけかも知れません?
いつもお二人の山行を参考にさせていただいています。ありがとうございます。
昨日、ブログを参考に小旭岳に単独で行って来ました。残念ながらお天気に恵まれず、小旭岳から後旭岳コルの長い登りはホワイトアウトでGPSが唯一自分の歩いている場所と周りの地形がわかる緊張の山行となりました。
この記事の写真で昨日の山行を振り返っています。素敵な景色ですね。
これからもブログ参考にさせていただきます。
コメントありがとうございました。
いつも当ブログを見て頂き参考になれば幸いです。
コメントを頂き改めて昨年の記録を読み返し懐かしく思い出しました。
この山は、やはり天気の良い残雪期に一日掛けて登れる山ですね。
GPSが無ければ難しい山行だと、私も思います。
今後ともよろしくお願いします。