風に吹かれたアン

旅歴、50年~世界中を放浪するのが夢。
40ヵ国は行ったけど、コロナで一時中断。
今年やっと復活~(笑)

原美術館へ

2020-10-27 20:43:07 | 文学・映画・芸術


北品川の「原美術館」に行ってきた。

あと2か月余りで、原美術館東京本館が閉館してしまう。
行きたいときにすぐ行ける、住宅街にある現代アートの美術館だ。



雨が少し降っていたが、久しぶりに品川駅から歩いて美術館まで行った。
途中の歩道には、銀杏やどんぐりが落ちていたりする。
雨の日もなかなか風情があっていいものだ。。。

近辺には、東京マリオットホテルや御殿山庭園がある。

予約した時間よりかなり早く着いたので、
30分ほど住宅街や御殿山庭園の中を散策した。



庭園の紅葉が少しずつ色を濃くし始めている。



ここにも鳩が遊んでいる。笑







原美術館は建物自体も歴史があり、趣がある。






カフェもあってのんびりできる場所だ。
今回の、若手5人の作品も心に直接訴えかけてくる。



来年以降は、群馬県の伊香保温泉近くにあるハラ ミュージアム アークに
集約される。

自然の豊かな場所で、コレクションもまた一層映えるかもしれない。

夏目漱石と「栗」

2020-09-15 20:48:39 | 文学・映画・芸術

 

「絵所を栗焼く人に尋ねけり」(漱石)




俳句を始めてから、「自然」が以前よりも身近に感じられるようになった。

先日、お昼ご飯を食べているとき、栗の話が出た。
秋といえば、栗やさつまいもが美味しい季節だ。

友人は器用な女性だ。 
八百屋さんで栗を買い、自分で栗をむいて自宅で栗ご飯を作る。

私は栗を剥くのが面倒なので、栗ご飯は買って来る(笑)



夏目漱石のロンドン留学時代の俳句に、栗を詠んだものがある。

「絵所を栗焼く人に尋ねけり」




絵所は美術館などのこと。明治34年2月1日の真冬。

Dulwich Picture Gallery の場所を聞くのに、焼き栗屋で栗を買いもとめた。
そのおじさんにギャラリーへの行き方を聞いたらしい。
英会話恐怖症?になりかかった漱石の日常が垣間見られる。

「もう英国は嫌になり候」と虚子に宛ててはがきを書いたのもこの頃だ。

わかる わかる~



一人旅でロンドンを旅した時、地図を持ってはいてもよく迷子になった。



道行く人に、片言の英語を話しかけるのさえ嫌になった覚えがある(笑)
右を向いても外国人、左を向いても外国の人。
現地の人から見れば、こちらが外国人なのではあるが・・・

日本では秋の季語の栗。



漱石のこの俳句を知った時、彼がすごーく身近に感じられた。


湘南ボーイ「添田 唖蝉坊」~「夢想・鳥込文士村」№13

2020-08-21 20:30:13 | 文学・映画・芸術


「添田 唖蝉坊(そえだ あぜんぼう)」は、文士村住人の「添田さつき」の父親である・・・ということは有名な話だ。
(★参考:5/6 添田さつきの鳥込の家~ 「夢想・鳥込文士村」 №5)

昨日、俳句の会で、「唖蝉」オシゼミ という言葉が出てきた。
へえ~、添田さつきの父親の芸名だ(笑)と、偶然に驚いた。

俳句をやっている人には、夏の季語なので良く知られているらしい。
私は、俳句超 ! 初心者なので偶然の一致が面白かった。
★「唖蝉」(おしぜみ)の意味:鳴かない雌せみのことである・・夏の季語。



そこで、色々と調べてみたら、唖蝉坊が神奈川県大磯町の出身だとわかった。


大磯から、東京の深川の叔父の家に預けられたのだ。
その後、演歌中興の祖とまで言われるようになったのである~
大磯の観光情報サイト、「イソタビ ドットコム」に、唖蝉坊のことが詳しく載っている。
  ↓
・・・「東京・下町育ちの小沢昭一さんは大の唖蝉坊ファン。歌う姿を目にしたことはないが、写真館を営む 明治生まれの父親が鼻歌まじりでよく口ずさむのを耳にしながら育ったそうです。
庶民の声を代弁し、権力や権威、特権階級を風刺してやまない心意気に引かれ、自らも「ストライキ節」 などを歌い、CDに収録しています。
 『唖蝉坊は生きている』( KING RECORDS )で小沢昭一さんの歌声を聞くことができます。」・・・



★★「あきらめ節」の歌詞も傑作!★★

♪ たとえ姑が鬼でも蛇でも 嫁は素直にせにゃならぬ
  どうせ懲役するよなものと 何も言わずにあきらめる

  借りたお金は催促されて 貸したお金は取れぬもの
  どうせ浮世はこうしたものと 私しゃいつでもあきらめる(^^♪

頭にくるようなことを、ユーモアを交えながら率直に歌っている。
スゴイナ~の一言です。


「 雲 」山村慕鳥 ~「夢想・鳥込文士村」№12

2020-08-08 20:25:50 | 文学・映画・芸術


抜けるような青い空を見ていたら、遠い昔に聞いた詩を思い出した。
・・・・・・・・・・・・
「雲」

丘の上で
としよりと
こどもと
うつとりと雲を
ながめてゐる

 おなじく

おうい雲よ
いういうと
馬鹿にのんきさうぢやないか
どこまでゆくんだ
 ずつと磐城平(いわきたいら)の方までゆくんか

あるとき

雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ
 あまりにあまりにひろすぎる
涯(はて)のない蒼空なので
おう老子よ
こんなときだ
にこにことして
 ひよつこりとでてきませんか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★実際は、次の部分のみが強烈に記憶に残っていたのだが。。。。

「おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきさうぢやないか
 どこまでゆくんだ」
「おーい雲よ。。。」と、呼びかけている
のどかな感じが何とも言えない。



作者が山村慕鳥という、変わった名前だということは記憶していた。
この慕鳥が、凄い人だった。

★ 山村 暮鳥(やまむら ぼちょう)
1884年(明治17年)‐1924年(大正13年)は、群馬県で生まれる。詩人・児童文学者。本名、土田八九十(つちだ はくじゅう)、旧姓は志村。
家庭的には恵まれない環境で育つ。
1913年に、同郷の萩原朔太郎や友人の室生犀星と、詩、宗教、音楽の研究を目的とする「にんぎょ詩社」を設立。。。。       (ウィキペディア(Wikipedia))より
萩原朔太郎との交流があったことは驚きだ。40歳で亡くなったのが惜しい。  



最近、昔の日本の詩の豊かさに慰められることが多い。
小説とは違って、言葉に込められた余韻のようなものが感じられるからかもしれない。



アーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)

2020-07-03 20:33:05 | 文学・映画・芸術



楽しみにしていた「アーティゾン美術館」訪問。

新型コロナの影響で、展示が中止や延期になっていた。
昨日は、予約をしてあった日なので、朝からいそいそと出かけて行った(笑)
梅雨の晴れ間の暑い日だった。

いよいよ数年ぶりの美術館との再会だ~
まず、展示が3つもまとめて見られて大満足だった。

その中でも、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子」
 ・・・鴻池朋子 ちゅうがえり・・・

は、以前の「ブリヂストン美術館」時代にはなかった試みで楽しかった。



ここ数十年、美術館・博物館の展示はすごく変わってきた。

ただ、どんな内容を選ぶかがそれぞれの館の理念によるのかも?
フツーの市民としては、驚きや感動が得られるのはすごく嬉しい。

今回の鴻池朋子さんの展示も、驚きとワクワク感が感じられて良かった。



会場の中心に滑り台があり、展示を見ながら滑って降りるという体験もできる。
私も子供と一緒なら滑り降りたが、今回は低い姿勢で歩くような滑るような
ちょっと笑える「変なオバサン」になった~




動物の毛皮がそのまま吊るされていたり、手作りの布絵の「物語るテーブルランナー」・・・



影絵灯篭は、子供のころよく行ったお不動さまを思い出させてくれた。




★第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展
 Cosmo-Eggs | 宇宙の卵
2020年6月23日[火] - 10月25日[日]

★特集コーナー展示 新収蔵作品特別展示:パウル・クレー

★特集コーナー展示 印象派の女性画家たち
↑これらもゆっくりと見ることができました。満足~



東京駅から歩いて5分の場所に、こういう美術館を維持してくれるというのはありがたい!