絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

学校とスポーツ~昭和・大正のスポーツ②~

2009-10-02 13:00:15 | 大正ロマン

引き続きスポーツを特集します。
最近、運動会を開催しているのをよく見かけます。
涼しい風に乗って聞こえる元気な掛け声に、
何となく懐かしい気持ちなります。



さて、日本に学校が誕生したのは明治になってからです。
外国と渡り合い、国を発展していくためには、
国内だけでなく海外でも活躍できる人物が必要です。
そのためには知識や教養を高め、
さらに健康でなくてはいけません。





私立開花幼稚園遊技場



そこで教育機関を設立し、未来を担う子どもを強く賢く育てる、
特別な場を設けることが注目されました。
そして知識・教養を教え、基礎体力を育てる、
学校という制度が輸入されたのです。





滑稽新聞 女学校運動 三人の逆立ち




体育の授業もカリキュラムにあり、
男子も女子も元気いっぱいに運動場で遊び、
授業を受ける様子が学校の記念絵はがきによく登場します。

また当時の学校でよくやるスポーツとして、
相撲や柔道、野球などがあげられます。
野球は国民的人気のあるスポーツであり、
オリンピックやWBCがあると必ず話題になります。





pitcher


日本野球の発祥については様々な諸説がありますが、
明治の頃から全国に徐々へ広まっていったそうです。
チームを組んで行うこのスポーツは授業に最適だったらしく、
各学校で積極的に取り入れられました。





阪神電鉄会社 甲子園大運動会



大正4年に全国中等学校野球大会(現在の全国高校野球大会)
が催されるようになったことからも、どれだけ人気があったか分かります。




絵はがきでも野球を題材にしたものが数多くあり、
真剣にスポーツに取り組む様子が見て取れます。



次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!



次回は11月6日の予定です


モダン神戸とスポーツ ~大正・昭和のスポーツ①~

2009-09-04 13:00:39 | 大正ロマン


今回のお題はスポーツ。
うだるように熱さから過ごしやすくなる秋は、
スポーツを始めるのにぴったりですね。


日本にも相撲などの競技はありましたが、
健康や娯楽のために一般の人々も
楽しむ運動はそれほどありませんでした。
スポーツが日本に伝わったのは明治以降。
外国人居留地として栄えた、
神戸や横浜を中心に発展していきました。




みんなでテニス



神戸の居留地に暮らしていた外国人たちは、
祖国でも興じていたスポーツを日本でもやろうと考え、
登山路の開発やスポーツ用の公園の整地などに力を注ぎました。
例えば神戸にある、花時計と大きな広場のある東遊園地も、
昔は居留地専用のスポーツ公園でした。
外国人はそこでテニスや野球などのスポーツを楽しみました。





神戸東遊園地


明治32年に居留地が返還されたことから東遊園地は、
日本人も自由にスポーツができるようになりました。
この絵葉書でもテニスをする様子が写されております。



また六甲山では山を別荘地にする計画が持ち上がり、
居留地に住む外国人たちも開発に積極的に参加しました。
そこで六甲山を手入れし、荒れ地を手作業で整備しました。
そういった苦労の末、日本初のゴルフコースが誕生したのです。




ゴルフ


ゴルフはお年寄りや御婦人方も一緒に楽しめる、
気軽なスポーツとして紹介されました。
昭和の初めには日本人の会員も増え、
競技会や会員同士のパーティーなども盛んに企画しました。





六甲山 頂上王場 ゴルフグランド


今は人気のあるゴルフも、最初はほとんど外国人しか利用せず、
「外国人たちが夢中になっている怪しい遊び」と思わていたそうです。





次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!





次回は10月2日の予定です


大正流行歌~皆で楽しむ歌~

2009-05-08 13:30:00 | 大正ロマン

ゴールデンウィークはどこも大変なにぎわいでしたね。
せっかくの長い休みも、行楽地へ遊びに行って、
くたくたにくたびれた方もたくさんいらっしゃることでしょう。
こんな時はゆっくり音楽を聴きながら一息つくと疲れも癒されます。


さて今回は一風変わった絵葉書を紹介いたします。

荒城の月,赤とんぼ、月の砂漠……
今でも教科書に載り、誰もが一度は耳にしたことのある歌。
どこか懐かしさを感じさせる歌曲が、大正時代にいくつも誕生しました。

当時はラジオがようやく顔を出した頃で、
テレビなんて影も形もありませんでした。
現代のマスメディアの代わりに、活躍していたのが絵葉書です。

絵葉書はただ単にイラストを印刷するだけでなく、
世間を賑わせた事件や流行中のものなど、
常にホットな話題をいち早く取り入れました。
絵葉書は臨場感溢れるイラストや写真を通して、
情報を発信する役割も担っていたのです。
その中に、流行歌を発表する絵葉書がありました。




エプロン・手鏡



「流行歌絵葉書」と呼ばれるこの絵葉書には、
たいてい繊細で少し寂しげなイラストが描かれました。
流行した哀愁漂わせる歌詞にぴったりな、
抒情画が好まれたのです。

そのため実に多彩な作家が、
流行歌絵葉書に取り組んでおりました。
たとえば、今でも歌われ続けている、
有名な「ゴンドラの唄」という歌曲があります。
大正4年に誕生したこの歌は当時から注目度が高く、
夢二を始め様々な作家の手によりヴィジュアル化されました。






夢二
ゴンドラの唄





戻らぬ時間を懐かしみ、時には悔いるこの繊細な歌は、
一世風靡していた抒情画にピッタリな題材だったのでしょう。
どのイラストも美しいイメージで描かれております。


さて、大勢の人々が手掛けた
流行歌絵葉書にも、代表する作家がおりました。
流行歌絵葉書の中で一番中心に活動していたのが、
山田まがねという抒情画家です。

まがねは「月刊まがね画集」という、流行歌を中心とした絵葉書セットを
実に60種以上も刊行し続けた、流行歌絵葉書の大御所でした。
まがねが特に力を注いだのは、当時輸入された歌曲を和訳したものや、
クラシックに日本の歌詞を創作したものを紹介することでした。





山田まがね
ピアノをひく少女・2




西洋で歌われたものをあえて日本に舞台を変えて、
その感傷的な傷つきやすい内面を
繊細な線によって表現したのです。
歌詞のイメージをより分かりやすくしたことで、
人々の心を掴んだのでした。


現代では歌番組が始終流行を紹介し、
曲をイメージしたビデオクリップが
町中いたるところで流れています。
今や音楽は聴くだけでなく、テレビなどを通して
見て楽しめることも大事な要素になりました。



流行歌絵葉書は音楽と視覚的イメージの融合を試みた
先駆者といえるかもしれません。




さて、次回も素敵な絵葉書を紹介します!
お楽しみに!!




次回は6月5日の予定です


モダンガールのススメ~大正時代のニューファッション~

2009-03-06 13:09:01 | 大正ロマン


春はおしゃれしたくなる季節ですね。
色彩豊かなファッションが紙面を飾るのを見ると、
心も晴れやかな気持ちになります。


大正時代の絵葉書には、当時みんなが憧れた、
最新ファッションの女性たちがたびたび登場します。
最先端だったモダンガールは一体どんなファッションだったのでしょう?
今回は彼女たちのファッションに注目していきます。






近世風俗展覧会



モダンガールとは大正~昭和初期に流行した女性のスタイルを差します。
近代都市化が進むにつれ、女性の社会進出も必要視されました。
軽やかな軽装で颯爽と働く新しい女性像が生まれました。

日本でも周りから偏見の目で見られようとも、
果敢にも挑戦する女性たちが闊歩する姿が見られるようになったのです。
欧米の最新流行のファッションをいち早く取り入れ、
町へくりだした女性たちのことをモダンガールと呼びました。






     
石川寅治筆                       少女倶楽部 
健康美ポスター                     友達との語らい  




モダンは近代的と言う以外に
毛断(ショートカット)を引っかけて呼ばれていました。
モダンガールの象徴ともいうべき短い髪型は、
世界中で大流行したスタイルです。
日本でも紹介され、最先端を行く女性は
すすんでボーイッシュなカットをしました。
髪を切るのは当時の日本人女性にとって相当覚悟がいったようです。
ショートにしたものの、長い髪が惜しくて、
後悔することがままあったそうです。

さて、モダンガールと言えばやはり洋装でしょう。
シャネルの締め付けないファッションが世界中を席巻し、
日本でもローウェストのワンピースや、
ゆったりとしたブラウスと鮮やかな色模様のツーピースが輸入され、
国内向けに改良・販売がされました。

小道具にも気を使い、ハンドバックはもちろんのこと、
帽子とハイヒールは必要不可欠でした。
特に帽子は大変重要で、西洋の習慣を真似して外出時に必ず被りました。
洋服との色合わせや素材に気を使い、
一番人気のあったつばの小さい帽子を被りました。








小林かいち
弐号街の女





化粧品もこの頃から充実しだし、化粧水からクリームといった
基礎化粧品によるスキンケアから頬紅や口紅が登場し、
化粧も和風から洋風へ変貌していきました。

ちなみに当時から目を大きく見せるのは大切なテーマだったらしく、
一重から二重になおす整形手術や、
目の周りを黒く縁取るメーキャップがすでに存在していました。





美しくなりたいと切望する女性たちの願いは、
永遠に変わらないテーマなのかもしれません。







次回も素敵な絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!



次回は4月3日の予定です


*月2回の連載をして参りましたが、
担当者の都合により次回から月一回の連載に変更いたします。
心苦しい限りですが、質を保つためのやむ負えない処置として、踏み切ることにいたしました。
連載を楽しみにして下さってた方々へ、この場をかりて深くお詫び申し上げます。
より充実した内容をお送りできるよう努力してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。



大正ロマン レトロな夏模様4 ~夢二と夏の夜~

2008-08-01 12:30:08 | 大正ロマン
夏休みも始まりましたね。
私は絵葉書資料館へ行くまでに、須磨の海水浴場の近くをいつも通ります。
ギラギラ輝く太陽と光を散らす眩しい海と、
暑さに負けないではしゃぐ家族連れを車窓から眺めるのが楽しみです。


夏模様も今回で最終回。
昔から夏は暑くて大変でした。
エアコンも冷蔵庫もない時代、
暑い夏を涼しく過ごす、
素敵レトロアイテムを紹介いたします!




提灯



 さてさて寝巻きの女性が
 そろりと出てきたのは、
 日本の風物詩の代表、蚊帳です。

 今ほど網戸もなく、
 蚊の悩みはかなりのものだったでしょう。
 蚊取り線香はありましたが、
 就寝時に使うのは危険です。

 そこで寝ているときに
 刺されないために、
 蚊が入れないよう
 布団そのものを囲ってしまうことを考えました。
 メッシュ素材で風通しもいいですが、
 寝室をすっぽり覆うため、
 今の家では中々使いにくいです。


       蚊帳


古き良き日本家屋の、広い部屋ならではのインテリアでしょう。




 また夏の暑さを忘れるために、
 川へ出かけたり、
 ウチワを扇いだりして、
 涼を取ることももちろんありました。
 しかし家に置くだけで気分を涼しくさせる、
 インテリアやアイテムもあったのです。
 そのなかの一つに、虫を飼うという習慣がありました。

 夏虫には綺麗な声で
 鳴くものがたくさんおります。
 篭で鈴虫などを飼い
 涼やかな鳴き声に耳を傾け、
 しばしばその音色で暑さを忘れたそうです。


 女学世界付録(月と町灯り)          






 夏になると、
 虫を入れた
 小さな籠を、
 屋台に積んで
 売り歩く、
 虫売りの行商が
 登場しました。
 きっと左の
 絵葉書のように、
 夏をしのぐため、
 風流な虫籠を
 求めたのでしょう。

   

              虫売り




クーラーだけじゃ味わえない
素敵な夏の過ごし方だと思いませんか?




さて、次回は夏休み特別企画として
少しドキッとする、面白い絵葉書を紹介します!
お楽しみに!!




次回は8月15日の予定です