絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

美人画家の大家たち~近代画家と絵葉書①~

2010-11-05 14:00:53 | 明治ロマン
明治時代より生活文化のみならず美術界も大きな転機を迎えました。
開国を機に貪欲な芸術家たちは表現を追い求めて、
積極的に西洋を学ぼうとしました。
そして必死に西洋の技法を学び、
取り入れ新たな時代の幕開けを担ったのです。

彼らは新しいメディアであった絵葉書の
デザインも手がけるようになりました。
自身の技術や美的センスを活かして、
質の高い美麗な絵葉書を世に送り出したのです。
そんな彼らの足跡を辿りたいと思います。




梶田半古
女学生



今回ご紹介するのは、水野年方と梶田半古です。
二人は富岡永洗と共に明治の日本三大美人画家と呼ばれ、
時代を代表する美人画家でした。
美女を描くことは古今東西に変わらず魅力的なテーマとしてあり続け、
日本でも鎌倉時代以来ずっと続いてきたと言われております。

明治以前は浮世絵が美人画の主流となっておりましたが、
文明開化以降どんどん人気が下降し、浮世絵師たちは
新聞・小説の挿絵へと活躍の場を移行しました。
水野年方の師であった月岡芳年も、歌川派の系譜を持つ浮世絵師でしたが、
やはり新聞の挿絵や小説の口絵などで人気を得るようになったのです。




水野年方
猫と美人



当時の小説は男女の繊細な恋や人間の複雑な心理を
題材にしたものが多く、挿絵も美人が要求されました。
彼らも小説の挿絵から出発し、
肉筆画を発表するようになりました。
近代美人画の先駆者である三人共通するものは、
西洋の影響が画風に出ていたことです。

それまでの美人画は日本の伝統に基づき、
浮世絵風ののっぺりとした白塗りの女性でした。
しかし彼らはベタ塗りだった肌に黄土を混ぜて質感を与え、
胡粉で鼻筋に反隈を施しました。
この新しい表現方法は美人画に現実味をもたせ、好評を得たのです。





水野年方
リボンを飾る女



絵葉書でも得意分野であった、美人が描かれております。
これらの美しい女性たちを見ると、
伝統を踏襲しつつ時代と共に新しい表現を模索した、
彼らの奮闘が偲ばれます。




次回の素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!



次回は12月3日の予定です


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