ご報告。
突然ですが、彼とお別れすることになりました。
何か劇的なきっかけがあったわけではありません。
ただ、ふたりの間に少しずつあいたちいさなヒビがいくつもあって、
それが全部つながってしまって、ぱかりと割れてしまいました。
その夜、彼とつみかさねた時間の分だけ泣きました。
翌朝、わたしから手紙でお別れを告げました。
彼も、受け入れてくれました。
今まで、何度かお別れしそうになったことはあったけれど、
あたしが努力すれば、成長すれば、歩み寄れば、ずっと彼と一緒に歩いていけると信じていました。
けれど、ダメでした。あたしは結局変われませんでした。
無神経なことをぽろっと言って彼を怒らせてしまうところも、
言いたいことをハッキリ言えないところも。
素直になれないところも。
私は彼の求める女の子にはなれませんでした。
彼が私に何を求めているのかさえ、最後までつかめませんでした。
ふたりで過ごした時間。
楽しいことの方が断然多かった。
でも、彼を好きな分だけ、つらいことも増えてしまった。
いつからか、彼が不機嫌になるのがこわくて、けんかしたくなくて、
言いたいことが言えなくなって、聞きたいことも我慢して、
ひとりで勝手にがんじがらめになっていました。
次に住むところが見つかったら、出て行きます。
実家には帰りません。仕事抜けれないし。
何より、転職して新しい環境に飛び込む気力もありません。
だから、職場に通いやすい沿線沿いかな、と考えています。
ああ、母にはいつ報告しよう。
いつになったら母を安心させられるやら…。
次住むところが決まるまでは、今まで通りのふたりで、思い出いっぱい作ります。
彼とは笑顔でさよならしたい。わがままだし都合いいけれど。
彼との別れを乗り越えていけるのか、自信は正直全くありません。
嫌いになって別れるわけじゃないから、よけい。
それどころか、彼を好きな気持ちにひとつも変わりはありません。
でも、このままではいられない。
好きなだけじゃダメなんだ、って、こういうことなんだなってこの年で学びました。
不思議なもので、どんなに泣いても涙はすぐそこにあって。
枯れるなんてことは、しばらくないのでしょう。
これで本当にひとりになったら、どうなってしまうのか。
今でさえ、すでに偏頭痛の兆候が。
ひとりのときは、ご飯がのどを通りづらくなりました。
彼に貰ったモノを見ると、涙が止まりません。
勤務中でも、ふとしたときに彼を思ってしまって。
でも、そうやっていつまでも彼に依存してちゃいけない。
ひとりでも生きていく強さ。あたしに必要なもの。
それにこのまま一緒にいても、同じことを繰り返してしまうだけなんだから。
学生時代の友人や、職場の人に話を聞いてもらって、
ようやっと自分を保っています。
いつだってあたしは誰かに支えてもらってる。
本当に感謝してもしきれない。
私にとって、彼は今まで出会った誰よりも、あたしの全てでした。
一生この人と生きていくんだって、本気で思っていました。
絶対的に信じていました。
だから、
お別れを決意したとき、それは私自身が決めたことのはずなのに、
まるで自分以外の誰かに勝手に決められてしまったような、そんな衝撃をうけました。
死ぬまでそばにいたい。そういうひとと出会えたことじたい、奇跡でした。
今までの人生で、彼とすごした時間は、
いちばん充実して、楽しくて、キラキラ輝いていました。
彼がくれた底なしの優しさ。
おどけた笑顔。
元気をくれる笑い声。
受話器から聞こえる、あたしの背中を押してくれる心強い言葉たち。
突然、仕事終わりに盛岡まで来てくれたこと。
怒ったときのかたい顔。
休日のドライブ。運転してるときのまっすぐな横顔。
安心しきったような寝顔。
やさしい匂い。
つないだ手の、ぬくもり。
いちばん悲しいのは、彼との素晴らしい日々を、忘れなければならないこと。
彼がくれた、あんな素敵な出来事たちを、忘れないといけないなんて。
でも、忘れないと、あたしはとても自分をたもっていられない。
記憶に蓋をして。思い出さないようにして。
いつか、蓋がかたくて開かないくらいになるまで。
こんなに好きなのに、どうして一緒にいられないんだろう。
でも、もう振り返りません。
それに、もし、本当にお互いが必要なら、
きっとまた、どこかで出会えると思うから。
今は、前だけを向いていかなくちゃ。
命ある限り、生きていかなきゃいけない。
過去を思い出して泣いたところで、何にもならない。
まずは目の前のことを、ひとつひとつ。
引っ越し先探して、引っ越し準備して、手続きして。
任された仕事もしっかりこなして。
そうしていくうちに、きっとひとりにも慣れていく。忘れられる。
そう言い聞かせて。
ひとりになったら、趣味とか始めて、女磨いて、
いつか偶然会ったりしたときに、逃した魚はデカかったって思わせるような、
そんな素敵な女の子になるんだ!
だけど、今はあと少しだけ、彼のそばにいたい。
さあ、深呼吸。
せめて残りの時間、彼の前では、彼の好きなあたしでいよう。