中曽根内閣による「国鉄分割・民営化」とは何だったのか、国鉄元運転手の実にリアルな現場報告です。国労を壊滅させるための当局のいじめ、諸組合間の壮絶卑劣な抗争、現場人でしか知り得ない労働現場のありのままが語られています。さすがに新日本文学会会員だけあって、文章がこなれていて読みやすいのです。筆者の心臓の音も聞こえてきそうなドキュメントです。
これを読みながら想起されたのは、私自身の教育現場での体験です。55歳で早期自主退職した真実です。東京都公立小学校教員を33年続けた現場で起こっていたことを、そろそろその詳細を語らなければいけないなと催促されたような本でした。
■内容紹介(出版社より)
国鉄の分割・民営化は、中曽根康弘元首相による戦後民主主義に対するクーデターだった。
憲法を破壊し、その後の「失われた30年」を呼び込んだ。中曽根による「国家的不当労働行為」は、150余人の労働者の命を奪った。
現場にいた国鉄元運転士(国労組合員)による渾身のドキュメントである。
1章 招福神像の立つ駅で
出勤二日目の朝/員数外社員/出勤初日/点呼/「は、ず、さ、な、い、よ」/踏み絵/再び二日目の朝/カールビンソン/歩きだした「遺失物」のコート/JR冥界?
2章 三六〇円で来た男
「交番へ行こう」/男の背後にあるもの/処分/組合間の確執/さらなる確執/「入浴事件」の顛末/嫌がらせ/自殺者/人活センター/魂のこと
<寄稿:本書刊行に寄せて> 民主主義を破壊した中曽根改革/鎌田慧
あとがき/関連略年表
内容紹介(「BOOK」データベースより)
一体何だったのか。国鉄分割・民営化とは?国鉄JR当局の人権侵害を自ら体験し、自殺者150人の混乱の現場を生きた国鉄元運転士(国労組合員)執念のドキュメントである。
目次(「BOOK」データベースより)
村山良三(ムラヤマリョウゾウ)
1939年、山形県生まれ。1964年に国鉄東京機関区の電気機関助士となり国鉄労働組合(国労)に加入する。1967年、田町電車区の電車運転士となり、東海道線・横須賀線・伊東線などで勤務。1987年のJRへの移行にともない新橋要員センターへ強制配転させられ、さらに1988年に新宿要員センターへ異動。1996年にJR東日本を退職する。新日本文学会会員。井上光晴「文学伝習所」二期生。組合サークル誌「作家集団」に参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この本を紹介している鎌田慧さんのコラムも読んでください。(「週刊新社会」)