前回に引き続き、最低賃金を一気に1500円にすると、消費者にしわ寄せが来る理由、を解説します。
共産社民党が、最低賃金を一気に1500円に上げるとしていますが、大企業が内部留保使っても、その販売製品に価格が転嫁されちゃうんですよねぇ。
理由ですか?
モノって、その企業だけで1から10まで作っていないんですよ。
中小企業からも材料とか部品とか購入して製品になっているし、流通過程でも、個人事業者とかが絡んでいるんですよね。
つまり、「大企業の莫大な内部留保を賃金に回す」なんて言ってますが、そもそも内部留保すら殆ど無い中小企業以下の事業者で、最低賃金を1500円に引き上げようものなら、
税金による政府からの支援でもない限り、製品の販売価格に上乗せされちゃう わけね。
当然、大企業も中小企業から材料や部品を買っているから、その仕入れ金額の値上がり分を自分がかぶるなんてしないわけですよ。
数日前、「トヨタは今年度協力企業に対する値下げ要求を取りやめる事を決定しました。」なるニュースを聞いたわけ。
検索してみるとその記事はヒットしなかったけど、ちょっと古いこんな記事が出てきた。
トヨタに限らず、発注側の企業は受注側の企業に対して、ほぼ毎年「値下げ交渉」をする。
要は「これだけ大量に購入しているのだから『量産効果』が有って、価格下げられるでしょ?」というもの。
仕入れ価格が下がれば、自社の利益につながるから。
だから、下請け会社・協力会社の価格アップ分は容認したくないし、それがお上の「最低賃金1500円による価格上昇です。」って事になると、大企業も自らの利益を守るために「価格に上乗せ」せざるを得ないわけです。
例を上げると、この「ノコギリザメの口」みたいな「植え込み用バリカン」の、何処に個人事業者が関わってくるかと言うと・・・
部品構成は
1.フレーム(黒い部分)×1
2.下刃×1
3.安全スペーサー×1
4.上刃×1
5.抑えプレート×1
6.十字ボルト・スペーサー・抜け止めナット×4セット
(私が勝手にネーミングしている物も有るので、正式名称が違う物が有ります。)
仮に 下刃1枚について考えた場合、どうやって作られるか、というと、
鉱山 運送 製鉄所 運送 メーカー(マキタ)
鉱石 → 鉱石を溶かして鉄板にする → 鉄板を打ち抜いて整形して下刃にする
って感じかな?
鉱山・製鉄所・メーカー(マキタ)、これらは大手企業。
運送も基本大手で大口輸送だろうけど、「赤帽」等の個人事業者が、小口の臨時運送を請け負う事が有るわけ。
赤帽って少量しか運べないから割高なんだけど、請け負う業者が多い分臨時便として融通が利くんだよね。
(様々な事情で「臨時便」は発生します。その費用予算は取っているけど、当然1回当たりの費用が時給500円アップになれば、その分予算も多く取っておく必要が有ります。)
つまり、どんな製品でも、大手以外の企業(個人事業者を含む)が部品単位で絡んでくるわけ。
だから、いくら「大手企業の内部留保を使わせます」なんて公言したところで、
中小から個人事業者向に対しては、その賃上げ分を税金で支援するか、価格に上乗せして消費者に負担してもらう事になるわけ。
いずれにしても、大なり小なり消費者に跳ね返ってきますね。
「最低賃金を一気に1500円に引き上げます!」と言う公約をしている段階で、
「物がどのように作られるか」という事をまるで理解しようとしていない 政治屋の戯言 って思いますよ(><)
では、次が最後。
価格に転嫁されない、賃上げ状況とは? です。