花の回廊―流転の海第五部 宮本 輝 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
天気 秋的な
宮本輝 著 : 花の回廊 流転の海第五部
を、読みました。
ようやく出ました、シリーズ第5作。
私は、一巻目が文庫本になってから読み始めたので
この本にたどり着くまで、ほんの(?)15年ですが
初版の単行本から読んでらっしゃる方は、なんと25年です。
いやはや、名実ともに大河なシリーズです。
物語は、ほとんど無一文になった主人公の松坂熊吾が
大阪で巨大モータープールの、立ち上げに奔走する姿を描いています。
この本は、作者の父親がモデルになっており、
戦後の闇市から第一巻が出発し、作者がモデルの伸仁を
50歳で授かり、それからの熊吾の人生を綴っているシリーズです。
実際の作者の父親は晩年、商売に失敗しているそうなので
いつも続きが心配でならないのですが
今作品は、家族に明るい希望のようなものを漂わせて終わって
ちょっとホッとしました。
とはいえ、あまりにも順調にスタートした、モータープールの事業。
貧民屈のようなアパートで、登場してきた人物達。
今回は登場しなかった、数名のヤクザな男たち。
いろんな要素を考えると、やっぱりこの先さらに人生の流転に
巻き込まれてゆくのだろうなと、思わざるえません。
輝チンには、健康に十分気をつけて
この物語だけは、すっきりと完結させていただきたいと
思います。
これはもう、作者と読者の大河作品なのですから。