天気 台風遠ざかってもまだ風強め
平安寿子 著 : こっちへお入り
を、読みました。
ある日、友人が趣味で始めた、アマチュア落語の
発表会に出かけた江利。
小さな会場に、数人の観客。あまりのしょぼさに、
演者のあまりのド素人さに、心の中で批判してばかりの
発表会でしたが、一緒についていった打ち上げで
落語に興味を持ち始め、なぜか一緒にやることに。
30才を過ぎた、独身OLが落語との出会いを通して
仕事のしかた、人間関係のつむぎ方、親兄弟との関係まで
すこしづつ、変化を見せ始めるお話。
日々の中で、人は必死に生きていて、
それは、どんな境遇であろうと、それぞれ大変なもので
しかし、必死が故に、他の事は目に入らず
時には迷路に迷い込んだような、焦燥感や失望感を感じてしまうもの。
主人公江利も、そんな毎日を過ごしていましたが、
落語との出会いで、少しずつ客観的に、俯瞰的に自分の生活や
自分の生き方を見つめることになります。
落語は、昔々の人達の笑い話と思ったら大間違い!
人はどんな時でも必死で生きてきた。生きている。
そんな人々の姿を、面白おかしく、時には切なく感じて、
心のリフレッシュをさせてくれるのが、落語なんですね。
「さっ、こっちへお入り」
大店のご隠居も、長屋の家主も、優しく呼びかけてくれます。
時には、ご隠居さんや、家主のそばに寄って、相談したり、相談されたり。
落語の世界に身を任せてみるのも、いいかもしれません。