ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ | |
江國 香織,松浦 理英子,角田 光代,金原 ひとみ,桐野 夏生,小池 昌代,島田 雅彦,日和 聡子,町田 康 | |
新潮社 |
ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ
を、読みました。
源氏物語の9つのお話を、人気作家達が現代によみがえらせた一冊。
それぞれ、よく耳にするメジャーな源氏物語が、
9人の作家のフィルターを通すと、もっとドラマティックに、
もっと切なく、もっと怪しく、新しくなる。まるで魔法みたいです。
角田光代が書いた“若紫”は、
光の君が静養に出かけた先で出会った少女若紫とのお話。
酒場に売られた幼い若紫は、お姉さま方のお世話と下働きで、
日々身を粉にして働いていました。
そこに現れた光の君は、白馬の王子様よろしく
若紫をその世界から連れ出してくれます。
幼いながらも微かに女のにおいを併せ持つ若紫の
したたかさや、幸運の次に訪れるかもしれない不幸への恐怖。
そんな少女の心情を、丁寧に描いていました。
歌がホントに上手な人は、他人の歌も自分の歌にしてしまうけど、
才能にあふれた小説家もまた、有名な古典を
あっけなく自分の物語に変えてしまうみたいです。