博士の愛した数式 (新潮文庫) | |
小川 洋子 | |
新潮社 |
小川洋子 著 : 博士の愛した数式
を、読みました。
“私”は若きシングルマザーで、自分の能力を最大限発揮できる職業である
家政婦の仕事に就き、一人息子を大切に育てています。
そんな彼女が派遣された家には、一人の孤独な老人が住んでいました。
きちんと背広を着こなしてはいますが、髪はフケだらけ
首には垢が、そして背広の襟には奇妙なメモがびっしりと張り付けてあります。
老人は元数学者の“博士”で、20年前の事故の後遺症で
80分の記憶しか保てません。
背広のメモは、その記憶の欠落を補助する大切なものでした。
やがて、彼女に息子がいることを知った博士は
仕事場に息子を連れて来るように、強く願いました。
彼女に似て、思慮深く賢い10歳の息子に与えられた名前は“ルート”。
こうして、私、博士、ルート3人の優しい時間が流れ始めます。
心のふれあい、人をいつくしむ美しさ、静かな静かな温かさが
描かれた物語。
数学の以前に、算数でつまづいて強度の“数字アレルギー”のベリー。
数字を見るだけで、じんましんどころか、失神してしまいそうなので、
この話題になった本を、タイトルだけでかなり敬遠していたのですが、
キャンディのおススメで読んでみました。
しかし、私ほどの数字アレルギーの方でも、全然オッケー!
数式なんて気にしないで読めちゃう、心温まるヒューマンドラマです。
シンプルで、忍耐強い強固な愛の形に、感動する物語。
これから始まる読書の秋に、おススメです。