Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

ひそやかな花園

2010年08月15日 19時27分26秒 | ベリーの感想文(本・映画)
ひそやかな花園
角田 光代
毎日新聞社
天気       蒸し暑いかも



角田光代 著 : ひそやかな花園
を、読みました。


あの集まりは一体何だったのか?もしや私の夢?空想?
大人になった沙有美が、夢か現実かわからなくなるほど楽しかった事とは
幼い頃の数年間の夏、毎年どこかの山荘で過ごした思い出でした。
そこには数組の夫婦と子どもが集まります。
幼稚園でも小学校でも、誰一人として友達ができず
ずっといじめられてきた沙有美にとって、
山荘で過ごす日々は、誰にもいじめられず、存在が認められる
夢のような世界でした。
ある年突然中止になった、山荘でのキャンプ。
どんどん大きくなってゆくにつれて、記憶はかすみあいまいになって、
いつしか、薄れてゆくのです。
沙有美と、沙有美以外の6人の子どもの目線。
そして、やがて成長して大人になった彼らの視点から描かれる物語。
あの夏のキャンプは一体何だったのか?
彼らはみな一人っ子、親戚の様でのない。それは一体なぜなのか?




私の周りには、20代中盤の女性が数名いて、
彼女たちは誰もが疑いもなく、結婚したら子どもを持つ計画を持っています。
それはそのはず、私たち女性は小学校高学年で初めて性教育を受けてから
ずっと、避妊方向の性教育を叩き込まれるので、
妊娠=ミステク という感覚を結婚するまでは持っているのかもしれません。

しかし、結婚さえすればそれは一転ミステイクなどではなく
HAPPYそのもので、子孫繁栄・幸福の象徴です。
私は、この物語の下地には、
多くの女性が持つ、このような錯誤があるのではと感じました。

現代では、男子の劣化が問題視されていて、
簡単に妊娠できる時代は、終わりを告げつつあるのではないか?と
危惧され始めている現代。
子どもを持つかどうかよりも、どういう方法で妊娠するか?
ということを、選択する時代になるのかもしれません。

親子、夫婦、家族。そして、一人の人間が生きるという事。
そんなことを天才角田がじっと凝視して、浮き上がってきた物語。
どういうことにせよ、今見ている景色は私の人生であり、
私の人生は、誰のものでもなく私だけのもの。
それは、特殊な環境下で生を受けた登場人物のみならず、
市井の私にも言えることなんだと、強く感じました。