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小さいおうち |
中島 京子 | |
文藝春秋 |
中島京子 著 : 小さいおうち
を、読みました。
昭和初期、山形から12歳で上京し
女中となり奉公をはじめたタキが
晩年、ノートに書き留めた回想録。
市井の人々の戦前、戦中を
鮮やかに描いた直木賞受賞作。
バートンの“ちいさいおうち”とよく似た?
いや、同じタイトルだったので、とても興味があったのですが
こんなに面白いとは!!!
私の両親は昭和5年生まれで
戦時中の事をよく覚えているのですが、
この物語の主人公は、それより10歳ほど年上で
戦前の華やかな、東京の姿などを
くっきりと記憶している世代です。
その世代の人は、こんな風に世の中が見えていたのかもしれないと
思わせる程、生き生きと人々の生活が描かれています。
とかく、軍や政治家などにフォーカスされがちな昭和史ですが
多くの一般市民は、ここに描かれた人々のように
どこかのんきに生きていたのかもしれません。
今の私たちと、同じような感覚で。
結局人は、切羽詰まらないと何かに敏感になれないのかもしれません。