「噂？」
浜田は、莉沙の噂を気にしているようだ。
「どんな？」
「莉沙、いろんな人からお金を借りまくっているとか…」
「え？」
はじめて耳にした噂話だ。
彼女自身、おしゃれで割りと良い物を身に付けている。お金を借りないといけない状況なのだろうか？
「いろんな人…って、それじゃ、浜田くんも彼女に貸してるの？」
「はい…自分なんかたいした金額じゃないです。まぁ…50万くらいですけど…。」
「50万だなんて、大変な金額だよ。」
「自分と付き合う前に、営業の山田先輩と仲良かったのを聞いたので、ちょっと聞いてみたんです。…そしたら、山田先輩も70万くらい貸してるそうです。」
「え…？」
「…で、自分もそうですけど、返してもらってないです」
「いいの？このままで？」
「いいです。50万くらい。気持ちの小さい男だって思われたくないし…。山田さんも、同じこと言ってました」
「……。」
そもそも、莉沙が付き合った男性にお金を借りるのは、『気持ちの小さい男と思われたくない』と、考える男心を利用しているんじゃないかと思った。