「自分で会社を起こしたいって言ってただろ?資金もある程度何とかなりそうだし、そろそろ、次のことを考えようと思って…」
そう言えばそんな事を言っていたっけ…。
今となってはどうでもいいが…。
意識的に次に会う約束もせず、期待もせず、その日は別れた。
一気に別れると、自分も傷付きそうな気がする。
出来るだけ"別れ"のマイナスエネルギーを少なめにするように、少しずつ縁を遠ざけて行こう。
そして、勇一との関わりも、何かしらの学びだったと思うようにしよう。
この先しばらくは、恋愛をしないと思う。
とにかく心が疲れる。
このまま永遠に恋愛から遠ざかっても構わない…とも思った。
れみが好奇心で爛々とした表情で、近づいて来た。
「やっぱり、先輩の彼氏、莉沙とも付き合ってますよ!!」
「……」
「昨日、二人が仲良く手を繋いで歩く姿を見たんです。」
「……」
「…どうするんですか?」
…どうする…って、私に取り乱して欲しい?泣き崩れて欲しい?
「…そうなんだ…」
「………。」
素っ気ない返事に、れみは戸惑い、それ以上話しを続けることが出来なくなった。
たぶん、ショックのあまり、茫然自失で言葉を失った…とでも、噂を流すのだろう…。
まぁ、それならそれでもいい。