アンジェラが「季節が変わって行くんだわ。今まであった野菜が見えなくなった。」
そう言ってから数日経った月曜日のことだった。いつもの学校へ行くのを遅刻して、用を足そうと他の出口に向かっていた。
と、駅の構内で、老女が籠に何やら小さな花を差し出して売っていた。
椿の葉にジャスミンの蕾が二つばかり載って、根元に濃いピンクの千日紅の花二つも糸でつけて束ねてあった。小指の長さほどもないけれど、ちょうどペンダントにかかるようにループもついていた。
初めて見た手作りのお花のペンダントにそそられて、嬉しくて老女が差し出したのをそっと手の平に置いた。
お金を出すと、「merci madamme」と、中国人と思われた70代だろう老女が放った。
路を急ぎながら、返ってきたフランス語に、戦争の名残だろうかと、ひとり思った。
そう言ってから数日経った月曜日のことだった。いつもの学校へ行くのを遅刻して、用を足そうと他の出口に向かっていた。
と、駅の構内で、老女が籠に何やら小さな花を差し出して売っていた。
椿の葉にジャスミンの蕾が二つばかり載って、根元に濃いピンクの千日紅の花二つも糸でつけて束ねてあった。小指の長さほどもないけれど、ちょうどペンダントにかかるようにループもついていた。
初めて見た手作りのお花のペンダントにそそられて、嬉しくて老女が差し出したのをそっと手の平に置いた。
お金を出すと、「merci madamme」と、中国人と思われた70代だろう老女が放った。
路を急ぎながら、返ってきたフランス語に、戦争の名残だろうかと、ひとり思った。