エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 毎日更新しています。気候の良い時期は地元(京都)の寺社散策に励みます。

最後の晩ごはん ⑲

2023-04-03 20:30:51 | 
最後の晩ごはん  兄弟とプリンアラモード

椹野道流 著  角川文庫  令和5年 3月25日

最後の晩ごはんシリーズ19作目。
最近出てこないなーと思っていた、海里の兄で公認会計士の一憲とその妻奈津が、久々の登場。

船員だった父を亡くし、夫の死から立ち直れずにいた海里・一憲の母に変わって、兄は高校生の頃から家族を支えてきた。 ずいぶんと年が離れているので高2の兄、海里は4~5歳。
今でいう所のヤングケアラーだった兄。

兄夫妻が養子縁組をして施設に育つ子供を引き取って育てるという話が以前からもちょっと出ていたが、今作でそれがとてもはっきりとする。
一憲は、自分が父親になるのに恐怖を抱いているという。
それは、かつて自分が世話をしていた幼い弟、海里を殺そうとしたことがあったからだ。
自分の中の暴力性を思い出して、養子を迎えた時に自分がどうなるか不安、恐怖で仕方がない。。。

・・・・という、海里は全く覚えていない過去の『殺人未遂』事件・・・・

兄の告白から後半に向けて、それはそれは泣きました。
実家にある父の遺品の中から、母に形見分けとして何か持ち帰ってもいいと言われ、持ち帰った方位磁針。

それを持ち帰った日に見た夢。
それは夢ではなく、父の遺した我が子を思う気持ちが見せた過去の映像だった。。。

ばんめし屋の主、夏神さんに願って作ってもらった夢の中で見たプリンアラモード。
一憲と、海里に奇跡が起きる。 一憲にも過去の罪や傷から立ち直るきっかけともなった。

ああ、こうして書いていても泣ける。
良いシリーズだと思います。未読の方はぜひ、最初から。



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