一弦の琴

先日・・・ご近所で顔見知り、挨拶はするけれどそれ以上の会話はありません、という方が突然、我が家に来られました。

「○○さんは、とても信心深いと聞いたものですから」
えっ？　誰から？　信心深くなんてないし～。
結論から言えば、その方は自分の信仰している某宗教団体の法話？説話？の日に
一緒に行かないか？というお誘いだったのです。
こういう時、なまじご近所なだけに断り方に注意が必要です。

そうでなく、まるで巡回するかのように何ヶ月か毎に通ってくるなんとかの証人？さんには結構むげに断ったりする私なのですが。

信心深いのではなく、ただ、それが当然のように仏像を見れば手を合わせますし、
神社に行けば、まず本殿で柏手を打つというだけです。
別に特定の宗教にはまってません。家の宗教がなにであるかも知らないような有様です。手を合わせる事が信心深いというのでしたら、そう思っておいて頂戴、ですが。
うまく切り抜けて、そのお誘いはすっと断ったのですが、その方がおっしゃるには、私はいつも加減を知らずに張り詰めた鳴り物の糸のようだ、と。

琴や三味線に限らず、ヴァイオリンでも私の好きなチェロでも、弦をピンときつめに張ればいい音がします。・・・その代わり・・・弦は切れやすいです。
かといって、切れないように弦を緩めに張ると今度は音色が悪いです。
そこのところの折り合いのつけ方を学ぶのよ、と。
彼女が、私のどこを見てそう感じているのか分かりませんし、そう感じるほど、私のどれだけを知ってくれているのかも分かりませんけれど、取りあえず「そうですか、またぼちぼち考えてみますわ。何かの時には教えてくださいね」と言葉を遮りました。

まあ、当たっているようなないような？
まるで占いの館を訪ねた人全部に占い師が言うような言葉ですね。
「貴女は苦労されたのね」・・・。
この言葉って、占いの館を訪れた人には100％ちかく当たるのだそうです。
人間、なにかしら苦悩や問題がないと、宗教や占いには走りませんもの。で、苦労されたのね、の一言で「この人は私を分かってくれた」と思うのも常。
ある種、詐欺みたいな言葉ですけど。

私は、皆さんもとうにご存知の通り、浮いたり沈んだりする人間です。
張り詰めて切れるかと思えば、どっこい残って・・冴えない音色の時もありますって。　でも、まだ少し・・・自分の底力には自惚れすら持っているのです。
同じ切れるにしても、そうやすやすとは切れないぞ、なんてね。