マイナカードと保険証の一体化は第2の「消えた年金」問題になる。
2023.7/9(日) 配信 日刊ゲンダイ (元木昌彦)
2023.7/9(日) 配信 日刊ゲンダイ (元木昌彦)
それは週刊現代の連載から始まった。
ノンフィクション・ライター岩瀬達哉の「『年金崩壊』のウソ、
誰が安心を食い潰したのか」
(第1回は2001年5月19日号)である。
この連載が始まる前年、厚生労働省は、
この連載が始まる前年、厚生労働省は、
少子高齢化で年金制度が崩壊するとあおり、
厚生年金の給付額を5%カットし、
60歳から受け取れるはずだった年金の支給開始年齢を、
60歳から受け取れるはずだった年金の支給開始年齢を、
段階的に引き上げる改正法を成立させていた。
だが、その中身を検証してみると、
だが、その中身を検証してみると、
一連の「年金危機キャンペーン」が欺瞞に満ち、
事実が歪曲されたものだったことがわかった。
ライター岩瀬達哉は、わざと難解にしている公的年金制度を丹念に読み解き、
ライター岩瀬達哉は、わざと難解にしている公的年金制度を丹念に読み解き、
地道な取材を重ねて、国民から集めた「掛け金」が
給付以外の目的で乱費されていたことを明るみに出したのである。
年金加入者の承諾なしに、「掛け金」が健康福祉センター
(サンピア)や大規模年金保養基地(グリーンピア)
などの建設に流用され、
官僚たちの「利権」と「天下り先」になっていた。
その事業の失敗で失われた年金資金約2兆円を加えると、
官僚たちの「利権」と「天下り先」になっていた。
その事業の失敗で失われた年金資金約2兆円を加えると、
1998年度末で総額約4兆3000億円の年金財源が失われたことになる
と実証したのである。
この連載は国民の怒りに火をつけた。
この連載は国民の怒りに火をつけた。
ライター岩瀬達哉は民主党の長妻昭議員とタッグを組み、
「消えた年金問題」を長妻昭議員が国会で徹底追及した。
これが社会保険庁解体のきっかけとなり、
これが社会保険庁解体のきっかけとなり、
2007年の参議院選挙で自民党は惨敗した。
消えた年金という “分かりやすさ” が国民に受け入れられたのだが、
消えた年金という “分かりやすさ” が国民に受け入れられたのだが、
今のマイナカード問題も、同じようにとても分かりやすい。
5000円付与ではマイナカードが普及しないのに
5000円付与ではマイナカードが普及しないのに
業を煮やした岸田首相が、
2万円に引き上げるという大きな「アメ」をぶら下げて
2万円に引き上げるという大きな「アメ」をぶら下げて
国民に加入を促した。
入るだけで2万円ももらえるならと、
あっという間に国民の8割近くがカネに釣られて加入した。
だが、河野太郎デジタル相が突然、
だが、河野太郎デジタル相が突然、
「マイナンバーカードと健康保険証を一体化する」
(2022年10月13日の会見)と言い出し、
続いて岸田首相が
続いて岸田首相が
「2024年秋に現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一体化する」
と明言したから、「詐欺の手口のようではないか」
という批判が巻き起こったのである。
システムは稚拙だし、別人の医療情報が誤登録されるなど深刻な
システムは稚拙だし、別人の医療情報が誤登録されるなど深刻な
トラブルが相次ぎ、毎日新聞が6月17、18日に実施した
全国世論調査では、
「マイナ制度に不安を感じる」が64%、
「マイナ制度に不安を感じる」が64%、
来秋に健康保険証の廃止に「反対」が57%に上った。
「デメリットばかりが目立つ “マイナス事業” へと変質した一連のマイナ事業」
「デメリットばかりが目立つ “マイナス事業” へと変質した一連のマイナ事業」
マイナカードを返納する動きも急増している。
マイナカードの返納は、今後もっともっと増えて行く。
岸田・河野コンビは、“功”を焦りすぎて墓穴を掘ったといっていいだろう。
私はハナからマイナカードを申請しようなどと思っていなかった。
まったく信用できないこの国に自分のプライバシーを渡すことに我慢がならないからだ。
ここで、マイナカードと保険証の一体化を許せば、
あらゆる個人情報が国に逐一把握され、監視されることになり、
この国は民主国家ではなくなる。(文中敬称略)。
この国は民主国家ではなくなる。(文中敬称略)。
(元木昌彦/「週刊現代」「週刊フライデー」元編集長)
健康保険所を廃止し、マイナーカードと一体化??
こんな馬鹿な! 2万円で多くの国民をだました岸田政権!!