銀幕大帝α

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河童のクゥと夏休み

2008年06月24日 01時03分01秒 | アニメ(国内)
07年/日本/138分/劇場公開
監督:原恵一
声の出演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ、冨沢風斗、横川貴大、松元環季、植松夏希

<ストーリー>
河童の子供クゥを仲間のいる場所に帰すため、小学生の康一が河童伝説の残る遠野に向かう。

自分の中では生涯の傑作泣きアニメだと思っている『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の原恵一監督が久々に映画を撮ったので期待して観ました。
イジメや環境破壊というテーマを盛り込みつつ、人間と河童のクゥとの温かい交流を描いていて、仄々とするのと同時に、終盤のメディアに曝され人間社会において行き場を無くしたクゥの心情に悲しさが込上げてきました。
亡き父親の切断された腕と対面し、クゥが大粒の涙を流すシーンや、これ以上迷惑をかけられないとお世話になった上原家を後にするシーン、そしておっさん(犬)の死には、やっぱり涙なしでは観れませんでしたよ。

自然が溢れ、のどかな時間が流れる田舎でのクゥと康一とのふれあいは和みが一杯で、心が洗われる一方、妖怪だのなんだといって過激報道する都会の人々に対しては怒りを通り越して呆れ返るばかり。
人間家族との一時を笑いを含めて楽しく描いてた中盤までから一転、報道陣や野次馬から追いかけまわされ生きることに自信を失っていくクゥの姿を切なく描いた後半への移り変わりには、一気に寂しさと悲しさを引き寄せます。
この辺の描き方の巧さは流石、原監督だなぁと改めて感心しました。

妖怪はあくまでも妖怪で、人間社会にはとけ込めない。
自然を無くし、迫害を受け、行き場を無くした妖怪たちは都会から離れ、片田舎でひっそりと暮らすしかない。
クゥもまたその一匹で、親切な妖怪に誘われ沖縄へと宅配されて、彼はそこで新たな人生を始める。
心無い人々に曝しものにされた事より、クゥにとっては親切にされた上原家の恩の方が一生忘れないだろうし、これからの生き方の励みになるだろう。

時が経ち、人間社会に溶け込んだとき、彼は再び康一の前に現れるはずだ。
それが最後のセリフ

父ちゃんごめん、オラ人間の友達ができちまった。

に、人間との共存を願う切なる思いが込められているのだ。

今年の夏、是非この映画を家族で観て、笑って泣いて、鑑賞後は監督が作品に込めた思いを真剣に考えてほしいものです。

オフィシャル・サイト

評価:★★★★☆
08/06/23DVD鑑賞
原恵一 アドベンチャー・アニメ 環境破壊 イジメ 妖怪 遠野 家族愛 第11回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞 第31回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞受賞 DVD新作
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コメント (2)
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