銀座ジャズバーエムズのブログ

 生演奏のある小さなバー・・・「大人のくつろぎ空間」をお探しの方にご案内申し上げます。

エピソード/ verse考

2019-07-22 13:55:31 | つれづれ

 7月19日(金)原田忠幸トリオのご出演でした

原田さんは、アルトの五十嵐親分の盟友であり、

キャリアの初めのころにアメリカで活動していらして、

帰国後は五十嵐さんと共に、日本のビッグバンドの

スターを永く務められた方です。

 間近ではなかなか聴ける機会の少ないバリトン・サックスという楽器の

音圧と「普通の管楽器の人たちがやらない古い歌モノが好き」という

圧倒的な歌心で、いつもみんなの心をわしづかみです

 トークもとても面白く(天然素材)、 アメリカ時代からの繋がりもあり、

様々なアーティスト達との共演エピソードには事欠きません。

 

私「では、シナトラの歌唱で有名な'I Get A Kick Out Of You'を」

原田「あ~~、これこれ!シナトラが来日の時には

毎回伴奏しましたよ でさ、バースも歌うんだけど、向こうから

連れて来たピアニストにね、スゴく怒ってんのね。こっちは

何が悪いんだかわからないんだけど、たぶんちょっとでもズレると

許せないんでしょう。 そのピアニスト、本国に帰ったらすぐに

死んじゃったよ。アハハ

 

。。。もしもし、笑い事ではありませんよ

スタンダードの歌を好む、英語力に自信のある(たぶん)方々の中には

バース(verse:本編の前の語り部分)を歌いたがる人も増えましたが、

これは実はとっても難しいもので、覚えればできる、というものでは

ありません。 人が聴き入る朗読のように歌えること、なおかつ、

ピアニストの弾くコードのタイミングとピッタリあって、流れを

壊さないことが最低条件で、そんなもの一朝一夕にはまいりません。

 原田さんのお話のように、人の命までかかっている場合も。

ちなみに、この歌のバースは、私は歌っていませんけれどね